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いぇーい。ピースピース。

◇◇◇◇◇


これは、王人の妹である燈華が、王人に自分の気持ちを暴露した夜、自身の数少ない友達である人間とのチャットである。


◇◇◇◇◇

【☆パーティ☆】投稿日 : 2016/06/07 (金)19:44:23


1 名前 犬 燈華


いぇーい。パーティいぇーい。

ピースピース。ヤッホー。


2 名前 霧氷 霰


パーティ?

何だか機嫌がいいですね燈華。

何かあったんですか?


3 名前 大葉 ひなた


これ、機嫌がいいんだ……

やっぱり燈華ちゃん、不思議


4 名前 燈華


明日の夜、ご馳走だよ。

いぇーい。いぇーい。

ココさんの料理だよ。

ピースピース。


5 名前 霰


うわぁーー!

それは確かに、ピースピースですよ。


……パーティ?


6 名前 ひなた


コ、ココさんの料理……ゴクッ


……パーティ?


7 名前 燈華


場所は、兄のダンジョン。

時間は、明日の夜7時から。


8 名前 霰


うわぁーー!

うわぁーー!

副会長のダンジョンですか! それは、ピースピースのいぇーいです! こんなに明日が待ち遠しい日は久しぶりです!


9 名前 ひなた


……王人先輩の、ですか


10 名前 燈華


私から言っておくから、ひなたは兄とフレンドになっておいて。


11 名前 ひなた


……はい


12 名前 霰


ひなた、嬉しそうじゃありませんね?

副会長が嫌なのですか? 嫌なのですか?

い や な の で す か?


13 名前 燈華


……


14 名前 ひなた


そ、そういうわけじゃないよ! 霰ちゃんは変なこと言わないで! 燈華ちゃんが怖いから!


……ただ、副会長って少し怖いから。


嫌いってわけじゃないよ。だから燈華ちゃんも怒らないでね。ね?


……でも、やっぱり怖くて。


だって、色々と怖い噂はあるし。苦手かも、って。本当に嫌いじゃ無いけど……ね。



15 名前 霰


確かに、怖い噂はありますね。

私は会計ですし、よく聞きます。

でも、所詮噂は噂ですよ。気にすることありません。


16 名前 ひなた


……そうだよね


17 名前 霰


はい。副会長は、噂なんかよりもっと凄いことをしています。


18 名前 ひなた


そうだよね。噂……って、ええ!?

だって、だって、ええ!?


噂ってあれですよ!

喧嘩を始めた男性を力づくで止めたとか! いじめを行った犯人に鉄拳制裁とか!

そんなのですよ!?


19 名前 霰


はい。喧嘩を始めた男性を力づくで止めたなんて何度もある話ですが、そうですね……今なら言える話ですけど、全く反省してなかった男を病院送りにした事ならありますよ。

もちろん、ひなたが今そうであるように、バレないようにですが。


20 名前 燈華


いじめを行った犯人を鉄拳制裁なら、私も兄から聞いた。

先生方が何度注意しても止めないから、そいつが停学中に家にお邪魔して、親の前で丸一日強制的に叱ったって。

最後は親の方が泣いて謝るほど、子供が次の日いじめた子を謝りに行くほど、頑張ったらしい。


その夜、とっても疲れたと言っていた。


21 名前 霰


ああ、知ってますよそれ。

停学明けのその日、授業のあまりの態度の違いに教師が皆びっくりして、授業中に1回は

「お前……どうした?」

なんて聞かれたから、少し有名です。


あれのおかげで生徒会執行部の株が上がったんですよね。

流石は副会長です。


22 名前 ひなた


……あの、やっぱりそれ、怖くないですか? 暴力を平気で出来る人だって事ですよね?

私は燈華ちゃんの兄と関わりはないんですが、思い浮かぶのは世紀末のヒャッハーです


23 名前 霰


だめですよひなた。世紀末のヒャッハーなんかと副会長を一緒にしないでください。ぶっ飛ばしますよ?


それに、大体の行動は会長の指示なんですから。


24 名前 ひなた


ええ!? 会長って、あの会長!?

