ラストレター
愛しい君へ
君と別れてから三月になります。
この北の戦地にも雪がちらつき始めました。
地元出身の奴に聞いたところによると、来月には銀世界になるとのことです。
できることなら君に見せたかった。
一点の穢れもない雪の野原を君と二人で歩きたかった。
どこまでも。どこまでも。
そして振り返り、はしゃぐ君を抱きしめ、点々と続く僕らの足跡を眺めたかった。
君は今何をしているでしょう。
僕を待っているのなら、どうか待たないで下さい。
君の側には行けそうもない。
今は、まだ。
僕はまだ生きていくから。
生きて。生きて。
命の続く限り生き延びるつもりだから。
だから
どうか、君の前にあるという虹の橋を渡って行って下さい。
僕を待たなくても、僕は君を忘れない。
いつか必ず君を探しにいきます。
約束する。
そして その時は歩いて行きましょう。
二人で。
どこまでも。