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偏執病  作者: オリンポス
7/7

E.二人の責任

 僕はウーロン茶を口に含んで一息ついた。

 こうやって打ち合わせの度に飲食を嗜んでいては太ってしまう。

 そう思いつつも、自分なりに分析した資料をもとに話し合いを始める。

「まずは、連載会議の結果を発表をします」

 同期の斎藤が野球マンガを発表してから三か月が経過していた。

 僕と田中さんは、さらにパワーアップした野球マンガを連載会議に回したのだった。


「連載は……」そうお茶で口の中を潤す。「見送りになりました」

「そうですか」

 明らかに気落ちした表情で、田中さんはガーリックトーストをかじる。

 サクッと小気味良い音が鳴った。


「私はもう定職に就こうと思います」

 気まずい沈黙が流れた後、彼女はそう口を開いた。

「もちろんマンガは就職してからも描き続けます。でも、もう……」

「なんでしょうか?」

 僕はそう合いの手を入れる。

「自立しなきゃいけなくなったんです」

 彼女は一気呵成にまくしたてる。

「お父さんがヘルニアになっちゃって、しばらく仕事が出来ないんです。それに、これからのお給料だって減額になります」

 あんなにキラキラしていた女の子が、今では痛々しい。

「だから身の程知らずにも夢を追いかけてしまった責任をとらなきゃいけないんですよぅ」

 最後はすがりつくようにそう言った。

 それでも泣かずにいる。意志の強い娘だ。


「ええと、誤解していませんか?」

 僕は調子外れにウーロン茶をすする。

「連載は見送りになりましたが」

 ナプキンで口元をぬぐってから、

「読み切りで試すことにはなりました」

 田中さんの巨乳が揺れた。

 僕はおっぱいから目を逸らさない。

「連載会議では文句なしの秀作だったそうですが、やはり本誌ではどうなるかわかりません。上も万全を期したいのでしょう」

「よかった」

 田中さんはホッとしたようにそう呟くと、

「私の作品、まだ直すべき点とかありますよね? 掲載されるまでに描き直したいんです」

「はい、おっぱいを見せてほしいですね」

「え……」

「あ、しまった。これは僕の願望か。ええと、つまりだね」

「うふふ。面白い」

 彼女はそう屈託なく笑った。

 結局その意見は通らなかったが、それもまた僕らしい。


「あの、田中さん」

「なんでしょう。おっぱいなら却下ですよ。それは私の好みではありませんので」

「僕はあなたのおっぱいが大好きだ。付き合っていただけないでしょうか」

 僕はそう大衆レストランで告白した。

 そのおっぱいを一生守っていきたいと思ったからだ。


「いいですよ」

 意外な言葉が、田中さんの唇から発せられた。

「ただし……条件があります」

 それを聞いて、僕は思わず吹き出しそうになった。

 本当に気の強い娘さんだ。


"私を人気作家にしてください。これは二人の責任ですから"なんて。


 ますます斎藤に負けるわけにはいかないじゃないか。

最後までお付き合いくださりありがとうございました!

これから半年間はもっと仕事が忙しくなります。

更新は滞るかもしれませんが、仕事の方を優先せざるを得ないのでご了承くださると嬉しいです!

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