会長がそんな事するの? 会長って、凛々しくて綺麗な方で、みんなの憧れだよね?


25 名前 燈華


ちっ……


26 名前 霰


確かに会長は凛々しくて綺麗ですが、その一般的な解釈におさめると、他には暴力的でワガママで、それに寂しがり屋です。


27 名前 ひなた


わ、私……もう、混乱ですぅ


28 名前 燈華


霰の言ってる事は本当。

兄はいつもあの女に振り回されている。

あの女のせいで、生徒会執行部なんていう、兄が絶対に入りたくないと言っていたのに入らされて。

あの女のせいで、いつも兄は疲れる。

あの女のせいで、家族一緒の食事タイムがずれて、兄ひとりで夜遅くごはんを食べたりしてる。


29 名前 霰


確かに会長はあれですけど……あまり悪く言ってくれないでください燈華。本人に悪気はないんです。

ちょっと副会長の前ではいつもより張り切っちゃうだけで、本当に悪気はないんです。


……それより、家族一緒の食事タイム? 副会長ひとりで食べさせるくらいなら、何で待たなかったのですか。


30 名前 燈華


私は待った。けど、次の日、兄から待たなくていいと言われた。申し訳ないから止めてくれ、と。


31 名前 霰


ああ……それなら仕方ないですね。

私も副会長が放課後、会長の家で学校では終わらなかった案件を片付けたりするのを手伝おうとしましたが、それとなく断られました。おかげで終わるのを外で待っていて、ご近所さんから通報された事がありました。


32 名前 ひなた


>>31


……何だか、怖いよふたりとも

も、もしかしてあれかな、今まで聞くのが怖かったんだけど、燈華ちゃんと霰ちゃんは、副会長の事がす、好き……なの?


33 名前 燈華



34 名前 霰


私はそういうのじゃありませんよ。


35 名前 ひなた


だ、だよね! それに、燈華ちゃんに限っては妹だし、ありえないよね!


36 名前 燈華


当たり前。

私は妹。兄は兄。そこに恋愛関係なんて……あっていいはずがない。


37 名前 霰


……


38 名前 ひなた


その言葉少し引っかかるんだけど……

じゃ、じゃあ、もしも仮に私が副会長と付き合う事になったらどうする?


39 名前 霰


ぶっ飛ばしますよ?


40 名前 ひなた


ええっ!? ど、どうして!

好きじゃないんでしょ!?


41 名前 霰


それとこれとは話が別です。副会長と付き合おうだなんて、調子というものに乗りこなしてるんじゃないですかひなた?


大体、そんな事あり得ません。


42 名前 燈華


そう、あり得ない。

確かに兄の容姿は平均より上で、確かに兄は成績良好で、確かに兄は運動神経も平均より上で、一見モテモテ要素が揃っているけど、普通の人が兄を好きになれるわけがない。


43 名前 霰


そうですかね?


44 名前 ひなた


どうゆう事?


45 名前 燈華


見解の相違。

普通と兄じゃ、バカ親父のせいで価値観が違いすぎる。


……兄は地球でいう、ソシオパスやサイコパス……きっと、精神が異常だと判断される部類。


兄はココさんを守るためなら、殺人鬼を殺すのに何の躊躇(ちゅうちょ)もしない。

兄は自分を守るためなら、殺人鬼を殺すのに何の躊躇(ためら)いもない。

兄は私を守るためなら、殺人鬼を殺すのに何の躊躇(ためら)いもない。


兄は他人が殺人鬼に殺されそうになったとしても、見捨てるのに何の躊躇(ためら)いもない。


……兄は、そういう人間だから。


でも、ちゃんと善悪の判断はつく。殺すのが一般的にダメな事だと理解できているけど、人より心の天秤が極端なだけ。

誰よりも生きる事ができる、それが兄。


46 名前 霰


ああ分かります。副会長って、結構まともじゃないですしね。


47 名前 ひなた


……あの、それってやっぱり副会長怖い人なんじゃ?

パーティ、大丈夫なんですか?


