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紅くて、白くて。  作者: 小早川夕霧
1/1

第一幕

はじめまして。


私、初めて小説を書いたので、誤字やミス等あるかもしれません!

その時は、ご指摘していただけたら、幸いです。

拙い文章ですが、読んでくださると嬉しいです。

内容にいたしましては、吉原についてネットや辞書等で調べながら書いておりますが、実際とは異なることを書いていることもあります。

ご指摘していただけたら、場合によっては直すこともありますが、小説の内容的に忠実にしない場合もありますので、ご理解よろしくお願いいたします。


【お前は今日からこの椿楼で哀として生きていくんだよ。お勤めに励んでおくれ。】

ただの高校生だった私は、今日からこの吉原で生きていく。



ことの発端は、私が現代から江戸時代の吉原にタイムスリップしたことだ。

着物屋を営む家の、ごく普通の高校一年生。運動だって勉強だってごくごく普通。今まで彼氏なんかいたことなんかなくて、高校で彼氏が出来るのを夢見てて。

だけど、着物を保管している倉を掃除していた時だった。なんだか眠くなって寝てしまって、起きたらタイムスリップしていたという訳だ。



最初は夢かと思った。だけど、周りは歴史の教科書で見るような人々や建物ばかり。人々は私の服が着物じゃないことから、ジロジロと見てくる。

人から逃げるようにがむしゃらに歩いていると、神社があった。そこは、学校帰りにある神社によく似ている。私は、急いで駆け寄った。その神社はまさしく近所の神社だった。ただ一つ、訪れている人や周りにあるものが現代の物ではなく、明らかに時代が違うと理解出来た。

これからどうしよう、帰られるのかなと考えながらも、赤く染まりつつある空を見て、食べ物や泊まる場所を心配していた時だった。

端で座り込んで悩んでいた私に声をかけたのが、椿楼の楼主さんだった。

「その服はどこで買ったんだい?ここで何をしているんだい?」

と言われたが、自分でもまだ理解も出来ていないのに、答えられるわけもなくて。優しそうな人だったから、なんでも働くからお金を欲しいと頼んだ。

それで、そのまま椿楼で哀として働くことになったのだ 。現代の知識や、教養からか、そこそこ見世でも高級の部類に入る見世らしい。そこで、禿から修行して新造となれば、出世コースを歩みやすいようだ。女郎になれば、それはそれは優雅に豪華な座敷が持てて、すごく稼げるらしい。

勿論、遊郭で働けば給料や暮らしも良いらしい。また、禿や新造の間は客と寝ることは無いそうだ。ここで、誰かに襲われたり、不審者として捕まるかも知れないまま待つより良いだろう。この好条件に引かれ、そのまま楼主さんと椿楼へと行った。

その後、椿楼に着くと、私を教育してくれるという姉女郎を紹介された。

「哀、お前の面倒を見てくれる菖蒲だよ、ちゃんと挨拶しな。」

呼ばれて行くと、そこにはとても美しい人がそこにいた。顔の美しさと言い、動き1つからでも漂う色気、ふわっと香るお香の香り。

「たいそう変わった格好をしておるな。大丈夫なのかい?今からなるんだったら、他の禿より努力をしないといけないよ。頑張りなよ。」

言い方は少しきつめだけど、第一印象は優しそう。

女将さんから椿楼一の売り上げと聞いていたが、見た目だけでなく、声もこんなに色っぽいなんて!

天は二物を与えずって絶対嘘だよと思わずにはいられないほど。

「が、頑張ります・・・。」

自分の色気の無さに泣きたくなる。だけど、女郎になるためにも頑張るしかない。

私はこうして遊女としての道を歩き始めた。


次の日から私は新造になるために、芸事を勉強したり、姉さんのお手伝いをすることから始まった。

まずは着替え・・・ということで、姉さんが準備してくれた着物を着た。普段からよく着ていたため、着物は難なく着ることが出来た。私が好きな締め方で帯を締め、髪をセットしてもらい、メイクをする。今までしたことないこともあり、毎日は目まぐるしく過ぎてゆく。


半月ほど過ぎた頃だろうか。少しはここにも慣れてきたころだ。週に何度か行く三味線の稽古の日で、いつものように稽古を終え、帰っていたところだった。

いきなり後ろから声をかけられ、振り返る。そこには、背の高いスラッとした男がいた。

「その帯の締め方、どこでしたんだい?どこの見世の子?」

着物をスラッと着こなし、凛とした雰囲気がどことなく漂っている。癖のない漆黒の髪が、涼しげな瞳と長い睫毛にマッチしている。

「自分で着付けしてます。見世は椿楼の、哀と申します。」

疑うような顔でこちらを見つめてくる。あれ、私なんか変なこと言ったかな。

「まぁ、いいや。今度見世いくからよろしく。」

そう言って、立ち去っていった。

っていうか、あの人誰なのよ。すごいイケメンだし!

