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短編集

◇◇◇◇◇

part1 安心だねっ!

◇◇◇◇◇


度重なる戦いの末、俺は気づいてしまった。何気なくポケットに入れていた、自分のスマホが……こ、ここ壊れていたという事に!!


「な、なんという事だ!」


2000枚近く保存していた写真と数十個のムービが全て台無し! のほほんとログインボーナスだけを貰っていたゲームデータがおじゃん!


あ、ありえない。こんな事があってよかろう事か。カバーだって「わー、王人先輩のカッコい……え、あれ、マジでカッコいい」とか言われて正直嬉しかったのに……ボロボロ。俺の思い出が詰まっていたスマホが……そうかこれが依存症というやつか。


よし決めたぞ。


俺はダンジョンマスターになって、スマホを完全修復させる!!


〜〜〜〜〜


『あ、それは大丈夫だよ兄。私のスマホに全部のデータのバックアップとってあるから』

「本当か! やはり、持つべきものは妹だな。一時期ちょっとだけ距離を離していた事を謝る。これからは俺たち、仲良し兄弟だ」

『お、おぉう。それ、それじゃあ今度、兄弟らしくお泊まりパーティをしようね』

『もちろんだとも! ーーおう、ああ時間の取れた日にーー了解』


ふー………


…………


……


ん? あれ、全部のデータのバックアップを取っている?


何でだろう……まあいいか。


〜〜〜〜〜


「この日は、ココさんと海に行ったんだ」


真夜中。ベッドの上で、王人の妹は寝転がり、自分の携帯を見ていた。が、見ていたのは自分のデータではなく、兄のデータを。


「あ、これは生徒会の旅行だね。いいなぁ、行きたかったなぁ……」

「浴衣姿……ふふ」

「ちっ、生徒会長は⚫︎⚫︎⚫︎」※著しく燈華の好感度を下げる事になるため、規制されました。

「忍さんと……この地べたでスリッパ代わりにされているのは健太さんか。3人共仲がいいなぁ。いいなぁ」

「これは……兄が起こって健太さんを監禁した写真かぁ。うわーオムツしてる。お食事はキュウリと……えっと、土? ああ、オケラ? ん? 」※おから

「あ、私とツーショット……ふ、ふふふ。ふふっ、ふふふふふふ」


真夜中のダンジョンに、いつまでもいつまでも、魅惑的で怪しい笑い声が響き渡ったとな。


◇◇◇◇◇

part2 頼もしいねっ

◇◇◇◇◇


ロリランドには、約20名の住人が住んでいる。皆等しく14歳以下で統一されているのは、まあ、気のせいだ。


そんな住人達は、各々の事情で名前の無い者が多い。そこでロリマスターは、名前の無い者にアダ名をつけてある。


大島=サータンダー・ジャスティスちゃん。


「やっぱり、ここの出そうと思えば無限に食材や料理が出る食堂とやらは、もっと有効活用が出来ると思うの。私達だけではなく、他のみんなも利用するべきよ」


大島=ラブリー・ジトメちゃん。


「……図々しい」


大島=パーフェクト・ナイトちゃん。


「た、確かに、ジャスティスちゃんの言う事も一理あると思います。でも、ジトメちゃんの言っている事が、私と同じ意見です。

私達はここに住まわせてもらっている身。その他にロリマスターへ求めるというのは、些か傲慢というものではないでしょうか」


略 ジャスティスちゃん。


「……わかってるわ。でも、ナイトだっけ。貴方前に行ったわよね。兄がいるって。ここは貴方のお兄さんだって、一緒に暮らせるかもしれないのよ? ……みんな、幸せに」


略 ナイトちゃん。


「そ、それは……そもそも、あの食堂という機能自体が、本当に無限に出るかどうか分かりません。ロリマスターはお優しい方ですから、私達に心配かけないよう嘘を言った可能性だってあるのですし。