48 名前 燈華


全然。こんな異世界にとって、むしろ兄は私達の誰よりもまともかもしれない。殺すのに一々気をつけていれば、きっと生き残れない。


所詮、善悪なんてそんなもの。場所が違えば、幾らでも変わる。


だから大丈夫。兄に敵だと判断されなければ、何も怖がる必要はない。明日のパーティーは、楽しめばいい。

ピース。ピース。


49 名前 ひなた


あうっ、やっぱり不安ですー!


50 名前 霰


燈華の言う通りです。

副会長は、凄いんです。

明日のパーティはいぇーいですよ。ああ、楽しみで今日は眠れるか心配。


51 名前 ひなた


私だけ!? 私がおかしいのこれ!?


52 名前 燈華


Yes! YesYesYes!


53 名前 霰


very good!


54 名前 ひなた


絶対違うよ!

おかしいのは2人だよ!


55 名前 燈華


……そうかもしれない。でも、それでいい。

兄が普通じゃないのなら、きっと——私も普通じゃない。

例え兄が『何か』をしても、それでも私は、私だけは、兄の味方でいれるから。


56 名前 霰


ですね。

私もそれじゃあ、普通とは違うのかもしれません。私が生徒会執行部に入ったのは、副会長がいたからですから。


……ひなたは私が副会長を好きなんじゃないかと疑問に思っているでしょう?


57 名前 ひなた


思ってるも何も、どう考えたって2人は副会長の事好きだよぉ

ベタ惚れだよぉ〜

妄信的だよぉぉお



58 名前 燈華


好きは好きでも、

私は、家族だから。

好きの意味が違うし、そうでなくてはならない。

私は、兄の妹だから。


59 名前 霰


違いますよ。私はただ、副会長を尊敬しているのです。副会長を尊敬してるから、生徒会執行部に入ったのです。



60 名前 ひなた


……私は2人のように副会長を好きになれそうにはないんだけど、やっぱり私がおかしいのかな


61 名前 燈華


Good job!


62 名前 霰


Good job Hinata girl!


63 名前 ひなた


よく出来ましたよく出来ましたって、うるさいよ! やっぱり、私はおかしくない!

絶対に、おかしくなんかないんだから!


64 名前 燈華


おやすみ


65 名前 霰


おやすみ


66 名前 ひなた


無視!?


◇◇◇◇◇


次は、王人が会長に血塗れビッチの件を伝えて、騒ぎになっていた【全員】のチャットを会長が鎮めた後のコールである。

狩人殿がメイドになった、その日の夜である。


◇◇◇◇◇


「……それで、何とかなったんですね。良かった良かった。ひとまず安心です」


すっかり寝てしまったラピスの頭を撫でながら、起こさないよう静かに話す。


狩人殿はラピスを挟むように俺と同じベッドで寝ているが、コールの事は伝えてあるし、こちらの事は気にせず自室に掛けてあるメイド服を羨むように見ている。真夜中で光はないが、きっと見えているのだろう。そんなにジロジロ見なくても、どうせ明日になったらまた着れるというのに……


『なーにが良かった良かっただ、白々しい。これでも大変だったんだからな。

証拠はあるのか、お前は本当に会長なのか……なんて、本題に入る前から疲れてしまった』

「そりゃ確かに……で、なんと言って信用されたんですか?」

『特に何もない。ただ、私が会長だ! 会長だから会長なんだ!

