松江泰治 地名事典
広島市現代美術館 特別展
松江泰治 [地名事典]
松江泰治は、現代の名だたる写真家の中では
少し、毛色の違うアーティストだ
現代の写真の潮流は
影の描き方にその焦点を絞る作品の
多い中、松江は 光 に着目し
光によって変わる被写体
それは、森を写すときの光の色調などに
特化された森に見えない被写体を提示する
しかし、その、逆の報道的な
軍艦島の写真群
これからも、松江は
被写体の存在するその、モノ
という視点を、浮き彫りにする
それは、写真の構図からも読み解ける
写真の構図は、あくまでも
美を追求する
それは、タダの道路やある角度からみた
被写体の美
それは、自然の中では紛れ込み
見つけにくいそれを、松江は提示する
それも、被写体というあくまでも、
あり物を切り取るだけの行為から
写された一つの風景画として
それは、一つの画力とも呼べる
強度で提示されている
そして、モノクロからカラーへ
それは、松江にとっては
色との呼吸
それは、カメラに入れる光量で
肉眼で見る色との差をそこに提示すること
松江は、一貫して、光と被写体の
関係性が、在るもの、との差を
埋める作業ではなく
新しい価値を提示するもの
としての、表現に終始している
現代の大きな美術的テーマ
在る
松江も、それに呼応する
現代美術家の一人だ