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3章 最大!の異常な熱情 またはウチは如何にして心配するのを止めて映画を撮るようになったか

3章 最大!の異常な熱情 またはウチは如何にして心配するのを止めて映画を撮るようになったか


「あの時は大変だったね~」

のほほんとした声に若干イラッ☆っとする。

「何よ助け舟くらい出したっていいでしょ。御簾に怒鳴られて口パクパクさせるだけだった癖に。ほんと頼りないんだから」

「御簾呼ばわりは流石に失礼だよ。所長で、大人で、大会社の部長さんなんだし。そんな人を皆の見てる前で面子潰しちゃって」

「う」

改めてそう言われると今更ながらに自分のやった事に後悔の念が押し寄せてくる。

「あの時は仕方なく…」

と言い訳をぶつぶつとつぶやくが、聞いちゃいないとばかりにさらにのほほんとした声で、

「それに話を聞いてると御簾さんの事をやれ最大さんを嵌めただの、ペテン師だのえらい言いようだけど本当にそうなのかな?マウンティングとか猿じゃないんだから…」

「どういうことよ」

「僕には御簾さんそんな悪い人には思えないんだけど。みっちゃん御簾さんに最大さんの事ちゃんと紹介した?」

…してない。

「みっちゃんのそういう突然無鉄砲になるとこ直した方がいいと思うよ~」

とどめの一言を放つと吾妻あずま 京斗きょうとはグラスに残ったアイスティーの残りをカランと氷の音を立てて飲み干した。

そう突然なんだよなァいつも…とウチはテーブルに突っ伏した。


ここは杉並撮影所の近くの喫茶店『リヴァプール』。今日は8月1日の午前10時。今日もやけくそみたいな快晴で気温はグングン上がっている。

喫茶店の中は抑え目のエアコンが効いていて外の暑さからここ窓際のテーブルを守ってくれている。店内には外の暑さから逃れてきたお客さんでほぼ埋まっていた。

アイスティーのグラスに残った氷を幸せそうに齧っているこの軽薄そうなイケメン(中学の頃のクラスの他の女子談)は、昨日の騒ぎの際所内にいた米永さん以外の名前も出なかったその他大勢のモブ所員の一人で、ウチの昔からの知り合い吾妻 京斗だ。

蛍光緑、蛍光ピンク、金とものすごい派手な髪色をしている。なんでも高校が自由な校風なんだそうでこんな頭も許されるとか。見た目で敬遠される事も多いけど本人はどこ吹く風。かわいい顔立ちとのギャップもあってか昔から妙に女子に人気がある。

京斗は近所に住む幼馴染で小中と同じ学校で小さい頃からよく一緒に遊んでいた。兄弟のいないウチにとっては兄のような存在だ。高校は別々になってしばらく疎遠になっていたのだが、杉撮には以前から参加していて、ウチの事を紹介してくれたのをきっかけに再びよく話すようになった。

今は「あちー」と外国のバンドのロゴが描かれたTシャツの胸元を手で煽っている。


3日前の大騒ぎ以降ウチは杉撮へ顔を出していない。

京(昔は京兄ぃだったけど、高校に入ってからはこう呼んでいる)によると最大!も顔を出していないそうだ。

一昨日、昨日、今日とベッドの中で先日の騒ぎを思い出してはジタバタとしていたら、親に外に出ろと部屋から放り出され、仕方なしに京を『リヴァプール』へと呼び出したのだが、今はその事を後悔していた。

いや、京に頼らざるを得ない自分が情けない。

この付き合いの長い友人の言っている事が当たっているのがキツイ。


「さて、お茶も飲み終わったしそろそろ行こうか」

「行きたくない~」

「ちゃんと御簾さんに事情をちゃんと説明してごめんなさいすればいいじゃん」

他人事だと思って簡単に言ってくれる。

それにあの騒ぎってウチが全部悪いの?