と言ったら、文句を言う奴はいなくなったな』


なるほど。そんなバカみたいで率直なところは、確かに会長だ。


「それで、向こうの反応は?」

『それも、特になし、だ。村を壊滅させて、生き残りの女の子を辱めようとしたと言ったら、奴隷のような生活でもしょうがないという事になっていたな。

一部可哀想だという意見もあったが、大方美羽 愛里の虜になってしまった輩と思う。だからまあ、気にすることはない』

「そうですか。それじゃあ頑張ったご褒美として、最後に会長へ頼みたいことが」

『ご褒美じゃないだろそれは』


訝しげな会長の声を聞きながら、俺はさっきの事を思い出す。


「実はですね、件の美羽 愛里を引き取ってもらいたいなぁと思ってまして」

『……理由は?』

「さっき夜食を届けに行ったんです。そしたら……『うわー先輩これあり得ませんってー。こんなんじゃ乙女の柔肌が傷ついちゃいますぅ。それにこんなジメジメした所じゃ、美容にも悪いっていうかー、先輩私汗かいてきちゃいましたし、ちょっと拭いてくれませんー? ……えーしないんですかー!? もしかして先輩って、⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎なんですか? それは引くなー、男として恥ずかしいですよぉ。え、違う? だったら先輩の⚫︎⚫︎⚫︎見せてくださいよ。見せられない? だったらやっぱり⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎なんでしょ。私と⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎する時も、誰かと⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎する時も、そんなんじゃロクに⚫︎⚫︎⚫︎や⚫︎⚫︎⚫︎も出来ませんって。言っておきますけど………』

……予想じゃ、これから会うたびに言われます。喋るなって命令したら、今度は蔑むような目で見られて、見るなと命令したら蔑むような雰囲気を醸し出して……

正直、このままいくと俺、あいつを放置しそうなんですよ。会長が世話見てやってください」

『なんだ、意外とまともだったな。気は乗らないがそういう事なら仕方ない。私が預かろう』


いよっ、日本一!

会長は分かってくれると信じていた。

あんたは会長の中の会長だよ!


『ただし、条件がある』


チッ、抜かりねぇ。


「何ですか条件って」

『この世界の情勢なんかを教えてくれ』

「……あれ、そんな事ですか?」


だったら幾らでも教えてあげるよ。

……っとと、ラピスが俺の手を掴んだ——食べた。「アイスゥゥ……」アイスじゃねえよアイスじゃ。

さては今日の風呂上がりに食べたせいで、随分と気に入ったらしいな。


「分かりやすく俺たちのダンジョンの配置で言いますね。

左下、会長達がいるそこら辺はクルルギ王国。右下、俺がいる辺りがパワーティス帝国。左上、ココがいる辺りはラブース王国。右上がシント法国」


一応はこの世界、まだ平和だ。


俺のここは森の中だが、森から出ればパワーティス帝国で、こいつは力を蓄えている。どうも、皇帝は他国を侵略したいらしいが、周りがそれを抑えているのと、シント法国の力を恐れての事らしい。

そのシント法国は平和を好んでいるので、安心してもいい。

クルルギ王国もこのままの平和が続けばいいと思ってるし、ラブース王国は少々食糧難……といっても、そこまで気にする必要はない。


パワーティス帝国は、魔物の中にある魔力を溜め込むんだ魔石を使った道具が力。実は皇帝が相当の強者らしい。


クルルギ王国は、魔法が長けている。中でも聖女なんていうのもいるらしいな。他には、刀なんてのがあるらしい。


ラブース王国は、三星の戦乙女という、3人の相当な実力者がいる。3人といえば少ないかもしれないが、それほどまでの実力者だという事。この世界は個々の戦力差が激しいから、一騎当千なのだ。


