表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/50

<11>

「すいません…」

 口橋(くちばし)は玄関扉横のチャイムを押し、声をかけた。しばらく待っても応答がない。口橋は再度、チャイムを押した。『ピンポ~~ン』と響く音が建物の内部からしたが、やはり応答がない。

「留守ですかね…」

 鴫田(しぎた)がボソッと口を開いた。

「…かな?」

 口橋はもう一度、チャイムを押そうとした。そのときである。息を切らせた男の声がした。

『は、はいっ! 二階にいましたもので…。あの、何か?』

「警察の者です。ちょっとお()きしたいことがありまして…」

『今、開けますので…』

 バタバタと入口へ近づく気配がし、ガチャリ! とドアが少し開いた。中から初老の男が二人を覗き込み、ドアチェーンを外した。口橋と鴫田は玄関へ入り、警察手帳を背広の内ポケットから出して提示した。

「麹町署の口橋です」「鴫田です」

「はい…」

「この近くに(いおり)を構える風変わりな婆さんをご存じないでしょうか?」

「…ああ、あお婆さんですかな? 妙な勾玉(まがたま)を首からぶら下げた」

「ええ、その婆さんだと思います、たぶん…」

「その婆さんの(いおり)は…」

「私も行ったことがないのでよくは分かりませんが、あの(ふもと)から登ったところにある、とは聞いてます、はいっ!」

「その婆さんが、そう言われたんですか?」

「ええ、いつでしたかな。…ああ、半年ばかり前、私が落ち葉を掃いておりますと、その婆さんがお通りになり、少しお話をした折りです…」

「どうも、ありがとうございました」

 二人は軽く一礼し、その場を去った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