いや。

京がウチと同じ立場だったらしっかり反省した上で頭を下げるだろう。

そして自分の通すべき筋はしっかり通す。

大人なのだ。

京はさっさと自分のトレイを下げると外に出て行ってしまう。

ウチはのろのろとトレイを持つと死刑台へ引きずられる囚人の気分で後を追った。

じりじりと容赦なく照りつける日差し。自動ドアを抜けるとそこからは杉撮までの13階段。

「ありがとうございましたー!」のバイトのお姉さんの声が「Dead man's Walking !」と聞こえた気がした。


京の情報で御簾さんが今の時間杉撮にいる事は分かっていたのでウチはまっすぐ所長室に向かう。

ドアの前で固まっていると京斗目で促してくる。ウチは大きく深呼吸してドアをノックすると「どうぞ」と中から声がした。

「失礼します」意を決してドアを開けると、デスクで映画を見ていた御簾さんがリモコンでDVDを一時停止するところだった。


「先日は大変失礼しましたっ!」

ウチは部屋に通されるや否や御簾さんに頭を下げた。

「頭を上げなさい縞音さん」

静かに声をかけられ、続けて予想外な言葉を聴いた。

「貴女に謝っていただく事は何もありませんよ」

怒鳴られるか、出入り禁止を言い渡されるか、嫌味を言われるかとばかり覚悟していたウチは拍子抜けしてしまう。

「え、それはどういう…」

「どうもお互いの認識にずれがあるようなのでね。詳しく話を聞きたいのですよ」

「詳しく、とは…」

「貴女と射州君の関係です」

「…分かりました」

ウチは改めて公園での出会いから先日のドタバタまでを出来るだけ詳しく話した。


あんまり要領の良くない長い話を御簾さんは辛抱強く聞いていた。途中何かを質問されることはなく、ウチの話を最後まで聞き終えると、

「なるほど。事情はよく分かった。射州君と縞音君は本当に知り合いというわけではなかったのだな」

勿論ウチも最大!も嘘なんかついていない。

今度は御簾さんが話し始めた。


御簾さんの話はこうだった。

あの日杉撮へやってきた御簾さんは二階の杉撮のドアの前に大男の不審者を発見する。

その男は初めて見る顔で、宅配便の配達にも、ピザ屋の配達にも見えなかった。どう見ても道化師である。

声をかけようとするよりも早くのそ不審者はドアを破壊、慌てて部屋の様子を伺うとどうやら縞音君(ウチだ)の知り合いのようである。

実際は知り合いと言ってもほんの20分前に偶然関わり合っただけなのだが、まさかそんな事情を知る由もない諏訪さんはまずこの男を

器物破損が目的の暴れ者で、その暴れ者を呼んだのはウチだと思ったらしい。

しかしこの男はたんに暴れるだけでなく入所を希望すると言う。

何かの企みを感じた諏訪さんは射州君を排除すべく試験をさせて真意を図ろうとした。

この時点で御簾さんは幾つかの可能性を考えていたらしい。

・頭のおかしい暴れ者。

・何かしら撮影所に不満を持つ縞音君は大男と共謀して杉撮を破壊もしくは支配下に置くのが目的。

・この大男は縞音君のストーカー。

・縞音君と大男の言うとおり二人は無関係で大男は単に入所を希望してきただけである。

上から順に可能性が高いと思っていたそうだ。

実際は一番下だったんだけど。

一週間で最大!を見極めようとした御簾さんは、意外な事に毎日おとなしく映画を鑑賞している姿を見て上の可能性から順に下の可能性へと認識を改めていったらしいが、入所させるにしてもいきなりドアを破壊するような乱暴者が我が物顔で杉撮を支配するようになっても困るので保険として「例のトラップ」を仕掛けていたんだそうだ。