シント法国は、“協会”という組織があって、これまた強者揃いの集団。中でも勇者ソードは、光のご加護があるとかなんとか。個人的に、1番関わりたくない。



「……と、まあこんな所ですかね」

『——助かった、感謝する。私はそろそろダンジョンを抜けようと思っていたのだ。ずっとダンジョンの中というのも、中々苦しいものでな。

それに、私のところへ冒険者なるものが来たのだ」


冒険者……未開の地や、魔物から魔石をとったりする人物達のこと。


『私はほとんどダンジョンに手を加えてなかったから、私自身気配を消して、冒険者たちは首を傾げて帰っていったよ。

そこで……なんというか、外に興味を持ってしまった』

「へー、まあ、いいじゃないんですか。気をつけてくださいね」

『……素っ気ないな。解せん』


おっ、やっと手が解放されたかと思ったら、今度は抱きついてきた。今気づいたが狩人殿も寝てるな。

俺も寝たい。

うん、寝よう。


「お休みなさい会長」

『むっ……お休み』


——コールが切れたのを確認して、体の力を抜く。

……川の字になってラピスと狩人殿と寝ているわけだが、これじゃあまるで家族みたいだな、なんて馬鹿な事を思った。もしも家族だとしたら、ラピスは娘で、狩人殿が妻。


……実際のところ、狩人殿は俺の事をどう思っているのだろう。

少なくとも嫌われてはないと思う。好かれているかと問われれば、そこも怪しい。向こうは恩を返したいという気持ちがあるわけで、そこら辺が複雑に絡み合ってる。しかしさっきメイドと王子の話をする限りどうも……いや、やっぱりよく分からん。


俺は鈍感ではないが、そういった事に鋭いわけでもないのだ。学校じゃ生徒会かココだったし、休日は妹かココ。


実は付き合った事など、ない。


なんだろな。恥ずかしい話、俺は結構もてないんだ。告白された回数だって2桁ギリギリいかない。

顔は悪い方じゃないと思う。少なくとも、10人と比べて5位の位置には入れるくらい。成績だって、学年の中じゃ20くらいだし。


だから何でだろうな? 出会いが少ないからかもしれない。


言い訳をさせてもらうのなら、別に気にしてないのだが。


そう、気にしてないから……寝よう。


———寝よう。と、思ってたら、コールされた。こいつは……名無しじゃねえか。散々俺たちのチャットを荒らして、ブロックされたお馬鹿。

何でこいつが……無視しよう。


【拒否】を押した。タイムラグなしで、またコールされた。コールをブロックしてもいいが……しょうがない。


「なんだ?」

『ぐっはー……やーらーれーたー……フッフッフッ、しかし我は四天王最弱。いい気にならん事だなぁ……バタンキュー』


切った。

タイムラグなしで、またコールされた。


『くっ……これを使えば、俺は死ぬかもしれない。だけど……俺には、守るべきものがあるんだ! くら』


切った。

タイムラグなしで、またコールされた。拒否したら、またコールされた。


……こいつ。


『もぅー副会長ったらそんなに怒らないでくださいよー。ちょっとしたお遊びじゃないですかヤダー。

それともあれですか、会長はお眠でちゅかぁ?』

「そうだよお眠だよ。切るぞ」

『ああん、嘘ですってー。私は今日、結構真面目なんですからぁ、話を聞いてくださいよ。これ、副会長にとって大事な話ですよ』


胡散臭ぇ。

こいつが真面目な時ってあるのか? 卒業式でさえブッチするような奴だぞ。


「……大事な話って?」

『あっ、気になります? 気になります? うんうん、副会長も大事な話は』

「本題に入らないと切るぞ」

『副会長、狙われてますよ』


……なんだって?


『ここで切ってもいいですけどね、どうします副会長。

本当に……切ります?』


名無しは誘うように、本当はこいつが全て企んでるんじゃないかと錯覚するくらい怪しくて、俺は……切る事にした。


「じゃあな」

『じゃあな……って、ええ!?』


最後に名無しの素っ頓狂な声を聞けただけで、よしとしよう。

ふっ、残念だったな名無し、俺には異世界知識さんがいるのだよ。


(と、いうわけで詳細よろしく)

《……何だか教えたくありません》

(ストップ、これ絶対に教えてくれないと困る。今更名無しにコールできないよ? 俺一生その事でからかわれるから。

な? お願い、一生のお願いだから!)

《……はぁ……やっぱり教えたくないです》


そ、そんな。

俺の一生のお願いがきかないだと……!?

どうする。俺は狙われている。今の異世界知識さんから聞いた話じゃ、それは本当らしい。

情報が欲しい。少しでもいいから、情報が。だからお願い異世界知識さん! 何でもするから!


《すぐに分かりますよ。あの美人さんが、教えてくれます》


……わかった事は2つ。

俺が狙われている。

美人さんが関わっている。


……やばい、ろくな事が起きないぞこれ。


俺はどうする。その事を知って、今から何をする。


——寝る。


そうしよう。


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