五話 縁の地
毎日更新する予定でしたがここ数日できておりませんでした。
実は主人公の設定を確認していたところ、矛盾になりそう、またこうした方が面白いなど考えているうちに投稿が遅れてしまいました。なので主人公の名前をこちらの事情で変えさせていただきました。
ながくなりましたがこれからもこの作品を楽しんで読んでくれるとうれしいです。
では、本編をどうぞ(*´・∀・)つ!
しばらく馬車に揺られていると、何処かの町で停まった。
昔に一度経験したといっても、もう十数年も前のことだ。詳しいことは忘れている。
ただ、何となく懐かしいと思える。
「王都までは遠い、一泊してからまた向かう」
父様はそれだけ言ってさっさと降りてしまった。
たぶん、無表情なのに加えて言葉が少ないから父様のことを怖いと思っていたのだろう。
父様は降りるとこちらをじっと見る。
はて、何かあるのだろうか?
すると、後ろに護衛のようについていたもう一台の馬車から人が降りてきてこちらに向かってきた。グレーの柔らかそうな髪を首もとで緩く結んでいて青い目が下級でも貴族出身だろうと予測がつく優しそうな人だ。
「アドルフ様、お嬢様はまだ一人では降りれませんよ。さ、乗るときのように私がやりましょう」
男は微笑んでこちらにてを伸ばすし、父様はなにも言わないので黙ってされるがままに抱っこで降ろしてもらった。
あらら?父様より丁寧で上手い。
やはり、父様はなれていないのだろうし、この男は年離れた兄弟でもいるのだろうか。
降ろしてもらうと、男は笑って自己紹介をした。
「初めまして、私はカルト・フージャ。フージャ子爵家の者でランツェレト家に仕えております」
「はじめまして、ヴィヴィアンです。ありがとう」
フージャ家、思い出した。
ランツェレト家の分家であり伯爵の爵位を得ていたはずだ。
しかも、優秀で王家からも我が公爵家の分家として認められている家だ。
だが、こんな男はいただろうか?
もう、流れは変わっているのか?
いや、カルト?うん。名前は聴いたことがある気がする。でも会ったことはない?
うーん。あとで考えるでいいか。
父様はそれからわたしの歩く速さに合わせてくれている。学習能力の高い父様だ。
こう思うと昔のわたしは理解力が足りなかったのか?それとも、学習能力が足りなかった?
さて、歩くのもつまらない。
前回との違いを実現するためにももう少し話してみよう。
「ここって何て町?」
「‥‥これからは外では正しい言葉遣いを覚えさせるか。ここは精霊の住む湖が有名なニムエという町だ」
ニムエ、湖、前回はいってないのかしら?
「湖が見たい、見てみたい」
確認するために父様を見る。
すると、少し納得?したようだ。
昔、誰か侍女が言ってた気がする。父様が手を顎に持ってくのは納得してるからだって。怒ってるからじゃないって。
「行こう。休憩してからだ」
連れてってくれるんだ。
泊まる場所はこの町に唯一の貴族の家、いわゆる我が家の別宅だった。
さすが公爵家。家がたくさん。無駄にしか思えないけど。
別宅も本家よりはたぶん小さいけどこの町にある他の建物より断然大きかった。
家にある庭の見える部屋で休憩している。
だが、昔はこの時間が好きだったが今では暇だ。何かしたい。というかこの時間が勿体無い気がする。
「暇ですか?」
ああ、いたのかカルトさん。
うん。暇だね。うなずいて答える。
「では、この町についてお話ししましょう」
おお、前回は人間関係だけで辟易としてたから外を考えることはできなかったから気になる。いや、外を見なかったから失敗したのかな?
「この町はランツェレト家の領地であり、言い伝えではランツェレト家に縁のある土地らしいです。何が縁のあるかは伝えられてはいないんですがね。まあこの土地に名をつけたのは初代ランツェレト公爵様というのは確かですよ」
縁、わたしにもわたしだけのなにか繋がりがあるのかしら。でもランツェレト家も何故魔術で有名なのかも分からない。何か関係でもあるのかもしれない。
「ああ、あとここの湖には精霊が住んでいるというのは本当ですよ」
そういえばさっきも父様が言っていた。しかし、シマさんは精霊がいるのは珍しくないと言っていたような。
「精霊は何処にでもいるんじゃないの?」
そう聞くとカルトさんはすぐに答えてくれた。
「ええもちろん何処にでもいますよ。しかしそれは下級の意思を持たない自然のような存在です。しかし、ここはもっと珍しい精霊の生まれる場所なのです。住むではなく正しくは生まれる場所ですね。ですがこれはフージャ家とランツェレト家のみが知っているので言っては駄目ですよ」
そうして他の他愛のないしかし、前回では知り得なかった話をたくさん聞いた。
会話、ただ話を聞くだけだけどとても楽しかった。
「さて、そろそろ時間もいいですし湖へ行きましょう」