……それに兄は、生きているかどうかも分からないのです。喋ったことだって一度か二度。きっと向こうも、私の事なんて忘れています」


大島=ヨルノゾク・アサノゾクちゃん。


「ま、まあまあ、みんな仲良くいこうよ。ね? 明日も朝早く起きておふろ入って、えーっと……何するんだっけ? 明日はお勉強がない日だよね」


大島=デストロイ・ウッカリちゃん。


「た、たいいくって言ってたよぉ。ボール遊び、だったかな。みんな体操服に着替えるんだ」


略 アサノゾクちゃん。


「おー、そうだったそうだった。お勉強といいボール遊びといいお風呂といい、ロリマスターには感謝してもしきれないよー。

……ここに来る前の事は、ちょっと、キツかったからね」


略 ナイトちゃん。


「……また新しい住人が増えるようです。少しずつですが、増えてきています。いずれは誰もが、こんな場所で暮らす事が出来るようになるといいですよね」


略 アサノゾクちゃん。


「それだよー。でもでも、不思議だよね。いつの間にか部屋が大きくなってるんだもん。一体ロリマスターは何者なんだろう?」


メリーちゃん。


「そ、それはいいんじゃないのかな。ほら、あんまり詮索するのは良くないよ。ロリマスターが、気を悪くしちゃう」


略 アサノゾクちゃん。


「それもそっか。うん、じゃあこの話はこれで終了! 次はしりとりでもしようか」


大島=フタゴッチ・イサちゃん。


「するー!」


大島=フタゴッチ・リサちゃん。


「わたしも、わたしも!」


2人合わせてイサリサちゃん。


「「みんなでするのー!」」


ここで最年少のイサリサコンビの誘惑に負けて、みんながしりとりを始めようとしたその時、ガラリと扉が開く。


名は、ロザリーちゃん。


「就寝時間をとっくに過ぎていますよ。寝不足は健康の阻害。心配なんてこれっぽちもしてませんが、とっとと寝やがれコンチクショウです」


みんな


「は、はぃい!!」


ロザリーちゃん。


「……世話のかかります」


略 アサノゾクちゃん。


「そういえば気になってたんだけど、ロザリーちゃんとロリマスターの関係ってなんだろう。恋人なのかな」


ロザリーちゃん。


(ピクッ)


メリーちゃん。


「ふ、夫婦……だったりして」


ロザリーちゃん


(ピクピクッ)


ウッカリちゃん。


「じゃ、じゃあ、夫婦って事はもしかして、あの……キスもしてるんですか!」


ロザリーちゃん


「ーー就寝時間はとっくに過ぎていると、まさか私に2度も言わせるとはいい度胸です。因みにあの変態ロリマスターと私の間に特別なものは一切ありません。ただ、あの人はバカですから、私が仕方なくついてあげないとダメなだけです。

分かったのなら今すぐに心臓と呼吸の音を最小限に留めて、体を動かさず目をつぶり夢を見なさい」


……今度こそ静かになった寝室を後にし(しかしこの後、しばらくロザリーと忍の関係について、キャーキャーなっていた事をロザリーは知らないが)、ロザリーちゃんは自室へ戻る。


入るとそこには、ぶつぶつと独り言を言いながら、何かを悩んでいる自分のマスターの姿があった。


「何をしているのですか」

「あ、ロザリーちゃん……いや、次はどこの街に行こうかなと。もしかすると、もう行った事のある街でも、まだ迷える子供たちがいるかもしれないだろ? ちゃんと計画を練らないとな……それに幾らか溜まってきたダンジョンポイントをどう活用するかも決めないとならない。食事をもっと豪華なものにするか、更に部屋広くして受け入れ態勢を整えるか、娯楽を増やすか、はたまた防犯用の罠を下の階に増やすか。最近物騒だし、ダンジョンをちゃんとしなくちゃあならないと思ってな」

「……考えすぎです。だから貴方はバカなのです。あまり必要以上に難しく考えると、ハゲますよ」

「ハゲ!?」

「つまり、貴方ひとりが頑張る必要はないのです。わ、私がいるのですから……少しは頼りなさいですよ寝不足野郎。

明日のドッチボール、女の子たちのブルマ姿を楽しみにしているのでしょう変態。その件は私が簡単に纏めるので、貴方はさっさと眠りにつきやがれです」

「……悪い、もう限界だったんだ」


忍は糸が切れたように、机に伏す。キョトンとしたロザリーは、やれやれと首を振り毛布を取り出すと、忍に掛けてあげる。


「全く、ただのロリコンのくせに」


何故そこまで頑張るのか。


眠りについた忍が聞こえたはずもないが、なんの夢を見ているのか、寝言を言っている。


「……だからこそ……子供は守る……ぜっちゃいに」

「呆れてもの物も言えませんね。そのせいで貴方が壊れてしまえば、元も子もないではありませんか。全くーー」


忍の寝顔を見たロザリーは、サポートキャラながら自分も眠りたくなってしまうが、そこはぐっと堪える。なんとかさっきの忍の答えを考えなければならない。いざとなれば眠る必要のない自分だからこそ、こんな時に……


「ーー本当に、私がいないとダメですね」


◇◇◇◇◇

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