話を聞けばウチの認識とは随分違う諏訪さんの見方が見えた。

さっきウチは先日御簾さんに恥をかかせた事を謝ったのだが、そんな事は問題の本質じゃなかったのだ。

「でも所長もノリノリだったじゃないですか。最大君とがっちり握手なんかしちゃって」

京が御簾さんにつっこみを入れると、諏訪さんはニヤリと笑った。

ああいうノリは存外にお好きらしい。そういえば諏訪さんもドア壊してたよね。

「でも所長の権限で入所なんか認めず追い出してもよかったのになんで試験なんかしたんですか?」

京が御簾さんに尋ねる。

「ああそれは私と一緒にやってきた樹君の提案なのだ」

「樹さんですか、なるほど。ところで」

と続けて

「さっきから気になっているんですけど、所長その画面に映ってるのはなんですか?」

さっき一時停止がかけられたモニターには、ディズニー映画から抜け出してきたかのような見るからにお姫様が大きな目を見開かせたまま映っている。

ウチはこの映画を知っている。ロマンティックコメディの『魔法にかけられて』だ。

確かに火薬と人死にが大好きな御簾さんらしからぬ(失礼)映画のチョイスである。


「真面目なのよ諏訪ちゃんは。ちゃんと私のいいつけ守ってるのね」

そう言って所長室に入ってきたのは幕間先代所長だった。

「所長こんにちは。いらしてたんですね」

京が所長に挨拶をする。ウチも続けて頭を下げるて挨拶する。

「京ちゃん、翠子ちゃんこんにちは。もう所長じゃないんだから鈴蘭って呼んで欲しいな」

先代所長にも関わらず思いの他気さくに接してくれる。

持って生まれた陽性な雰囲気と共に先日の鮮やかな啖呵もあってウチはこの人をもう好きになっていた。

「あの…ちゃんとお話しするの初めてですよね。縞音 翠子です。いつもお世話になっています」

所長…じゃなくて鈴蘭さんに頭を下げると

「挨拶が遅れてごめんなさいね。幕間まくま 鈴蘭すずらんです。こちらこそよろしくね、翠子ちゃん」

といって握手された。細くて繊細そうな指先が綺麗だ。そして

「よかったわね、京ちゃん。かわいい彼女と一緒で」

「彼氏じゃないです」

「彼女じゃないです。腐れ縁です」

二人でハモってしまう。いや京のほうが一言多い。

鈴蘭さんはカラカラと笑った後、

「でもうかうかしてると突如現れた新人君に彼女取られちゃうかもよ。ご用心なさい。老婆心ながら忠告しておくわ」

と京へ向かって言った。

だからそんなんじゃないってのに。

「先代、お早いお着きですね」御簾さんが鈴蘭さんに声をかけた。どうやら今日鈴蘭さんがくるのは予定通りらしい。

「なんだか楽しそうな物が見られそうと聞いたから。ところで男女の機微については少しは何か分かったかしら?」

鈴蘭さんは『魔法にかけられて』が映っているモニターを見ながら言った。

どうやら鈴蘭さんの支持でこのロマンティックコメディを見せられているらしい。

「は。何故この主人公の姫は王子と結婚するのを躊躇っているのでしょう。このような良い縁談を断る理由が分かりません。もしかして王子に何やら私生活上の問題があるのでしょうか。例えば酒癖が悪く酔うと妻に暴力を振るうような」

やれやれといって鈴蘭さんは頭を振った。


鈴蘭さんが言う「楽しそうなもの」はお昼ちょうどにやってきた。

最大!である。

彼はこの三日の間に新居を見つけたのでそれを届けに来て、御簾さんが皆に紹介すると言うのだ。

なんだか嫌な予感しかしない。


今日ここに来ていた十数名の所員をフロアーに集め御簾所長から最大!が皆に改めて紹介される。

「では射州君、皆に挨拶を」

そういって御簾さんが最大!を皆の前に出す。

今日の最大!は黒いタンクトップに同じく黒いジャージのズボンを履いたいでたちだ。腕も顔も日に焼けているから全身真っ黒である。

ハラハラしながら見ていると、

「こんにちは!」

大きな声での普通の第一声に一人心の中でずっこけると、所内からはバラバラと「こんにちは」という声が飛んだ。

「声が小さい!」

いきなり来た。

「他人へ挨拶する時は敬意を払え!それとも貴様らの他人への敬意はその程度なのか!こんにちは!」

「「こんにちは!」」

「まだまだ!こんにちは!」

「「「こんにちは!!」」」

なんだこれは。言われるがまま大きな声で挨拶をしつつあっけにとられていると、

「俺が!俺サマが!射州 最大!!貴様らをカンヌへ導く男だ!」

びしっと指を皆の方へ指しポーズを決めてみせた。

駄目だ。全然反省してない!


また御簾さんが怒らないかとビクビクしていると、

「カンヌは遠いぞ~」

所員から野次が飛びどっと笑いが起きる。

しかし最大!は気にした様子も無く、

「どんなに遠くても歩かなければたどり着くことはない。そして前に進んでさえいればいつかは辿り着くものだ」

と落ち着いて答えた。

「カンヌへは何を出品するの?」

一際目を引く美人が挙手をして質問する。樹さん来てたんだ…。

最大!はすっと息を吸い込むと良く通る声で宣言した。

「サメ映画だ!」


一瞬静まり返る所内。胸をそびやかす最大!。

「サメ映画って『ジョーズ』みたいな?」

これは京だ。

「古今東西のあらゆるサメ映画に敬意を払った上で、尚且つまったく新しいサメ映画を撮るのだ」

先週一週間古今東西の名作を見た上でよりにもよってサメ映画なんだ…。

また別の誰かから質問が飛ぶ。

「なんでサメ映画なの?」

「アクションでホラーでエロスでグロでコメディで娯楽映画の全てが入っているからだ」

「それならゾンビ映画やホラー映画でもいいのでは?」

「最大!はその二つを見た事が無いがサメ映画は10本見たからだ」

そうだった。御簾さんのリストには「ゾンビ」も「貞子」も入っていなかった。

そして『ジョーズ』と『シャークネード』はしっかり見ているのだ。

てか来てなかった二日間で他のサメ映画見てたんかい!

