悔やむ終わり
誤字脱字、意味などの間違いがある場合は是非教えてください。
また、こうした方がいいよ、どういう意味?などのコメントも受け付けています。
読者様の意見を入れつつ、自分らしい作品を作れるように心がけたいと思います。
ドンッ!
「えっ?」
背中を押された衝撃に場違いな声が漏れる。
「ああ”ぐうっ」
そして遅れてやってくる痛み。
焼けたような、刺されたような、押しつぶされたような痛みが全身を駆け巡る。
今まで大きな怪我もなく痛い思いをしたことがないからか、酷く辛い。
一周回った痛みはわたくしを冷静にさせた。
床に倒れたまま原因を探る。
すると、後ろから逃げていく王子と庶民の少女の声が聞こえる。
私のことなど眼中にないようだ。聞こえる声がかえって憎らしい。
目の前で人が死にかけてるというのに。
なんて自分勝手な。
目の前にはわたくしを攻撃したであろう賊。
そこで理解する。
わたくしはとうとうすてられたのだと。
わたくしは結局その程度の価値なのだと。
自分の体から血が溢れ、体温が奪われていく。
寒い、寒い。
わたくしは回復魔術もできないのに。
あふれる血が生温かい。
まるでぬるま湯につかっているような。
そこで漠然と考える。
なんでこんなことになったのだろうか。
薄れ行く意識の中でふと、今までの人生を考えた。
もう、痛みも感じない。
ゆっくりと己の人生の愚かさを噛み締めというのだろうか。
確かに、才能は無かった。容姿もぱっとしないものだった。
それでも自分の立場を考えて行動もした。
好きな人には声をかけることすらできなかったのに、王子なんかに誤解されて。
足りない頭を使って考えたのに無駄にされて。
頑張ったのに褒めてくれない両親。
何も知らないくせに糾弾した王子。
私と違ってなんでも認められる庶民の少女。
流されるままの庶民も貴族もすべてが嫌いだ。
憎まれ口も、見当違いな批判も、汚名も、もうたくさんだ。
最後なんて敵の暗殺者の攻撃の壁にされて。
ああ、霞む視界でも精一杯に最後の景色を記憶に焼き付ける。
たとえこの世から消えるとはいっても一生忘れない。
忘れてなるものか。
恨みはしない。
結局私の自業自得。
いつか、いつか理解してくれると、認めてくれると期待していた私のせいだ。
もう一度、もう一度やり直す機会があるのなら。
もう間違えはしないと誓おう。
まあ、無理だろうから。来世の私に願おう。
周りに期待しないで。
見知らぬ他人よりも、友人よりも、家族よりも、まずは自分を幸せにしなさい。
自分が納得出来ないことはしないで、欲を、たくさん欲を持ちなさい。
そうしたらきっと後悔しないと思う。
だって、自分のために行動したんだもの。
他人のためよりかはましでしょう。
こんな世界なんて認めてやるものか。
こんな報われない世界なら、
偽善と悪意しかないのが世界の真実なら、
わたくしはもう二度と間違えない。
今度こそ、私だって幸せになりたい。
死とは喪失だ。
最後には何も残らない。
わたくしには後悔ばかりが残る。