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六話 湖の精霊

遅くなりましたが、年号決まりましたね!

『令和』この年号のように気持ちを新たにまた頑張っていきます。みなさんもこれからもお互いに頑張っていきましょう。

父様につれられてきた湖は深い森の中心にあった。湖まで森の中は広くてとても遠く感じた。

カルトさんがここの町は七割が森で一割が湖と言っていたのもあながち嘘ではないようだ。


太陽が沈みかけ、空がオレンジ色に染まる中、湖はそれを写さずいつまでも水色のような空を写すようで映していない、不思議な場所だった。


「私は用事がある。ヴィヴィアンはカルトと一緒にここで少し待っていろ」


どうやらいる意味があるのかわからない護衛と父様は用事があるようだ。ああ、この素晴らしい景色を前回見れなかったのは勿体無い。でも、はじめてだからこそのものもある。



「近くまで行ってみますか?」


「うん」


カルトさんが優しくエスコートをしてくれた。



近くに行くと、わたしたちが水面に映った。


精霊がいるのならわたしの今後の生活が前回よりも幸せになれるようにお祈りでもしようかな。

願掛け程度でも気持ちの問題でもあるからね。


そう考えていると、突然水面が風もなく揺れ、霧が湖の中心に集まって渦を作っていた。


「えっ?」


わたしは慌ててカルトさんを見るがカルトさんは目を見開いていた。


そして、集まった霧が人の形を作り、一気に霧散した。


「あらあら、不思議な縁をお持ちなようで?」


声が聞こえるが見当たらない。

鈴を転がすような軽やかな声が聴こえる。


「くすくす、こっちよ?」


先程まで霧が集まっていた湖の中心の水面に声の主は立っていた。


蒼い髪をゆらゆらと風になびかせ、白い肌が太陽を知らぬようで神秘をうかがわせた女性がいた。


「いらっしゃい?お名前は?」


彼女は水面に波紋をつくりながらこちらに向かって歩いてくる。


カルトさんに確認をとるがなにも言わない。

頷くだけで反対もなにもしないようだ。



「ヴィヴィアン・フレーシア」


「あらいい名前ね?わたしはエレイン、この湖の精霊よ?」


それだけ言ってクスクス笑っている。


「あなたは何故出てきたの?」


とりあえず会話してみる。


「あなたじゃなくてエレインと呼んで?わたしと同じ雰囲気を感じたから?」


エレインはなんだかふわふわした喋り方だ。

雰囲気?わたしとエレインが?


「面白い?わたしはヴィヴィアンに会えて嬉しい。だからわたしだけの名をあげるわ。称号というかもね?」


「名?」


カルトに貰っていいのか聞いてみる。


「精霊に悪も善もありませんから」


つまりいいのだろうか。精霊は自由過ぎるのでは?


「ですが精霊に認められることはほぼないのでいいと思いますよ」


なら安心。カルトさんには説得力がある。


「そうね~?湖の乙女は安直?でもヴィヴィアンだもの~」


それからエレインは腕を組んだり唸ったりと分かりやすく考えこんだ。


「うん、決めたわ?ダーム・デュ・ラック」


「ダーム・デュ・ラック?」


「そうよ?いいでしょ?」


精霊にもらった贈り物。


「ありがとう、エレイン」


他人にもらえるのはこうも嬉しいものか。


「ヴィヴィアン、あなたの多大なる幸福と素晴らしき今後を祈ってるわ?」


そう言っていきなりわたしの額に口付けをした。


「ひゃっ!」


びっ、びっくりした。

まさかされる機会が来るなんて思いもしなかった。


「クスクスっ、じゃあね?」


エレインは体を次第にぼやけさせて霧のように消えていった。


「‥‥‥あっさり消えたよ」


「いいことですよ。精霊の加護ではなく寵愛ですからね。良かったです」


ふふっとカルトさんは微笑んでるしいいのだろう。


「さ、帰りましょうか。アドルフ様が来ていますから」


振り返るとうっすらと父様の姿が見える。

明日も早いらしいからそれにいろいろと疲れた。


なんだか眠くて、ふらふらす、る?










倒れたかけた少女を抱き上げて様子を確認する。


「疲れて眠られたようですね」


ほっと、穏やかな顔を見て安心する。

このような少女がごく最近に辛い思いをしたのだ。この愛らしい少女を私はこれから守るのだ。


「アドルフ様、湖の精霊がヴィヴィアン様に寵愛を与えました」


この精霊に愛されたヴィヴィアン様はきっと怒濤の日々を送るのでしょう。


それを私が守れるのは嬉しいものです。



「精霊の寵愛か。ヴィヴィアンに価値のあるものだ」


この人も口が足りない。

きっと守る札が増え、認められたのも嬉しいのだろう。


本当にこの家に仕えられて良かった。


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