杉撮ここは自主映画作る集まりじゃないんだけど…」

「最大!は新しい仲間を探している。技術や知識には重きをおかない。老若男女映画への情熱があるものが仲間だ。ならばまずここから始めたいと思う」

「サメは『ジョーズ』式にアニマトロニクス?それとも『ディープ・ブルー』式にCGI?」

「『ゴジラ』式にきぐるみである」

「なんできぐるみ?」

「撮影期間の短縮と予算効率から最善だと考えたからである」

「きぐるみは誰が作るの?」

「最大!の知り合いに舞台関係者がいる。彼と最大!できぐるみを作る。きぐるみ製作はすでに経験済みである」

「水を使った撮影って難しいと思うけど」

「機械式のアニマトロニクスは動作不良が懸念される。またCGIと水の表現は予算と技術と期間がかかる。その点きぐるみであれば諸問題がクリアできる」

「全体予算は?誰が制作費を出すの?」

「製作予算は100万円である。これはきぐるみ制作費は含まれない。予算は全て最大!が出す」

おお、どよめきが起こる。

このころになると最大!の本気度が段々皆に分かってきた。

質問に冷やかしのトーンが減ってきて本格的な質疑応答になってきている。

いや、正直ウチも驚いた。

「製作期間は?」

「一ヶ月。今月末まで」

「短編?長編?」

「長編。120分」

「水中での撮影はどうするの?」

「機材に関しては現在資料を取り寄せ検討中である。現在の所『Go Pro』シリーズが候補にあがっている」

「デザインは?ホオジロサメ?」

「デザインは現在舞台関係者に発注しているが、アイディアがあれば聞かせて欲しい」

「必要なスタッフは?何名くらい?」

「最低、脚本家、音楽、カメラマン、スクリプター、監督が必要である。後は役者。全体の人数はまだ分からない」

「どんなお話にするの?」

「現在はまだ白紙である。アイディアは随時募集中だ」

etc,etc…

所内に熱気が感じられてくる。最大!の言葉のせいだ。そりゃあここには映画好きしかいないんだから煽られれば誰だって燃えてくる。

そして誰かが発言した。

「今から一ヶ月はいくらなんでも短すぎるのでは?」

「そこで」

最大!は一呼吸間を挟むと力強く言った。

「皆に協力して欲しい」


残ったのはウチ、京と鈴蘭さんの3人だけだった。

「みんなもっと協力してくれてもいいのに」

一人プリプリしていると、

「「きぐるみでリアリティが出るのか。コメディになってしまうのでは」って質問に「今本物のサメが近くの海岸に出現しているらしいからそれを撮影してリアリティを出す」っていうので一気にみんな引いちゃったね」

と笑う京。しかし最大!は、

「いや、今いるメンバーは精鋭中の精鋭だ。諸君らの協力に強く感謝する」

といささかも気にした様子も無い。

「翠子さんはどうして協力しようって思ったの?」

鈴蘭さんが話を向けてきた。

「乗りかかった船です」

鈴蘭さんはふーん、そうと言ってニヤニヤ笑った。な、何よ!

「京ちゃんは…別にいいわ」

「なんでですか~。僕にも聞いてくださいよお」

「だって分かるし」

きゃっきゃと二人でじゃれあってる。仲いいなこの二人。本当の姉弟みたいだ。

「鈴蘭さんはどうして?残ってくれるなんて意外でした」

「意外じゃないわよ。私映画撮影するの夢だったもの。でなければ冗談でもこんな名前の同好会作らないでしょ」

なるほど。

「でもこんな人数じゃ映画なんてとても無理だよね…」

ウチがため息をつくと、

「あら、そんな事ないわよ」

と鈴蘭さん。

「もちろん作る映画の規模にもよるけど1970年代は今よりもっとアマチュアフィルム製作が盛んだったの。それに八ミリフィルムの取り扱いに比べたら今のカメラの性能やパソコンでの編集作業は天と地ほども違うのよ。ようはやる気とアイデァの問題ね」

「そうだ、やる気の問題なのだ!」

吼える最大!。やる気十分である。

やる気だけでどうにかなればいいんだけど…。


早速会議室で3人でミーティングを行う。残念ながら鈴蘭さんは寄る所があるそうなので帰ってしまった(ラインの交換が出来た。嬉しい)。

「さっきも誰か言ってたけどサメ映画じゃなくてゾンビ映画かホラー映画のがいいんじゃない?」

ゾンビ映画とホラー映画とサメ映画のタイトルをネットで検索して眺めながら言ってみる。

「娯楽低予算映画の代表はサメ映画じゃなくてゾンビ映画とホラー映画よ。ゾンビなんてボロ着てメイクすれば出来上がりだし、ふらふらよろよろ歩いてればそれらしく撮れるじゃない。ゾンビ映画自体実は生きてる人間の方が怖いとか、文明批判のロメロの『ゾンビ』とか、コメディの『ショーン・オブ・ザ・デッド』もあればSFにもファンタジーにもできるし、街中で撮影できるし。間口が広くて敷居が低いよ」

