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いろんな意味できたえられちゃうぅ

崇継、世界の異変に気付きます(ほんの片鱗ではありますが)

誤字脱字ご指摘頂けたら嬉しいです。

「いやぁ、本当に夜盗捕獲して頂けるなんて」


 笑顔のカラルさんに何となく釈然としないまま、貰った報酬をそのままギルドに預ける。

 いわゆる現金預かりをして貰い、好きな時に引き出せる仕組みになっているらしい。


「……あいつら、どうなるんだ?」

「既に盗賊行為をしていますからねー、炭鉱掘りなどで盗んだ金品を返済する事になるかとー」

「生活は?出来るのか?」

「……同情されているのですか?」


 笑顔が消え、少し真面目な顔つきになるカラルさんに。


「実際やった事は悪事だ……同情の余地はねぇ」

 だけど

「魔族って一体何なんだ?確かにラノベとかにも出てくるが、この世界には居なかった筈だろう?そいつらには討伐依頼は無くて、住んでいた奴らにはある…納得いかねぇ」

「……タカツグ様、はお優しいんですね、でも依頼は依頼。無いものは引き受けられません」


 そうだろうな、と自嘲気味な笑みを浮かべて。


「次は通常依頼でも受けるよ」


 後味の悪さを、誤魔化した。


◇◇◇◇


「そういえば、小耳に挟みましたが…この街には元凄腕の魔導士がおられるようで」

「凄腕で元?」


 ギルドを出た辺りで、それまで黙っていたミルフィが口を開く。


「チートではありませんが、己の努力だけで精神面、魔力を補うだけの能力を身に着けた人らしいです」

「転移者か?」

「いえ、元々こちらの世界に居たエルフだそうです。変わった人ですよね、基本他種族とは関わらないのが此方の生活なんですが」

「……精神面」


 戦闘中にも…いや、本当は随分前から分かっていた事で。俺はメンタルが弱い。

 元々はこうじゃなかった。お調子者でそれなりに人との付き合いも出来た。どこからこうなったのだろう?


「そいつの居る場所って分かるか?」

「ええ、この街の外れにいらっしゃるとか。ですがお会いしてどうするんです?」

「同じ魔導士、何か得るものもあるかもしれない」

「タカツグ様本当に体に不調感じてません?熱とか」

「無い」


 つかつかと、歩き出すと慌ててミルフィが着いてくる。


「向上心ってヤツですか?」

「どちらかってぇと、自己満足だ」


 確かに元の世界も競争で、力の無い者は上の言いなり。会社なんてそんなもんだ。

 此方の世界に口を出すことは出来ない。俺は神でも創造主でも無い。

 だけど。


「何か嫌なんだよ、どうしょうもなくイラつく」


 拳に力が入る。原因をどうしようともしないギルドのやり方に。

 平和な世界に居たからこその綺麗事。

 分かっている。


「何もしないままうずくまりたくない」

「よく言ったわ」


 いきなり聞こえて来た野太い声に、顔を上げると眼前にそびえ立つ山。いや人だった。やたらと長い耳。


「貴方昨晩活躍した魔導士ね、稀に見る才能の持ち主だと聞いたわ…自信過剰の嫌なヤツかしらとも思ったけど」


 ジロジロと頭のてっぺんから、つま先まで眺められ


「さっきの言葉気に入ったわ、ついてらっしゃい…あ、言い忘れたけど私はレティグライド、気軽にレティって呼んでちょうだい」

「あの…エルフ、ですよね」


 俺の知ってるエルフと違う。

 確かに顔つきは整ってはいるが、どこか猛々しく寧ろ世紀末に出てきそうな体格。戦士とかプロレスラーと言われた方がしっくりくる。


「そうよ、エルフの村退屈だから出てきてこの街に居候させて貰ってるの」


 着いた先は、素朴な木造りの家。

 だが、その横にはちょっとした広場があり、地面が抉れているのが気になる。


「さて、貴方の事を話してちょうだい」

「俺の…事」


 ちらり、と横にちょこんと座っているミルフィを見て

 腹を括る。


「転移者です。篝崇継と言います、年は二十七。元の世界ではニートでした」

「ニート?」

「若くして働かない者の総称です」

「聞かない言葉ね、でも転移者が多いのは知っているわ…ただ、最近見かけないのよねぇ」


 謎だわと言っているエルフの女言葉もかなり謎だが、あえて今はほっとく。


「ミルフィ、転移者今は少ないのか?お前前に天界に魂が集まり過ぎるって」

「私はそう聞いています。実際こちらに送り込まれた転移者もかなり居る筈で…」


 そう首を傾げるミルフィの言葉に嘘はなさそうだ。


「ところで、貴方達何故ここに来たの?」


 その言葉に目的を思い出した。


「俺は特別キャンペーンで転移したらしく、ユニーク魔法を使える。だけど、これ掛けた術者にも跳ね返ってくると言うか巻き添え喰らうので…メンタル面を鍛えたくて……縁もゆかりも無い貴方に頼むのは筋違いって分かるんだが」

「いいわよ」

「へ?」

「アンタの目、何か真剣だから」


 これでも、凄腕と呼ばれたんだからと力こぶを作ってみせてくるレティに多少の不安を覚えながらも、言葉に甘え師事する事となった。


もし、面白い・続き読んでみたいと思われたらブクマ評価など頂けましたら励みになります。

よろしくお願いします。

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