変なことをした覚えも無いし、着物の着方が変なわけでもないはずだし。

今度お店来るとか言ってたけど、大丈夫かな、、、。


その日の夜。普段は、菖蒲姉さんのお座敷で姉さんの接客の手伝い及び勉強しているのだけど。

突然座敷に呼ばれて、そこには今日声をかけてきたあの男がいた。

今度って言ってたのに、今日来るとか、、、。

「本当にこの見世の子だったんだな。見たこと無かったから、嘘付いてるんじゃないかって思ったんだよ。」

だから疑うように見てきたのね。それなら、そうと言ってくれたら良かったのに。

「楼主さんにも聞いたが、本当に自分で着付けしてるんだな。どこでその着方習ったんだ?」

小さい頃から家で着ることも多くて、帯はアレンジが出来るから、自分流にして着ていたのだけど、それに気付くなんて、この人何者??

「これは自分で着方をアレンジして着ているんです。」

「あれんじ?あれんじとはなんていう言葉なんだ?」

忘れてた!英語とか日常的に使ってる時代じゃない!

ぅぅう、喋りにくい、、、。

「西洋の言葉で、自分流にするってことです!」

若干意味が違うかも知れないけど、頑張って使われていそうな言葉に変換する。

「禿なのに、西洋について知っているんだな。最近、蘭学についての本を買ったんだが、蘭学は知っているのか?」

「オランダのことですよね?ターヘルアナトミアくらいなら知っていますよ。」

学校で蘭学についてなんか、ターヘルアナトミアが翻訳されて解体新書になったとか、さつまいもを研究した人がいるくらいしか勉強した覚えが無いから、これ以上知らないけど。

「たーへるあなとみあ、も知っているんだな!よくスラスラと話せるな、まだ俺も言うのになれないというのに。」

このあとも、蘭学やら西洋について話してくるこの男性に私の知識を全動員させて話をした。

なかなか私のように知識のある女郎はいないのだろう、私も未来から来たから知っているのだけど。

ずいぶんと楽しそうに話をして、満足そうにして帰っていった。


女将さんに呼ばれて、女将さんのところに向かうと、

「哀、あんな上客呼ぶなんてすごいじゃないか!あれは、伊勢屋の若旦那、義孝様だよ。一体、いつ出会ったんだよ。ここにお前が来てから、そこまでたってないというのに。伊勢屋の若旦那なんて上客を連れてくるなんて、こりゃあ早く新造にさせないといけないな。」

あの男、ただの頭が良いイケメンじゃなかったらしい。これからも私を指名して見世に来てくれたら、敵娼というのになれるらしい。

話も楽しくて良いお客様だったから、また来てくれると良いのだけど。


次の日の朝、姉さんに呼ばれて部屋に向かう。そこには、私と同じく新造から禿になる雪ちゃんがいた。雪ちゃんとは姉さんの座敷でよく一緒になる。

「一ヵ月後、新造出しを二人ですることになったのよ。だから、新造出しの費用を用意するために、お金を出してもらえるようにお客様にお願いするなりなんなりしてちょうだいな。」

と、姉さんに言われたものの。姉さんの座敷の手伝いもまだなれてない故、お客様となかなか話せない上、指名は昨日が初めてだったわけだし。無理がある。


「哀ちゃんは誰に頼むの?」

雪ちゃんは、初めて会った時から突然来た私にも優しくて天使のような子だ。容姿は私と同い年には見えないほどに大人びて見える。そしてまた、姉さんの下で小さい頃から働いていたからか、全身から色っぽさが出ているのにも関わらず、顔はいわゆる可愛い系。姉さんのお座敷でも、おじ様達から絶大な人気がある。