「ホラー映画なら『ブレアウィッチ・プロジェクト』や『パラノーマル・アクティビティ』とか超低予算だけど大ヒットしてるね」

とこれは京。

「検討の余地はあるな」

そうつぶやくと最大!は幾つかのタイトルをメモしてソフト棚へ向かって行った。


ゾンビ映画の代表作ロメロの『ゾンビ』と変り種という事で『ショーン・オブ・ザ・デッド』、ホラーからは『ブレアウィッチ・プロジェクト』と『貞子』を選んで鑑賞会を行った。映画をじっくり見る事が目的ではないので何故ゾンビなのか、何故ホラーなのか、どこがヒットした原因か、映画の強みは何か等をネットで調べながら話し合いながらの鑑賞会となった。


なるほど確かにゾンビにせよホラーにせよ舞台背景として設定するだけでもテーマ性を持ったお話が作れるし、残虐さを上げるからチラリズムでほとんど見せない事まで表現の幅も広い。

またドキュメンタリーという手法を使えば素人が画面に出る不自然さはなくなる。

こういう偽ドキュメンタリー映画をモキュメンタリーと言うそうである。


途中休憩を挟みつつ何本かの映画を見て発見した事も多く、確かに陸と水中でドラマが分裂しがちなサメ映画の弱点と合わせて、映画を撮るならゾンビ映画やホラー映画の方がいい気がしてきた。いや、そもそもホラーやゾンビが出なくたって映画は撮れるんじゃない?

なんとなくみんなが煮詰まって無言になった時、最大!が突然立ち上がって、

「よし分かった。やはり当初の予定通りサメ映画を撮ることとする!」

と断言した。

「どうして?」

最大!の答えは意外なものだった。

「ゾンビやホラーには怪獣分が足りないのだ」

「あー」

京はそれだけで何か察したようだ。

何何。怪獣分て何よ。さっぱり分からない。

「こういう解釈でいいかな」と言いながら京が説明を始めた。


ゾンビやホラーを舞台背景にして人間ドラマを構築するとテーマ性を持ったお話が作れるが、それは当然主役は人間であってゾンビや幽霊ではない。

一方でサメ映画と言うのはゾンビやホラーといった映画の仲間というより、どちらかと言うとジャンルとしては「怪獣映画」なのだそうだ。

怪物が現れ退治する事が主な興味対象となる映画の事である。

もちろんそれは基本構造で基本以外のバリエーションも作る事ができるが、問題は最大!の撮りたい映画が怪物を背景にした人間ドラマではなく、王道の怪物退治であるという事だ。

ゾンビや幽霊を怪獣化、怪物化させて戦わせてもいいのだが、だったらそれはサメ映画でも可能なのだからあえて初期の構想から外れる意味は無い。

低予算映画としては確かにサメ映画よりはゾンビ映画やホラー映画に分があるのだが、しかし怪獣映画を撮りたいと思うのならビルや街を壊さなくていいサメ映画は低予算怪獣映画になりうる。

