4話 再会
俺は陛下たちとの密会を終えて、自分の家の前にいる。エリスと顔を合わせるのも久しぶりだけど、何よりあいつらに会うのが嫌だ。エリスにだけに会って逃げよう。それだったら大丈夫だ。そう思って入ろうとしたところ、門番に止められた。さっきから家の前をウロウロしていたから、止められても当然だろう。
しかも服装は、軍服ではなくローブに替えてある。
「そこのお前、さっきから何をしている。ここはどこかわかっているのか!」
なんかこの門番、高圧的だな。俺がいない時に雇われたのかな?こんな教えをした覚えないしな。
なんかムカついてきたから、無視をして入ろうとしたら、肩を掴まれて戻された。
「無視をして勝手に入ろうとするな!」
流石にこれはダメでしょう。騒ぎにしたくないから、穏便に入ろうとしたのに仕方がない。俺の身分を明かそうと決めた時、後ろから声が聞こえてきた。
「なにを騒いでいるのですか?コラム警備長」
後ろから来たのは、エリスだった。
コラムていう門番は、エリスに対して臣下の礼をする。敬意を払っている人にはしっかりと出来るのかなぁ?領民にもこの対応なら文句がないのだが…
「申し訳ございません。エリス様」
「構いません。説明をお願いしても。」
「は。この男が門の前でウロウロしていましたので、不審に思ったので声を掛けました。しかしこの男はそれを無視をして入っていこうとしたので、止めていました。」
「わかりました。貴方は仕事に戻ってください。
私がお話をお聞きします。いいですね?」
「了解致しました。」
そう言って、彼は仕事に戻っていった。
「私の部下が失礼致しました。中でお話をお聞きしますので、付いて来ていただきたいのですが…」
「わかりました。」
短く返事をして、後ろを付いていく。
久しぶりの再会なのだ、簡単にバラしても面白くない。このままイタズラを続けることにした。
そして案内されたのが、応接室の中でも最高クラスの部屋だった。内部は昔のままで、俺がいた時と何も変わっておらず嬉しく思った。
「申し訳ありません。お待たせしました。」
そう言って入って来たエリスは、先程までの軍服ではなく綺麗なドレスに着替えていた。
「では早速お話をお聞きしたいのですが、その前に質問をしてよろしいでしょうか?」
「ええ、大丈夫ですよ。」
なんだろうか?早速バレたとかはないよな…
「貴方はどうやって、公爵領に来ましたか?ここは許可された人しか入れないようになっています。そしてその結界を作ったのは、英雄であるお義兄様です。貴方はどうして入れたのでしょうか?」
ヤバイそれを忘れていた。どうやって誤魔化そうと考えていたら、応接室の扉がノックされた。
入って来たのは、執事のセバスだった。
「エリス様、お話中失礼致します。早急に報告しなければならないことがございます。」
「どうしました?」
エリスが報告を聞こうとした時、シャルとマリーさんが入って来た。
「エリス、久しぶりね。」
「え…、お義姉様?なんでここに」
エリスが驚いた顔で問いかけている。シャルはエリスに近づき抱きしめている。
「心配かけて、ごめんね。もう大丈夫だがら。」
それを聞くと、エリスが泣き出してしまった。シャルはそれを見ながら、落ち着かせようと背中を撫ぜている。マリーさんとセバスは、それを見て涙ぐんでいる。なんか俺、空気になっている。
それから10分後、
落ち着きを取り戻したエリスがシャルに聞く。
「それでお義姉様、どうやってここに?国家反逆罪で捕まっていると聞いたのですが…」
「もういいかな?貴方も充分楽しめたでしょう。」
シャルがこっちを向いて聞いてくる。
「そうだな。可愛い義妹の泣き顔も見れたから良しとしよう。」
俺はそう言いながら、服装を元に戻す。そして可愛い義妹に顔を見せる。
「ただいま、エリス。」
「え… お義兄様… お義兄様!」
泣きながら抱きついてくる。なんかさっき見た光景だ。シャルはこっちを見ながら微笑んでいる。
「エリス。今までありがとう。頑張ったな。」
「ひっぐ…うん。」
ずっとこうしていたいが時間がない。居なかったことを話したいが、仕事を終わらせよう。俺はエリスから離れる。
「クロスフィールド公爵家当主代行、エリス=クロスフィールド。俺がいない間、守ってくれて感謝する。今より俺が復帰する。異論はないな。」
「はい。代行権限を返上し、閣下の補佐に戻ります。」
「わかった。エリス、幹部たちを集めてくれ。王命に従い、この国を救う。」
「わかりました。すぐに集めます。」