「私は頼めそうな人いないなぁ。雪ちゃんは?」

「私は、〇〇屋様が出してくれるって!」

流石、雪ちゃんは今日費用について言われたのにも関わらず、もう費用を出してくれる人がいるなんて。

「新造出しの費用は高いから、早めに探さないと間に合わないかも。哀ちゃんも頑張ってね。」

お稽古に間に合うように走っていった雪ちゃん。走る姿でさえ、可愛い。

私もこうはしてられない。今日は稽古が無い代わりに、お使いを頼まれたのだ。行ったことが無いところだから、迷子になるかもしれないから、明るいうちに行かなければ。

しかし、意外にもあっさりお使いは無事終わり、商店街を歩いて帰っている時だった。

「哀!おい!哀だろ??」

突然、声をかけられて、とても驚きながら振り返る。そこには義孝様がいた。

「義孝様!なんでこんなところにいるんですか?」

「名前、知ってるんだな。なのに、店は知らないのか。ここ、俺の店だぜ?」

周りを見渡すと、商店街の一角すべて、伊勢屋と書かれた看板の掛けられた店だった。こんなに大きかったんだ、、、、。そりゃあ、上客だよね、、、。

「まぁ、上がっていきなよ。ついでに着物選んでやるよ。」

なかば、強引に店に引っ張られて入る。店はとても綺麗で、しかも豪華な着物やら簪やら飾られている。客もたくさんいて、見るからに繁盛している。


店の奥の少し仕切りのある部屋まで連れて来られる。そこで、座るように促される。

「ちょっとお前に合うやつ持ってくるから、待ってろよ。」

そう言われ、待つ間、店で接客をしていた女の子がお茶を持ってきてくれた。

「義孝様のお気に入りなんですね!ここに女の子連れてくるなんて初めてなんですよ。義孝様はとても優れていて、この店の繁盛は全部義孝様のおかげなんです!すごいでしょう?」

笑顔でそう言って、また忙しい店内に戻っていった。

店の繁盛は義孝様のおかげらしいし、従業員にも慕われているなんて、義孝様は本当にすごい人なんだなと改めて思う。


そうしていたら、義孝様がたくさん着物を持って現れる。

「お前に合いそうなやつをとりあえず持ってきたんだ。お前の好みのやつを選んで良いぞ。」

それにしても、多くないか?一着一着がどれも良い生地感で明らかに高そうだし。

「こんなの、貰っても良いのですか?」

「俺があげるって言ったんだから、お前は好きなやつを何個でも持っていけよ。」

そう言われても、今まで着物を買ったり、選んだことが無いから選べない。そうしているうちに、義孝様が私の体に着物を合わせて、選んでくれた。

「着方、、、はわかるか。一回、着てみてくれないか?」

義孝様が選んだ着物はとても生地がしっかりしている。私が普段着ている着物と違って、こんなの着たことない。

「さすがに私一人じゃ着れそうに無いから、誰かに手伝って貰っても良いですか?」

「じゃあ俺が手伝ってやるから、ほら、立てよ。」

すらっと長い指が私の手をつかんで、私を立たせる。

そのまま、着ていた着物をスルスルと脱がして、先程選んでいた着物を着せてくれる。

さすが、着物を売っているからか着物を着せるのはとても上手く、動く度に癖のない義孝様の黒髪がゆれる。近くにいるからか、とても良い匂いがふわりと香ってくる。

「ほら、この着物どうだ?これ、お前の新造出しの時、着てくれないか?」

艶やかな赤の子袖に、華が描かれた黒の帯。そういえば、新造出しの衣装は、赤って言っていたような。

「義孝様、私の新造出しのために選んでくれたんですか?」

「だって、新造出しはお前の晴れ舞台だろう?ちゃんとしたやつを選んでやりたいって思ったんだよ、お前のために。」

まだ何度かしか話したことが無いのに、こんなに私のために選んでくれるんなんて。

「とても素敵です!ありがとうございます。」

満面の笑みで感謝を伝える。

「それに俺が選んだ着物を着てたら、俺の女って周りに示せるだろ?」

ニヤッとした顔で笑いながら言う。この人、絶対タラシだって、思いながらも、こんなにしてもらって嬉しいに決まってる。

「俺の女じゃまだ無いですよ!ちゃんとまた見世に来てくれないとダメですよ?」

照れを隠しながら言うと、今度は簪を私の髪に差しながら言う。

「今日もこれからお前と見世行くからさ、な、だから、な?」

笑う顔がなんとも色気がある。私は赤くなった顔を必死に隠して、義孝様と一緒に見世に行った。


そのまま見世で私は義孝様を座敷で接客する。途中で義孝様は女将さんを呼んで、私の新造出しの費用を支払った。

聞いてなかった故に驚きを隠せない。

「義孝様、新造出しの費用も支払ってくださるんですか?着物も頂いたのに、、、。こんなにしてもらうと悪いですよ、、、。」

着物でさえ、あんなに立派な物だったから、相当高いはずだし、新造出しの費用だって高い。罪悪感しか芽生えない金額なはずだ。

「俺がお前のために勝手にしたことだから、気にすんなよ。今日も楽しかった、また来るからな。」

そう言って、帰っていった。

その言葉も、行動も男前としか形容出来ない。

胸が高鳴る。

またっていつかなと、ふと思う。早く来てくれないかな。





最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。

感想等いただけると、とても嬉しいです。


今回、吉原ものを書いたのは、吉原遊郭に興味があり、そして遊女にとても憧れがあったからです。

一回で良いから、おいらん(何故か変換出来ないから平仮名で)の格好してみたいとか、思うことありますよね、、、?

あとは、着物男子萌え!みたいな!(笑)



書くことが思い付かないので、これにて!

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