つまり結論としては「やりたい事をやる!だからサメ映画でいい!」という事らしい。

「という解釈をしたんだけどどうかな」

京が尋ねると最大!は黙って大きく頷いた。


「結局この鑑賞会の時間は無駄になっちゃったね」

時刻は19時。DVDを片付けつつそうウチが苦笑すると最大!が答えた。

「そんな事はないぞ。得た物もまた多かった」

「得たものって?例えば?」

「ゾンビサメ映画にすれば一粒で二度美味しい!」

藪をつついたらゾンビが出た。ゾンビ映画にしようなんて言わなきゃよかった…。


鈴蘭さんは今のメンバーでも映画は撮れるというけど流石に少なすぎると思う。

最大!は確か最低、脚本家、音楽、カメラマン、スクリプター、監督が必要だと言った。

監督は最大!でいいとして他をどうしよう。

音楽は京でいいかな。あいつギター弾けるもんね。家にたくさんデモテープがあったはず。

中学の頃教室でギターを弾いている京によくクラスの女子がキャーキャー言ってたっけ。

鈴蘭さんは忙しい人だから集中して参加するのは難しいかもしれない。とすると脚本がお願いできるかどうか。

「後は仲間を探さないとなあ」とつぶやくと最大!が付いて来いというのでフロアーに出た。


フロアーには樹さんと御簾さんが話し合っていた。

「じゃあ頼むよ」「よろしくお願いします」と言う会話を最後に御簾さんはフロアから出ていって樹さんだけが残された。

「あら、期待の新人ね」

樹さんはこちらに気付くとにこっと笑い最大!とウチと向き合った。

神月しんつき いつきさん。

名前は月だけどウチの印象は南国の色鮮やかな華だ。

大きな瞳、すらりと伸びた鼻梁。彫りの深い顔立ち。長く美しい品の良い明るい髪色。化粧は派手ではないが誰もがハッとする印象的な顔立ちである。

そしてまたなんというか女性のウチから見ても実にナイスバディーなのである。いいなあ。

今日も背中が大胆に開いたリボンのついた薄い水色のホルターネックワンピースを着ている。実にセクシーだ。

当然ここ杉撮でも男性陣から樹さんは大人気なのだが、その立ち居振る舞いや、性格、態度は決してそれを鼻にかけたりはせず女性陣からも人気がある。

ただ残念な事に滅多に杉撮へは顔を出さない。ウチもこの2ヶ月で会ったのは3回くらいだ。

だから今日は鈴蘭さんと新月さんの2大美人レアキャラが揃った特異日だったのである。

そう言えば最大!が初めて事務所に来た日も樹さん来てたっけ。

「こちら神月 樹さん。こっちは新人の射州 最大!君です」

その場の流れで二人を引き合わせる。

「はじめまして。神月 樹です。よろしくお願いしますね」

かわいくお辞儀をする樹さんに、

「神月 樹!俺サマ射州 最大!の映画に参加するがよい!」

最大!はすっと右手を樹さんに差し出して言った。

「ごめんなさい」

深々と頭を下げる樹さん。

何が起こったか理解する前に終了していた。


「まったく何考えてるのよ!ものには順番ってものがあるでしょ!」

最大!の頭を無理やり下げさせた後会議室に戻るウチら。

そりゃあ樹さんなら映画の華として申し分のない被写体だけど、自分が振られたみたいな気がして顔が真っ赤になる。

「順序だと?確かにな」

そう言うと最大!はまたもや信じられない事を言った。

「仕方ない。お前がやれ」

こ、こいつ、サイッテー!


最大!は今日出たアイディアをまとめると言って帰っていった。

京斗も塾があるからと帰っていったがウチはまだ会議室に一人残っていた。

未だに腹が立って仕方が無い。

そりゃあウチは樹さんみたいな美人でもナイスバディーでもないけど、だからって「仕方がない。お前がやれ」はいくらなんでも酷いんじゃないだろうか。

なんでこんなに落ち込んでいるのか自分でも訳が分からないけど、惨めな気持ちでいっぱいだ。

そこではたと気がついた。

ウチに何ができる?

今のウチに出来る事…。

いつまでも悩んでいても腹を立てていても仕方ない、行動あるのみ!「おっし!」と気合を入れて会議室を後にした。


「米永さん、どうしても駄目?」

ウチはごうか亭のご主人米永さんをメンバーに勧誘していた。

米永さんはチャーハンを煽りながら応える。

「翠子ちゃんの頼みとあれば聞いてあげたいけどおじさん店があるからねえ…」

空中で二回、三回と舞うチャーハン。

「やっぱりそうだよねえ…」

駄目元とはいえ断われるのは凹む。ここは中華『ごうか亭』。まだ所内に残っていた4人には全員参加を断られてしまったので、ごうか亭までやってきたのだがやっぱり色よい返事は貰えなかった。

