5話 王都進軍準備
時間は俺が陛下たちを拘束する1時間前に戻る。
エリスに頼んでいた部下たちが集まったみたいだ。
俺はすぐに公爵家の謁見の間に向かった。
そこには2年前に旅をした仲間達、師匠、同盟を結んでいる王たちがいた。俺の姿を見ただけで、歓迎の声が上がる。本当に帰って来てよかったと思う。
「みんな。待たせて悪かった。ただいま帰還しました。」
代表として王たちが声をかけてくる。
「レン様、お帰りなさいませ。」
「ただいま戻りました。アーサー様」
そう返すとアーサー王は頰を膨らませて不満そうに睨んできた。
「レン様にはそう呼ばれたくないです。」
「失礼致しました。アルトリア様。」
本来の名前を呼んであげると、少し嬉しそうになるがまだ不満に思っているらしい。まぁいつものことだし放置しておこう。
次に声を掛けてきたのは、妖精王 ティターニアと精霊王 サリスだった。
「彼女も嬉しいのですよ。貴方様が帰還されて。」
「そういう貴方も嬉しいそうじゃないですか?ティア」
「当たり前じゃない。この日を待っていたのだから。」
2人は嬉しそうに話している。このままだと話が進まないからここいらで終わりにしてもらおう。
「御三方、そろそろ先に進ませていただこう。」
そういうと3人とも整列しているところに戻った。
「今回の内乱の時に不在だったことを深く反省している。また知っているものもいるだろうが、今回の内乱を終わらせる為、宰相たちは勇者召喚を強行した。」
この話を聞いてみんなの雰囲気が変わる。俺が公爵に叙爵された時に禁忌としたものだ。禁忌とした国が自ら破っていた下の子もない。
「また、召喚された人数は俺を合わせて41人。召喚者はアイリス第2王女。シャルル第1王女を人質にとられての召喚だ。仕方がない部分があるが、国民たちは納得しないだろう。シャルル王女殿下はこちらで保護している。」
そう言い終わると扉からシャルが入って来た。
「皆さま、ご無沙汰しております。アースティア王国第1王女シャルルでございます。この度はご迷惑をお掛けいたしまして、誠に申し訳ございません。しかしクロスフィールド公爵が戻ってこられたので、数日を持って終わるでしょう。」
この王女様は何を言ってるのかな?今までも数日で終わらせたことなんてないはずだ。しかもこの王女様、全部押し付けてくるつもりだ。
「レン様、何逃げようとしているのですか?」
シャルが笑っていない笑顔で見つめてくる。
「ナンノコトかな?俺が逃げるわけないだろ。」
こちらも笑顔で返しておく。
「夫婦漫才はいいから先に進んでください。お義兄様。」
エリスからツッコミが入る。
「ああ、悪い。現在、陛下と貴族は謁見の間にて待機中、アイリス王女と宰相は召喚の間にて、勇者たちと対面中だ。俺はこの機会に腐った貴族たちを処罰する為に王都に進軍する。これはシャルル王女殿下も承認してくださっている。ついてくるものは、30分後に公爵家前に集まれ。以上、解散。」
俺はそう言って、次の段階に入る。国民に向けての声明だ。
「アースティア王国の国民に伝える。私はクロスフィールド公爵家当主、レン=クロスフィールドです。国が荒れている時に不在だったことは申し訳ないと思っている。なので今回の責任を取り、内乱を収めるために私は王都に進軍する。このことはシャルル第1王女の承認があり、聖王 アーサーペンドラゴン様、妖精王 ティターニア様、精霊王 サリス様より正当なものと認められたものである。数日のうちに終わらせるので、もうしばらく待ってほしい。」
そう言い、俺は国民に対し頭を下げる。
そして仲間たちに向けてこう言った。
「さぁ、反逆者たちを滅しよう。」