ロストワールド 始まり
第一幕(序章)
静寂と呼べるほどの静かな空間に血の滴る音が響き渡る。
剣道場の道場の畳は血で赤く染まり、その血が瀕死の幼い少女の生命の断絶を今でもかという程に物語っている。
少女を両手に抱えながら幼い少年は涙を流していた。
そんな少年の涙を拭うかのように少女が掠れた声で呟いた
「太智のせいじゃないよ、、私が弱かっただけ」
そう言葉を言い残した瞬間少女は少年に抱えられえたまま小さく力尽きた。
少年は涙を流し続けたままこう答えた
「もう誰も失わないように、、俺はもっと強くなる」
第二幕(準備)
ピピピピピピ けたたましく部屋の中に目覚まし時計の音が鳴り響く
数秒経つと布団の中からまさぐる様にして手が出てきた、手で時計のスイッチを止め音が鳴り止んだ
「うるさいな、、、、あと五分だけ」
そう言い残すと布団の中の男は再び眠りにつく
しばらく経つと階段の下からその男の母親が叫んだ
「今日あんた入学式の日でしょ!早く起きて来ないと遅刻するわよ」
その声が耳に入った瞬間布団の中の男はハッとして目が覚め布団から勢いよく飛び出した
学校指定の制服であるワイシャツとズボンを素早く着ると前日に準備してあった鞄を手に抱え慌てて部屋から飛び出す、勢いよく階段を駆け下りると台所のあるリビングへと勢いよく駆け込む。
リビングの中には朝食用に焼かれたこおばしいトーストの匂いが広がっていた
「母さんありがとう あのまま寝てたら確実に入学式に寝坊で遅刻してたよ俺」
母に起こしてもらったお礼を言った後自分の寝坊を誤魔化すかのようにわざとらしく小さく微笑む
「あんたのいつもの癖でしょ 目覚まし掛けてあと少しって言って寝坊するのは、もう時間ないんだから早く食べて学校行ってきなさい」
母にそうせかされると急いで朝食をすませ歯を磨く、洗面所の鏡に映る新しい制服に身を包んだ自分の姿を見て昔からの時間の流れを感じる
そうこうしている間に歯磨きを済ませ玄関へと向かう、玄関で靴を履いていると後ろから声を掛けられる。
「太智、ちゃんと東京行くまでの新幹線の切符持った?」
母が心配そうに話しかける
「大丈夫だよ 切符ならちゃんと持ったし鞄にも必要なものは全部入れたし 顔以外なら完璧なところしかないよ」
冗談をほのめかしながら母に心配をかけるまいと答える
「そんな冗談が言えるくらいならもう心配なさそうね。太智、気お付けて行ってらっしゃいね」
「うん分かったよ母さん じゃあ行ってくるね」
太智はそう言うと玄関のドアをバタリと閉めた。
ドアが閉まると母の目からは涙がこぼれていた。無意識のうちに母の口から言葉が漏れた
「本当に気お付けなさいよ太智」
第三章(登校)
新幹線を東京駅で降りると時刻は7時半を指していた。入学式は8時半から始まるので今から歩いていけば十分に間に合うだろう。
駅を出て学校へ向かう最中に太智は心の中であの日と同じことを思っていた
「もう誰も失わないように、、俺はもっと強くなる」
今から500年前、地球上に突如として妖夢という化け物が現れた。妖夢は今まで地球上にいた他の生物とは明らかに違っている点が多かった。
彼らは生物と呼ぶにはあまりに異形な形をしており、そしてとても強かった。彼らは魔法や属性を使用し人類を大量に虐殺していった。
しかし時間が経つにすれ人類の中にも魔法や属性を使用出来る者が徐々に増えていった。その結果人類は300年前に妖夢との戦争を起こし。自らの生息圏に妖夢が近づかないように巨大な魔方陣を展開し、その魔方陣の中で暮らしてきた。
だが安全とは程遠く妖夢は未だ地球上に存在し、人々の恐怖の対象となっている。そのため戦闘の技術に優れ、妖夢に対抗するための人材を育てる機関が発達していった。その内の一つが対妖夢属性魔法指導員育成学校だった。そして太智が今向かっている
目的地でもあるのだ。
太智はあれから一時間ほど歩いたが未だに学校へは到着していなかった。
「あれ、、おかしいな。あれから結構歩いたし学校この辺のはずなんだけどな」
あたりには一般の住宅街が広がっておりとても学校などと呼べるものはなかった。
「地図間違えたかな、えっと ここが駅の出口で、、、、」
と駅の出口を確認したところですぐに異変に気付いた。
「駅からの出口学校から逆方向じゃんか!!!」
あわてて気づいた頃にはもう遅く、時計の針は既に8時半を過ぎていた。
急いで来た道を引き返し駅に向かって走り出す。
駅に入り自分が出てきた方とは逆の出口に向かって全速力で走り出した。
駅を過ぎ息を切らしながら学校のある方へと走り出した。すると学校が視界に入った瞬間に太智は足を止めた。
「デケえ、、、、」
目の前には中世の王族が住むような形をした巨大な城のような建物がそびえたっていた。
「入学書のパンプレットで見た時よりも全然迫力あるな、、、やば!こんなことしてる場合じゃない早く学校に行かないと」
目の前の光景に気を取られていたが現実を思い出し再び学校へと足を進めた。