桜吹雪
散れ
舞え
桜吹雪
「いつも此処にいるの?」
いつも桜の下に座って桜を見ている君。
思い切って声をかけてみた。
「春だけね。この桜が咲いてる時だけ」
「この桜、綺麗だね」
君は手を伸ばして落ちてきた桜の花びらを掴む。
ふと、君の髪が目に入った。
桜と同じ色をした、綺麗な髪。
「君の髪も綺麗だね」
「春だけね。夏になれば元に戻すよ」
君は同じ言い方をして髪をいじった。
僕はそっとその髪に触れてみる。
サラサラとした綺麗な髪。
「すごく綺麗……元の色に戻すなんてもったいないよ」
「ありがとう」
君はニコッと笑って僕を見た。
僕も笑みを返す。
次の日も此処で会う事を約束して、僕はそこから立ち去った。
けれども、神様はとても残酷な決断を下した。
次の日。
そこの場所に行ってみると、人だかりができていて桜の木がばっさりと切られた。
そして君の姿は人だかりの中の何処にも無い。
―――君は何処に行ったの?―――
ふと、桜の木に群がっている人達が見つめているモノを見た。
桜の木の下にいたのは、無惨な姿になった君が倒れていた。
白い肌は君の血で真っ赤に染まり、あの綺麗な桜色の髪はばっさりと切られていた。
―――誰が君を殺したの……?―――
―――そこにいる人達に殺されたの……私がずっと此処にいたから……邪魔だから……―――
君の声が聞こえたような気がした。
そこからの記憶は曖昧。
ただ分かるのは、僕が君の仇を取ったんだ。
桜の木の周りの土は、桜色より濃い紅に変わった。 −end−
とてもとても短い話にお付き合いいただき、
誠にありがとうございます。
『桜吹雪』は、
このツールズを使うに当たってのテストのようなものですが、
いかがでしたでしょうか?
また何かアップしました時は、
懲りずにまたお付き合いくださいませ。
でわ。