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動くお守り1

港町編です!少女漫画の雰囲気が出てきそうな予感

 アリアとルークを乗せた荷車は、夕方には港町に着いた。


 魔法少女のアリアは最終回を目前に異世界に転移されてしまった。途中で出会ったルークとともに、元の世界に帰るため、そして王家を救うため、王家のいる城下町を目指して旅をしている。


 地図の通りに旅を進めるはずが、アリアの魔法によって森の中に飛ばされてしまい、森で助けた少年二人の集落でお世話になることに。途中、ジリーの邪魔を受けたりもしたが、今は無事に旅を続けられ、港町が次の目的地となっていた。


 森に寄るのは大きな誤算だったが、出発地点の街からほぼ対角線上に進むことができ、大幅な道の短縮になった。その上、荷台にも乗せてもらったので旅の後半に寄ることになっていただろう港町に、非常に早くたどり着いたのだった。


 港町につくと、二人は荷台に乗せてくれた夫婦にお礼を言い、街に入っていった。 


 港町サウスポートは様々な国との玄関口になるらしく、多種多様な建物が並んでいた。おそらくそれぞれの国の領事館といったところだろう。中心部には船の模型がある大通りがあり、そのまま道を直線に進むと大きな港に続いていた。


 港には大型の船が沢山並び、忙しなく荷物が運び込まれてる。鋼鉄製の船は見当たらず、木造船ばかりであったため、異世界に来た感じが増す。


 ーーアリアは海の広がる光景に心躍り、走って行った。


「わぁー!海だー!」


 海を見たのはいつぶりだろうか。アリアは元の世界でも内陸に住んでいたため、あまり海とかかわる機会はなかった。そのため余計新鮮に感じるのだろう。


 その姿を穏やかに見守るルーク、心地よい潮風が二人の間を駆け抜けていった。


 ーーしばらく景色を満喫したあと、二人は早速今晩の宿を探すことに。



◇◇◇◇◇



「いいですか、少しあの宿の様子を見てきますからここで待っていて下さい。」


 小さい子に言い聞かせるようにルークが言う。 


「はい!」


 大きく手を挙げて返事するアリア。返事だけは良い。今回は素直にルークの指示に従うようで、その姿にアリアの成長を感じられる。


 ーーしかし、人生そう上手くはいかないものだ。アリアが店の前で良い子でルークを待っていると、ガタイの良さそうな三人組が現れた。


「お、ねえちゃん可愛いじゃないか。」


 新手のナンパかもと思い、アリアはフイッと無視する。


「つれないなぁ。 おっ、見かけない服装だな。もしかしていいもん持ってんじゃないか?」

「持ってそうだな。無事で帰りたかったら金目の物を置いてきな。」


 どうやら盗賊だったらしい。先ほどの軽い口調から一変し、脅し始めた。まずいと思ったアリアは咄嗟にその場から逃げる。ただ、……ルークにその場を動くなと言われたのを忘れて。

 アリアが逃げ出すと、三人の盗賊は逃げたためか面白がって全力で追いかけ始める。


 ーー変身前の状態では、ただの女の子であるアリア。簡単に追いつかれてしまった。


 囲まれてしまい逃げ場がなくなったアリアは、自分でこの状況を打開するべく、仕方なく魔法少女になることを決意。


 そして、魔法少女に変身しようとして構えた時……盗賊の一人に腕を掴まれてしまった。


 ーーその瞬間、腕についていた変身ブレスレットがキラッと光る。


「お、こいついいもん持ってやがる」


 ブレスレットの存在に気づいた盗賊。アリアのブレスレットを無理矢理外し始めた。


「やめて!」


 しかし掴まれた腕を振りほどくことができず、ブレスレットは簡単に盗賊の手に渡ってしまう。絶望するアリア、抵抗することしかできない。血の気が引くような気がした。

 アリアはブレスレットがなければ変身できない。変身できなければ、戦うこともできず保身ももちろんできない。仲間のルークも、言いつけを破って場所を離れてしまったため、助けに来れない。急に怖くなったアリア。


 思わず誰かに助けを求め、大声で叫んだ。


「「だれか助けて!」」


 ーーすると、この気持ちに応えるように胸元から青い光が放たれた。


 青い光は、一筋の光となってアリアの腕を掴んでいた盗賊の目に直撃。突然の不思議な現象と眩しさに、盗賊は驚いて思わずアリアから手を放した。

 手が解放されたアリアは、すぐさま胸元を確認。青い宝石が光っている。どうやら光るものの原因はルークからもらった宝石のネックレスのようだ。アリアが宝石を取り出すと、待っていたかのように光を放ちながらブルブルと震え出した。


 そして、宝石は形を変え、青い光の塊となってアリアの手から飛び出すと、盗賊目掛けて一直線。光は盗賊の手にあったブレスレットを奪い取り、アリアに向けて投げてきた。

 慌ててそれを受け取るアリア。


 ーー直後、聞きなじみのある声が聞こえた。


「アリア!」


 呼ばれた声の方に振り向くと、遠くから血相を変えて走って来るルークが見える。助けに来てくれたらしい。ルークは走りながら魔法石を取り出すと、盗賊たちに向かって投げつけた。


「爆破!」


 ルークが叫ぶと、盗賊たちの中心で空気爆発が発生。風が起こり、盗賊たちは飛ばされていく。

 アリアも風に飛ばされそうになり、ぎゅっと目をつぶって縮こまるようにした。


 ーーしかし、飛ばされない。


 疑問に思って目を開けると、ルークに抱きしめられていた。アリアが飛ばされないように、身を挺して庇ってくれたようだ。


 ルークはその場に残った盗賊達を見たこともないような厳しい顔で睨みつけ、低い声で威嚇。


「何をしてるんだ」


 ルークの厳しい眼光に恐れおののき、また、初めて魔法を目にしたであろう盗賊達は恐怖のあまり思わず逃げていったのだった。


「もう大丈夫ですよ」


 ルークがアリアの様子を見ると、……余程怖かったのだろう。ルークの腕の中でアリアは平気そうに見上げたものの、その手は小刻みに震えている。その様子を察したルークは、しばらく抱きしめたままでいてくれた。


 ーー安心したアリアは段々と落ち着きを取り戻し始める。しかし今度は、王子様のように登場し、身を挺してまで助けてくれたルークの顔を見て逆にドキドキと心臓が鳴るのを感じ始めたのだった。


 ーーそんな時間も束の間、突如どこからともなく声が聞こえてきた。

次回、救いの青い光は お楽しみに!

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