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侵入者

ーー村に帰るとなにやら様子がおかしい。


 村人達が青ざめた顔で村の一方を見ていたからだ。


 その中に先程の長老もおり、アリア達を見つけるやいなや物凄い剣幕で怒り出した。


「村の宝に何をした!!」


 アリア達は状況が掴めず、キョトンとする。

 すると長老はその老体でそこまで声が出るかというほど声を張り上げた。


「シラを切るな、これだからよそ者を入れると災いが起こると言ったのだ!」


 一緒にいたダイとネルに気付くとこちらに避難するよう手招きする。


「ダイ、ネル、早くこっちへ来るんだ。よそ者に近づいてはならん」

「じいさんどうしたんだよ、一体何があったんだよ?」


 その質問に答えるかのように、長老は無言でとある方向を指差した。

 ——指差す先には見えたのは、建物ほどの大きさがある赤黒い巨大な塊。


「あれは……! 村の倉庫が!」


 この赤黒い塊を見た瞬間ダイが声を上げた。


 「倉庫?」


 アリアが首を傾げると、ネルが教えてくれた。


「村の木彫り細工の作品を全て保管する場所なんです。あそこには村の貴重な作品も沢山保管してあって……」


 今は赤黒いものに覆われているが、中には倉庫があるらしい。


「じゃあ、あの場所にはこの村の人々が商人に売るための作品が全てあるのね?……ということは、作品が無ければ収入源も無くなるってこと……?」


二人の少年は静かに頷く。やっと状況を把握できたアリア。


「なんてひどい……」


 ルークは離れた所で聞いていたようで、少し様子を見てきますと耳打ちして村の方に走って行った。アリアに対し、長老は再び叫ぶ。


「お前のせいだろう! 何をした!」


 しかし、アリアもこれには身に覚えがないので必死に否定する。


「違います!」


 ーーするとどこからともなく聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「「僕のせいだよ〜」」



 ーー直後、赤色の光と共に、ニヤニヤと笑うジリーが現れた。


 始めてみたであろう魔法の光と不気味な青年の登場に、長老は驚いて声が出なくなったらしい。口をパクパクとさせている。しかしその様子を気にも留めずジリーはスタスタとアリアしか見ていないとばかりに近寄って来た。


「ジ、ジリー?!」


 アリアは思わず二人の少年を自分の背後に隠した。するとジリーは嬉しそうに笑う。


「あ〜! 僕の名前覚えてくれたんだね! 嬉しいなぁ〜。」


 笑顔のまま小走りでアリアへ駆け寄ると、「なんだぁ、もう僕たち両思いだねっ」と言いながら満足げにアリアに抱きついた。


 咄嗟に、アリアはジリーを押し除ける。


「何が両思いよ! ふざけないで!」


 ジリーは少しションボリとした顔をして離れた。


「つれないなぁ〜」


 アリアは前回の戦いを思い出した。あの時は空が赤黒くなっていたが、今回もそれと同じ色をした物体が現れている。……もしやと思い、アリアは赤黒い塊を指差した。


「あれは一体何なの?」

「うーんとね、あの倉庫にあったものなんか消しちゃおうかなーって。」

「じゃあこの前みたいに、放っておくと消えてしまうの?」


 ジリーはニヤリと不吉な笑みを浮かべた。その通りのようだ。やはり、あの赤黒い塊は前回と同じ、物を消滅させる力があるらしい。


「な、なんでそんなことするの?」


 勇気を出したのだろう、背後にいたダイが声を震わせながら聞いた。すると笑顔だったジリーの顔は急に真顔になり、ダイを睨んだ。


「僕、少年には興味ないけど。」


 言葉に冷酷さが滲み出る。その威圧感にダイは萎縮してしまった。

 そして、真顔からニヤニヤとした表情に一瞬で戻ると、アリアに再び笑いかける。見事な表情の変貌ぶりである。


「アリアちゃんもなんでなのか聞きたそうだね~。そうだねぇ、強いて言うなら、アリアちゃんに構ってもらいたくってっ」


 お願いをするような上目遣い、さらにぶりっこのようなポーズをアリアに向ける。

 しかし、アリアはそんなジリーには流されない。


「またあなたなのね、早くあの黒いものをどけて頂戴!」

「どけてと言われてどける訳がないんだけど……でも、アリアちゃんがいうなら仕方がないなぁ。じゃあヒントをあげるね~」


 ーージリーは村の中央に向かい、パチンと指を鳴らす。すると祭壇に赤い宝石が現れた。この前の戦いでアリアが壊した物と似ている。


「もしかして、今回も戦えってこと?」


ジリーは嬉しそうに「うん!」と頷くと、前回同様アリアに向けて攻撃をするためか、手をかざし始めた。


 ーーしかし、突如祭壇の周りに巨大な炎の塊が三つ出現。


 魔法を使用する前に現れた炎にジリーは驚き、かざした手をサッと下した。炎はジリーの指示に従う様子もなく、祭壇の周りで形を変えながら自由に宙を漂っている。


 ーーこの様子を見てしばらく考えるように黙った後、ジリーは口を開いた。


「ごめんアリアちゃん、なんか僕の仲間がね、応援を送ってくれたみたいだ」

次回、悪役の仲間? お楽しみに!


(やっと魔法少女感が出てきました)

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