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異世界ダンジョンウォーズ  作者: watausagi
最終章 最後の決戦
71/85

ハッピーエンドの為に

なんか視点変更多いけど、次話から王人メインです。多分、主人公の方が需要はありますよね?


※この作品はハッピーエンドです。三途の川の流れるお花畑でみんなと再開! なんてブラックではない、正当なハッピーエンドです。


◆前書き◆

◇◇◇◇◇王人


視界が晴れて、地上を見るとそこは……いつかの世界で見た、ダンジョンしか存在しない更地だった。 いや、よく見れば聖女様のいた塔は無傷だ。


……それがどうした。


何週間後か、はたまた何年後かは知らないが、この世界も同様砂漠になるのだろう。

というか、未開の地すら何もない荒野に変えるなど、なんつー威力だよ。普通の爆弾なら半球のように広がるはずだが、今さっきのは平面的に全てを消滅していった。おかげでここは無事だったが、喜べはしない。




ーー覚悟が違かった。



まず、そう思った。ははっ……この世界がレベルアップ制だったらヤバかったな。なんて事も少しだけ思った。


月姫にとって、この世界がどうなろうと知った事では無かったのだ。あいつの願いは優しい世界を作る事。ならばそうでない世界など、壊したって何とも思わないらしい。


まさかここまでしないだろうと、無意識で思っていた俺たちの甘さだ。こうなれば最後、俺たちの勝利に意味を持てなくなるやつも出てくるかもしれない。あのブラッドデッドだってこの結果は望むものじゃないだろう。


エンドールも珍しく空気を読んでいるみたいで、何も言わない。不思議ちゃんを見ると……ああ、やはりこいつは何を考えているのか分からない。もしかすると、あらゆる生物の頂点だったこの人間は、何も感じていないのかもしれない。せめて涙の一つくらい見せていれば、人間味もあるというのに。


問題はフォークスだった。俺は正直、ラピス達がいるならそれでいいのだが、まあ普通はキツイよな。


「あ……あぁっ」

「安心しろフォークス。大丈夫、大丈夫だから。俺がずっとそばに居る」

「ぅ……ぅん、うん」


またもや不思議ちゃん、更にはエンドール(多分こいつはノリだろうが)まで白い目で見られた。でも、こればっかりは仕方ないだろう。こうでもしないと壊れてしまう。


ーーさて、アフターケアはいいが、俺たちの戦力も見直さないといけない。


(なあ異世界知識さん、あいつは……あぁいや、生き残った奴を教えてくれ。多分、そっちの方が早いだろう)

《……はい。生徒会は健太以外を抜けて全員生きています。委員席の皆さんは、残念ながら……ブラッドデッドは七実とその妹、あとは七実の後輩である木原という者が。サッカー部は纏という女性の機転により、キャプテンを含め4人が生存。白王 帝ともう1人の狐人族も生きています。ラブース王国は戦乙女共に全滅。貴方の妹は無事です。名無しも、ダンジョン内にいたため安心です》


そこに、ココの名前は無かった。


…………


………


……


(まあ残念だな。ココの道具でゾディアックに乗り移る手はずだったんだが……その様子だと出来そうにない)

《いえ、その点は大丈夫です。先ほどの兵器は、賢者の心臓をベースに作られた代物。つまり動力源を失った今、ゾディアックは地に堕ちます》

(そうか、ならいい)


