第11話 復活!(作者が)
また1年半空きました。
読んでる人いたらごめんなさい。
続きは一応練ってあるんでよかったらたまに覗いていただけると嬉しいです
何が起きたんだ…?
「す、すまない福井さん。大丈夫かい?」
安倍が福井さんに声をかける。
「う、うん、私は大丈夫だけど… 給食が…」
どうやら松山と安倍が肉じゃがを取り合ってバランスを崩した安倍が福井さんにぶつかってしまい、転倒した福井さんが持っていたツナサラダの入ったボウルを落としてしまったようだ。
「ど、どうしよう… 」
4分の3ほどが床に溢れてしまっている。
落ちた分はもうダメだな…
「うわあああぁ! 俺のツナサラダがああぁ!」
呆然としていた松山が取り乱す。空腹時の松山にとって給食の量が減ることは死活問題なのだ。無理もない。
「お前ら何やってんだよ!俺の給食どうしてくれるんだ!」
松山が安倍と福井さんに向かって吠える。
「ご、ごめんなさい…」
「いやいや、元はと言えば君が…」
安倍が次の言葉を発する前に、松山の手が安倍の胸倉を掴んだ。
「元もクソもねぇ! 最初から俺に任せてりゃこんなことにはならなかったんだ!」
「ぼ、ぼぼぼ僕はじ、じじじ事実を言ったまでで…!」
安倍はぶるぶると体を震わせ、それでもどうにか次の言葉を紡ごうとするがその努力は限りなく空回りする。
「ごめんなさい… 私のせいで… 本当にごめんなさい…」
泣きそうになりながら福井さんが謝っている。
こりゃ大変なことになったな…
しかし、こんな大惨事を目の当たりにしたにも関わらず 俺は極めて冷静だった。
それは俺の内なる邪悪が顔を覗かせたからである。
あれ?今日野菜食わなくていいんじゃね…?
うーん、我ながらこのクズっぷり。
今日の1番の難敵は間違いなくこのツナサラダだ。 そのツナサラダが無くなれば今日の俺は敵なしである。なんなら 4分の3どころか、全部溢れてしまえばよかったのにとすら思ってしまっている。
そんな下衆なことを考えていると相沢が松山に言った。
「ちょっとやめなよ、みっともない。松山、手を離しなよ。」
怒り狂っている松山に対して毅然とした態度で立ち向かう相沢。 すげえな、こいつ。
「あぁ? お前は黙ってろ!」
ドンッ
「いたっ」
松山が相沢を小突く。 相沢はバランスを崩しかけるがなんとか踏みとどまる。
おい、何しやがる。
「松山、てめぇ…」
松山の暴挙に思わず俺もキレそうになった。
「おーいお前ら何してんだ?ってうわ!それどうしたんだよ…」
ようやく音楽の授業の居残りから解放されて戻ってきた菊池が登場したことで俺も冷静になる。
「どうもこうもない、見ての通りだよ。」
「まじかよ、でもとりあえず他の準備進めたほうがいいんじゃねぇか?」
確かにその通りだ。 この大惨事のせいで作業工程がストップしてしまっている。
「そうだな。菊池、他のクラスに行って新聞とかティッシュとかを持ってきてくれないか?そのあとで安倍と一緒にここの後片付けを頼む。俺たちは配膳の方を進めるから。」
松山と安倍は別行動させたほうがいいだろう。また揉めたりしそうだしな。
「わかった、任せろ」
菊池は頷くと他のクラスへ向かった。
「よし、早く教室に戻って準備を進めよう」
「ほら福井さん、早くいこ」
「うん…」
先程から俯いてしまっている福井さんを相沢がフォローする。
「ちっ…」
渋々松山もついてくる。
俺たちはツナサラダ以外の給食を教室に運び始めた。
俺にとっては給食を食べること(残すこと)が本当の戦いだが、今日に限ってはその前に山場を迎えることになるだろう。
長い闘いになりそうだ…