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第一話

 秋の風が吹いた。

 夏の香りを残しつつ、冬の準備をすべく冷えた空気を少し含ませ登校中の学生たちの頬を撫でていく。

 そんな爽やかな朝に似つかわしくない少女が一人。


 背筋はビシリと伸びているのに不自然なくらい顔を伏せて、たまに漏れ聞こえてくる「ふへっ」という笑い声がなんとも不気味で陰湿さを醸し出している。



『おはよう、明乃! 英語の宿題やった?』


 先程まで顔を思いっきり伏せていた明乃は友人の声を聞いてパッと顔をあげる。


『うん! もしかして理恵ちゃんやってないのー?』

『そうなのー……。ね、ちょっと写させてくんない?』


 理恵は片目を伏せ明乃の顔の前で両手を合わせて、「お願いお願い」と繰り返す。


『もー、しょうがないなぁー。学食の特製プリン1個で手を打つけど?』


 腰に手を当て、もう片方の手で1を作り得意げにニヤリと笑う。そんな明乃の周りに続々とクラスメイトが集まってくる。


『奈子原さん、俺も宿題写させてー!』

『私も私も! 奈子原さんみたいな人がクラスメイトで私本当幸せだよー』


 大きな円の中心で沢山の友人に囲まれ、明乃コールが始まる。


『ふふ、やだー!! もう、皆私のこと大好きなんだからー♪』



「ふへっ。人気者すぎヤバイ」

 脳内では明るい名前に見合ったリア充女子だが、現実ではそううまくは行かない。

 奈子原明乃は今日も絶好調に妄想力を発揮している。 

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