プロローグ②
気が付くと真っ白の空間にいた。
見慣れた空間だ。
最初に来たのは、勇者召喚された時だ。
あたりを見渡してみると、
髪の毛が長く、スタイルが良く、神々しい女性が立っていた。
「お久しぶりです。神谷 蓮さん。それとも、レン=クロスフィールドさん。と呼んだ方が良いですか?」
「どちらでも良いですよ。女神イシス様。」
そう目の前にいる女性は、一応は神様である。
少し残念であるが…
「ちょっと待ってください。一応ってなんですか!残念ってなんですか!」
「イシス様。人の心は読まない方が良いですよ? 知らなくても良いこともありますから。」
自分は何か大事なことを忘れているような……
「もう私、泣いてもいいかな?今回のことを説明する為に呼んだのに…」
今何って言いました?この人。今回の説明?
何のことですか?
「せめて、口に出して言ってください。レンさんを呼んだのは、今回の召喚について説明する為です。」
「そうだ!それを聞こうとしたんだっけ。」
「レンさんも人のこと言えないですねー。私たち似た者同士ですねー。」
「そのやり取りはもういいですから。説明をお願い致します。」
自分はさっきまでとは違い、真剣な顔をした。
「そうですね。説明を致します。」
女神イシス様の説明はこうだ。
今回の自分召喚は巻き込まれただけ。
召喚されたのは、クラス全員と担任。
召喚された理由は、戦争の為の戦力として。
召喚された世界は、前回と同じ、エスティル。
今回の召喚は黒幕がいること。
「あとレンさんには、残念なお知らせがあります。
今回召喚した国は、アースティア王国。召喚者は、第2王女である、アイリス王女です。」
「冗談だよなぁ!あの国がそんなことするはずがない!」
自分はそう言いながら、女神様を睨みつけた。
「いいえ。冗談ではありません。そして急がなければなりません。レンさんの為にも。」
「どういう意味だ。」
「王国は、聖女である第1王女、シャルル王女を国家反逆罪で処刑することを決定しました。後、数日しか時間がありません。」
嘘だろ…
シャルが処刑されるなんて…
なぜ? そんなことに…
「理由は簡単ですよ。あなたを守る為です。王国は最初、英雄であるレンさんを召喚しようとしていました。それを知ったシャルは、あなたを召喚すべきではないと。あなたには幸せに生きてほしいと。しかしそれを聞いた貴族たちは、シャルを無実の罪で幽閉しました。そして、今回の召喚を強行したのです。」
「陛下たちは、止めなかったのか?」
「止めようとはしていました。ただシャルを人質に捕らえられたので、言いなりになるしかなかったみたいです。」
「そうか。あの陛下にも止められないか…」
「はい。だから、召喚に巻き込まれたあなたをこちらに呼びました。シャルを救っていただく為に…」
「ああ。わかった。」
その一言を言って、目を閉じた。
その閉じた中で思い出すのは、シャルと一緒に過ごした日々だった。自分は何の為に戦った。
守りたいものを守る為だったはずだ。
覚悟を決めよう。
「女神イシス様。前回、世界を救った報酬がありましたよね。」
「はい。ありますよ。叶えられる制限がありますが…」
「まず1つ目、ステータスや装備は送還時のまま。
2つ目、シャルに近い場所に召喚場所を変更。これぐらいかな?」
「わかりました。その2つだけでしたら問題ありません。今から行います。」
イシス様が言うと、自分の身体が光に包まれた。
学生服だったのが、王者の風格の白い軍服に。
背中には同じく白いマントがある。
腰には、聖剣デュランダルが装備されている。
「今からシャルの場所に召喚します。お願い致します。あの子を救ってください。」
「ああ。絶対に救ってみせる。」
そう言って、自分は再びエスティルに帰還した。