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私は捨てられた

「ここは…」


見たこともない世界に私はいた。

下には芝生。

目線の先には無機質な大空。

そして私を見つめるのは……?


「おはよ! 起きたみたいだね。」

「…?ここは?」

「ドゥラング。ドゥラングよ。」

「っと、貴女の名前は?!」

「エヴィよ。インコリポル体。」


エヴィという名前の人はムームー風のワンピにオレンジのスカーフが巻きついている。

茶色がかった髪にはワンピと同じ色のエメラルドグリーンの花がついている。


「女王様、起きたわよ」


奥から、黄色い髪に紺のリボンが付き、薄ピンクのドレスに白と紺のベルトとレースがついた人が来た。

その風格は……女王様という言葉がピッタリ。


「私はアリス。

ガラス製のドールよ。」


アリスは自分の胸元に手を添えると微笑んだ。


あっーーーーー

その言葉で気づいた。

私は紛れもなく正真正銘のドールであることを。


「しっかり立ってみなさい。

私は貴女を知らなければならないから。」


と言ってアリスは私を立たして鏡を差し出した。

アリスに差し出された鏡に映った自分の姿をみて、さらに自分がリオという名前であることを思い出す。


水色と白のギンガムのスカート。

ネイビーのブレザー。

白い襟と紺のリボンタイ。

頭に巻かれた水色のスカーフ。

真っ黒な髪の毛。


「あっ、ミルアは? 」


私はエヴィに質問した。

ミルアは私の持ち主…? というか、私を大切に使ってくれた人。

ここ最近の記憶は薄れていて、イマイチ何が何だかわからない。


目の前には見知らぬドールがいるのに、ミルアがいないのはおかしいと感じる。

だから思い切って質問してみた。


エヴィは悲しい目をする。

同じようなドールでもこんな顔はみたことない。

まるで人間のような表情には驚かされつつも、エヴィの答えを待つ。


ようやく、エヴィは口を開いた。


「ここ、ドゥラングはドール最後の箱庭。」

「えっ、よく意味が…」

「つまり、ここはドールの墓地!!

捨てられたドールの来るところなのよ! 」


エヴィは涙を流しながらやけくそに答えた。

その姿は私の心が痛む。


でも、


ここは、


墓地ーーーー?

捨てられたーーーー?



捨てられたドールが……来るところ?


あんなに大切にされていたのに……


私はミルアに


捨てられた……?

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