ふー……すぅ……


……何にせよゾディアックに向かわなければならない。これ以上被害を出さないためにも、月姫達は絶対に倒さなければならない。


後のことはどうにでもなる。ポイントで人間なんかも作れるだろうから、いっそこれが終わったら俺たちで国を作ったりするのも一考だろう。


そうだ、どうにでもなる。


どうにでもなれ。


……行こう。


◇◇◇◇◇白王 帝


異変に気づけたのは偶然だった。あの赤い煙が無ければ俺は今頃、跡形もなく消滅していただろう。今のはそういう攻撃だ。


しかし、小宮 緋子という幼馴染を、俺は失ってしまった。無理をすれば助けれたのかもしれないが、言い訳をすればルナールで手一杯だった。


その結果がこれだ。地上には何も残っていない。草一本残らず、幼馴染の骨一つ残らず消え去った。教え子も、戦友も、全て……


ーーつまり、心残りが減った。


でも後一つ、残っている。


「ぁーーうぁ……いや、いや!」

「落ち着けルナール! 心配するな。安心しろ。俺が元に戻せる!」

「そんな……嘘、嘘よ」

「俺が嘘をつくように見えるか? 大丈夫、この世界はやり直せる。俺がそうする。だから今は落ち着け、冷静になれ」


酷な事を言っているかもしれない。しかしすぐ目の前には、ゾディアックがいる。そして、ゾディアックから出てきた兵器のような物が迫ってきているから。


「俺を信じろ、ルナール」

「……わかったわ」


それでいい。

これでいい。


俺はルナール、お前がいる限り約束を全うしよう。ダンジョンマスターになって、元通りにする事を誓う。絶対にだ。


でも、お前がいなくなったその時はーー


◇◇◇◇◇詩地 七実


くっ、やってしまったあの女。まさかここまでするとは……いいえ、想定しなかった私の落ち度。少し加担しすぎたのかもしれない。これだからバランス取りは難しい。


「あの、大丈夫っすか?」

「……大丈夫。ありがとう助かった、と貴方に言う日が来るなんてね。

高い所は好きじゃないから、下ろしてくれたら嬉しいんだけど」

「おっと……すんません」


木原のスキル【性質変化】と【未来予知】。未来予知とは、5秒未来の世界を予知する事ができる。性質変化とは2つの道具を組み合わせる事のできる力。

例えば水と火があり、性質変化を使って燃える水にする事ができる。今回は鳥の翼と自分を組み合わせて、飛べる髪にした。そのチョイスは私にはよくわからないのだけれど、それでも助かった。


改めて地上に降りて、圧巻の一言。本当にダンジョン以外、この世界は無くなったらしい。それでも私は、最低限自分の居場所さえ平和なら満足できる。元々異世界なんていう他人より、妹と木原がいるなら大丈夫。


まずは、【コール】で妹に連絡を取る。


『大丈夫……姉さん……?』

「貴方、木原と同じ事を言ってるわよ」

『くつ……じょくっ』

「ふふっ、そうね。いつも通りで安心したわ。それで、貴方は手はず通りにあの子を始末して頂戴。……本当に出来るのよね?」

『任せて。私、嘘は言わない。絶対に出来るって、ここで誓う』


妹は私に嘘を言った事が1度も無かった。だから私は……疑ってしまう。


「本当の本当に?」

『むう、しつこい』

「ご、ごめんなさい。でも、無理はしなくていいから。貴女が無事なだけで、本当はいいんだから」

『……わかってる』


そう言って妹のコールは切れた。本当にわかっているのか不思議でたまらないけど、悠長はしていられない。


ゾディアックからSFまがいの兵器がどんどん飛び出してくる。本格的にここからは、羽蘇 月姫は私達の敵なのだ。


「いくわよ木原。とりあえずあそこにみえる白王 帝の後ろについて、虎の威を借る狐という気分でいきましょう。援護は任せたから」

「了解っす」

「……全部終わったら、少しだけ胸を触らせてもいいと思ってるかも」

「何でもかかってこいやぁ!!」


これだから男は。


でも……少し優越感?


◇◇◇◇◇十二聖者


「“浄化”は成功いたしましたぞ皆の衆。思ったよりも未だ邪悪の数が多いが、これも法王様の予想の内なのだろう。ただ一つ問題が……スコーピオン殿やキャンサー殿を倒しきった敵が健在なのだ」

「ふっ、まあいいではないか?」

「さよう。あやつらは我ら十二聖者の中でも最強……」

「……」

「……」

「……」

「あれ、これヤバくね?」

「おホンおホンっ、落ち着くのだ皆の衆。確かにヤバいが……あれ、思ったよりもヤバくねこれ?」


……


「静粛に! 確かに時間稼ぎまでして、セイトカイとやらを仕留めきれなかったのは痛手だろうが、たった今事は全て完成した。我らが法王様が私達に天より与えられし武器を授けて下さるのだ!」

「おお!!」

「いやはや、やはり」

「我らが主は神と通ずる」

「セイトカイなどぎっちょんぎっちょんの、めったんめったんだわい」

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