「よく言うよ。しょっちゅうサボって撮影所に入り浸ってるくせに」

と突っ込みを入れたのは米永さんの奥さんだ。

「うるせえ。ほい、チャーハン、餃子2人前、小ラーメン、空芯菜炒め、から揚げ上がったよ!」

米永さんが手際よく作った品々を奥さんがお客さんの元へ運びながら、

「こんなぶきっちょ誘わないでこの人にお願いしなさいよ。ねえ、つきつき?」

とウチからは死角に当たる観葉植物の裏の人物へ声をかけた。

「いただきます」と手を合わせて炒飯をレンゲで食べるその美しい人は樹さんだった。


ウチは樹さんのテーブルの向かいに腰掛けるとこっそりと観察した。

「あの…」

「食事中だからちょっと待ってて」

長い髪を自前のゴムで結んでつるつると麺をすする樹さん。

それにしても…テーブル上に並べられたお皿の数を見て唖然とする。まさかこの量をこの人が一人で食べるとは。

神月さんのナイスバディーはどうやって維持されているのだろう。


しばらくしてテーブルの上の物が綺麗に片付けられ、ラーメンのスープの最後の一口をレンゲで飲み込むと、手を合わせて

「ご馳走様でした」

と言ってウチを見た。

いっそ惚れ惚れする食べっぷりに感動していると、

「私に何か用かな」

とナプキンで口をぬぐいつつ話を向けてきた。

「あの、ウチ、縞音 翠子です。先程はうちの馬鹿最大が失礼しました!」

と言って頭を下げた。

「あら謝らなくてもいいのよ。私仲間に誘われて嬉しかったんだから」

と意外な事を言った。

「じゃ、じゃあ最大君の映画作りに協力してくれますか?!」

うーん、と困った顔の樹さん。

「私に何をして欲しいの?」

「スタッフとして…いえキャストとしてだけでもいいのでメンバーになって欲しいんです」

「協力してあげたいのは山々なんだけど…」

「やっぱりサメ映画は駄目ですか?」

正確にはゾンビサメ映画なのだがそこはちょっと隠しておいた。だって、ねえ。

「ううん、そうじゃなくてね。実はさっき御簾さんに自分の撮る映画に出て欲しいって頼まれた所だったの」

え!御簾さんも映画!?

「御簾さん映画撮るんですか!?」

「ええ、そうなの。だから最大君の映画には協力できなくて…」

なんという事だ。思わぬ情報に言葉を失う。

その時餃子3人前がテーブルに置かれた。

「え、奥さんこれウチらのテーブルじゃないですよ…」

と、見上げると奥さんではなくそこに居たのは最大!だった。

「あの男のシナリオなど待っていたら来年の夏になっても撮影など始まらないぞ」

あっけに取られていると、

「これが俺サマ最大!達のサメ映画の原案だ!」

そう言うが早いか数枚の手書きの原稿を樹さんに突きつけた。


最大!はウチらと別れた後夕食を食べつつ、ここごうか亭で原案原稿を書いていたら、ウチらがやってきて話し合いを始めたという事らしい。

…全然気がつかなかった。

原稿を読み終わった樹さんは、

「荒削りでシーンの繋がりに矛盾もあるけど勢いがあって面白いんじゃないかしら」

と言って原稿を最大!に返した。最大!は原稿を受け取ると樹さんの目を真っ直ぐ見つめながら言った。

「これを貴様にシナリオの形に落としこんで欲しいのだ」

「脚本を私に?」

「え、樹さんを映画のヒロインとして誘ったんじゃないの?」

「俺サマ最大!がいつそんな事を言った」

そしてビシッと樹さんを指差すと、

「貴様の立ち居振る舞い!発言!人間観察力!そして何より挨拶の声の大きさ!俺サマ最大!のシナリオを書くに相応しい!」

「挨拶の声の大きさでシナリオライターが決まるの!?」

呆れながら突っ込まずにはいられない。

「我々素人集団にとって技術の過多など問題ではない。否、例え技術があっても挨拶の声の小さい奴に人間をリスペクトした文章を書ける訳がない。だから翠は順序として二番目なのだ」

そういえばさっきの挨拶でもそんなような事をいっていたっけか。これが彼の人生観というワケか。

あ、順序として二番目ってそういう事か。挨拶の声が一番大きかったら私が最初にシナリオを任される可能性もあったわけだ。

あれ、そういえば今名前で呼ばれた?


「ねえ翠子ちゃん。京斗君は何をするの?」

「京ですか?あいつは楽器が得意なので音楽がやれるんじゃないかなって」

「ふーん」

と言ってほんのちょっとうつむいて思案してから顔を上げると

「二人に頼まれちゃ断るのも気が引けるね。いいわ御簾さんの撮影が始まるまでの間に脚本を書けばいいのよね」

と言って最大!とウチと順に握手をした。

「よろしくね。最大君、翠子ちゃん」

「うむ、これは前払いの景気付けである。存分に食べるが良い」

と言って三人で最大!の持ってきた餃子とウーロン茶で乾杯した。

…樹さんほんとよく食べる…。


8月2日。

スタッフ探しは今日も続く。京は音楽に、ウチはスクリプターに手を上げるとあっさりと認められた。

スクリプターがどんな役割かはこれから勉強するとして、後はカメラマンさえ見つかれば最低限のスタッフは揃うことになる。

会議室で最大!、京、樹さん、ウチで図書館から借りてきた映画撮影、シナリオ関係のHOW TO本や、各種資料、サメ映画DVD(杉撮の映画棚に無い物は一階のGEOで借りてきた)を山積みにして最大!が書いたシノプシスに囚われず、まずはアイディアをとにかく山のように出す。ここでのアイディアへの駄目出しはご法度である。どんなくだらないアイディアでもどんどん出すのが肝心だ。


