1話 シャルとレン
シャルル王女視点――――――――――――――
私は私室に軟禁されている。
レン様を召喚するのを反対した為だから。
お父様たちは、貴族たちに反対していたが私が人質になったせいで、何もできない。これは当然の結果。
「これで良かったのですか?シャルル様。」
私付きの侍女のマリーが聞いてくる。
「ええ。これで良かったのです。あの方を巻き込まない為には…」
「でも、それだけの為にシャルル様が死ななくても…」
仕方ないことです。
レン様はこの国の為に、頑張ってくれました。
これ以上巻き込む訳にはいかないのです。
私は今までのことを思い出していました。
初めて、レン様に会った時のこと。
魔物を倒したこと。一緒に旅をしたこと。
ああ…私はレン様のこと好きだったのですね…
そうわかると死ぬことに後悔してきました。
「レン様。私の分まで幸せになってください。」
もう会うことのないあの方を思い出し、涙を流していた。
だから私は、そのことに気がつかなかった。
「シャル。君が泣く必要はどこにもない。」
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女神イシス様に送り出され、自分は再びエスティルに帰還した。
周りを確認すると、以前来たことのあるシャルの私室だった。
シャルの近くに召喚してくれると言っていたが、どこにいるのだろうか。
もう一度、周りを確認すると椅子に座り、涙を流しているシャルを見つけた。
自分はシャルが泣いている姿を見たくない為に戻って来たのに、召喚された瞬間に見てしまうとはなぁ…
声をかけないままでいるのも悪いし、声をかけるか。
「シャル。君が泣く必要はどこにもない。」
そう伝え、シャルの場所に向かった。
「え。どうして…ここにいるの?」
彼女は、自分がいることに驚き聞いてくる。
「どうしてだと思う?答えは意外と簡単だと思うよ。」
自分は笑ってそう問いかける。
「なんで笑っていられるの?もう元の世界に戻れないのに…」
彼女は泣きながら、問いかけてくる。
「それは君の方が大切だからだよ。だから俺は帰ってきた。」
そう言うとシャルが泣きながら、抱きついてきた。
自分は彼女を守る為に、向かってくる敵には全員倒すと決めた。例え相手が神であろうとも…