二時間ほどアイディア出しをして脳みそも疲れてきた頃、そろそろお昼にしようというタイミングで会議室のドアが勢いよくノックされがちゃりと音を立てて開いた。

「やあ!君達、撮影スタッフを探しているって?このボクが監督と主演をやってあげようではないか」

ピンクのポロシャツに青の麻のジャケットを羽織り派手なチェックの短パンをはいた細身で長髪の男が入ってきた。

「樹君が参加したと聞いてね、だったら監督はボク意外にありえないよ」

そう言うが早いか男は勝手に樹さんの隣に腰を下ろす。

「樹さん、監督のこのボクが君をプロデュースして芸能界へのデビューのきっかけを作ってあげようじゃあないか。それが正解だ!」

そう言って樹さんの手を取る。いつ監督になってくれって頼んだと言うんだ!ウチがあっけにとられていると、

「誰だ貴様」

最大!に尋ねられた男は「やれやれ」といった風情で長い髪をかきあげるとこう言った。

「ここでボクを知らないなんてモグリもいい所だが、無知は許そう。ボクはこの杉撮一映画通のいい男、五倫寺ごりんじ 勇作ゆうさくだ。覚えておきたまえ、ボーイ」

また面倒くさいのが来た。

五倫寺は映画マニアの大学生で確かに知識は豊富だ。

しかしその知識を鼻にかけた物言いと、知識量が所内でのヒエラルキーを決めていると勘違いした態度と、自分の容姿に自身があるのかナルシスト振りが鼻につく男だ。

また微妙なセクハラ野郎で、以前ウチもその時見ていた映画の薀蓄をしゃべりながら近づいてきたコイツにお尻を触られたことがある。

ウチはすぐさま払いのけたが「ワザとじゃないよ、偶然ちょっと触れただけ」と言ってヘラヘラしていたが、故意か故意じゃないかくらいは分かるよばかやろー。

ようは杉撮の鼻つまみ者だ。そんな男が今も樹さんの手を取り肩を抱かんばかりに身体を密着させている。

そいつが監督と主演を希望しているだって?冗談じゃない!

ウチはともかくセクハラの被害にあって樹さんがメンバーを抜けられでもしたら非常に困る。

抗議の声を上げようとしたその時、最大!がウチを制して言った。

「ここ一番の映画通だと?ならば撮影の重要さも知っているのだな?」

五倫寺は口先を下品にひん曲げて答えた。

「当然だろう。名監督に名キャメラマンありさ」

「ならば!当然持っているビデオカメラもその辺のハンディカムとは違うわけだな?」

「当然!ボクのキャメラはソニーの業務用HDカムHVR-Z5J!そこいらの玩具とは一緒にして欲しくないね!」

「業務用か」

最大!の目がキラリと光る。ウチも京もその光を見逃さなかった。最大!が京へアイコンタクトを送ると、

「君の役者としてのキャリアのスタートががゲテモノ映画になるのは良くないんじゃないかなあ」

とわざとらしく京が持ち上げた。五倫寺の耳がピクッと動く。

「流石五倫寺さんだね。そんなすごいカメラを持っているなんて!」

と、ウチも続く。どうだと言わんばかりに五倫寺の鼻が膨らんだ所ですかさず

「その性能のいい高額のHDカムを五倫寺君以外の人に扱わせてくれるなんてすごいね!」と畳み掛けた。

「いや、それは…それにまだカメラを貸すとは一言も…」

しどろもどろになる五倫寺の後ろに回った最大!が五倫寺の肩をポンと叩き熱っぽく語った。

「観客が見る映像は誰が撮ったものだ?そうだ、観客が実際にスクリーンに見るのは監督の構想ではなくカメラマンによって撮られた映像だ」

「当然の事」

フンと鼻息を荒くする五倫寺。

「キャメラマンこそが映像の出来の良し悪しを決めるんだ。馬鹿に出来る事じゃない」

「そうだ馬鹿には出来る事ではない。そして我々は才能のあるものを欲しているのだ!」

最大!の勢いに五倫寺の目が泳ぎ始めると、

「私」

樹さんが上目遣いに五倫寺を見上げると指先でくるくると五倫寺の手の甲を撫でる

「私を綺麗に撮ってくれる人がいいな…。最大クンみたいなガサツな人じゃなくて五倫寺クンみたいな芸術の分かる繊細な人がカメラマンだと嬉しいな…」

そして、

「綺麗に撮ってくれたら私、脱いじゃうかも」

「キャメラマンはこの五倫寺 勇作に任せたまえ!」

「ようこそ!」

4人の声がハモった。

みんなの握手攻めにとまどっている五倫寺君を横目に、ウチはテンションが上がっていた。これでカメラマン(キャメラマンかな?)が決まりコアメンバー6人が決まり、本格スタートの口火を切れるのだ!

ウチは五倫寺君の手を握ってぶんぶん振り回しながらこれからの映画製作にファイトを燃やしていた。(いつの間にかその場のノリでヒロインも樹さんに決まったけど、これは瓢箪から駒)



次回更新は11月9日 23:00頃予定です

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