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7.実験と考察

小料理屋から帰った私とショータは私の部屋で簡単な実験を

してみた。

「どんな感じ?」

「確かに影響はあるけど、うーん微妙ね。」


相手の視覚に影響を与えるらしい、という能力の検証を

私が被験者となってやってみた。


何も感じない。飲酒のせいか?

最初こそ眩暈ににた感じがしたが、何回かのうちに本当に

何も感じなくなった。


「普通に見えてると、思う。」

確かに何か違和感があるけど、逆に言うとその程度。

「長い時間は無理みたい。ぱっと消えてすぐ戻る感じ。」

ショータが私の頭の中の情景を説明してくる。

「それと、ただ見るのと違って、消えて、と強く思わないといけない

みたい。」

ショータは相手が見ている映像を感じ取るだけなら意識せずにやって

しまうらしい。

時々大勢の人の映像が同時に頭に浮かんでしまう事があるそうだ。

人混みが嫌いな要因の一つになっているようだ。


「ごく短時間か。調べるの難しいな。眼科の医療機器が欲しい所だけど、

そうだ、スマホでストップウオッチの表示見てるから、そこに干渉してみて」

「解った、やってみる。」


実験の結果は、確かに影響はあると思う。

私だけが被験者なのでデーターとして価値はないが

ストップウオッチの指定の時間を視認する事が出来なくなった。

出ているはずの数字、0.以下の4から5を見れない感じ。

感じというのは、見えていないのか見えているのか微妙というか

一生懸命見ようとしているのに見えているような見えないような、

違和感が半端ない。脳が疲れる?みたいな妙な気分になる。


相手の見ている画像がわかる事に関しては、私の友人を実験対象にできた。

何の事はない、友人にトランプを引かせ手品だと言ってショータに

当てさせたのだ。

本当に透視されているとは知らず皆喜んでくれた。

しかし、これは相手に影響を問わないといけない。

被検体を増やす事はできないし、やらない方が良いだろう。


「視覚に影響を与えているのは間違いないと思うけど、

 目隠しできる程ではないわね。別に気にする事無いんじゃない

やらなければ良いだけなんだし。」

「やっぱり電磁波なのかな?」

「早く研究できると良いね。」


この能力を知った時、仮説をたててみた。

人の視覚は網膜細胞から脳へ電気信号で送られている。

現に脳の視覚野に電気信号を送って画像を認識させる実験には

成功している。

電気信号、電気が流れれば必ず電磁波が発生する。

それを感知して取り出そうとする研究も存在する。


ここに2人の人間が居るとする。

二人は同じように電気信号で脳に画像信号を送っている。

それを処理する脳の構造もほとんど同じはずだ。

テレビの送信機と受信機がそれぞれあるわけだ。

もし、相手の画像信号をとらえるアンテナがあったら

2つの画像信号を同時に見る事になるのではないか?

アンテナ?全身を走る神経回路がアンテナに

なっているのではないか?


まだ医大生だった私のたてた仮説が正しいかどうかは解らない。

ちゃんとした計測機器も実験計画もなく思いついただけだ。

仮説に基づき、アルミフォイルでショーターの全身を包むという

第三者が見たら危ない奴以外何物でもない実験をやってみたが

ショータの反応は『少し見えにくい気がする』程度だった。


実験している間のショータは楽しそうだった。

自分の”変”な原因を知りたいという好奇心にあふれていた。

『この事が分れば目の不自由な人や色んな人の役に立つんだね』

『うん、そう思うよ。』

まず信じてもらうまでが大変だとは言わなかった。

『僕、大きくなったらお父さんやお母さんみたいな偉いお医者さんになって

 能力の研究する。』

『うん頑張ろうね。』

若干死亡フラグのような気がしたし、アンタの両親はサイコパスなので

そうはなって欲しくないと喉元まで出たが黙っていた。

偉い医者というのを教えたのは私とジジババだし、

《《医者としては》》尊敬できる人だというのも確かだ。



過去を回想している私の前でショータは又イジイジチラチラしている。

全く可愛い奴だ、まあ多分あれだ背中を押してやろう。

「学校変えるんだろ?良いと思うよ。私の母校だし。」

ショータはエスカレーター式に大学まで行ける、いわゆるお坊ちゃん学校に

通っている。

あの状態でお受験に通った理由は、、、ショータの両親と祖父母だな。

人間社会のコネの力は恐ろしい。

「うん、今の学校にも医療系コースは有るんだけど、イマイチだし。」

まあ確かに経済系と法律系に強いイメージだ。

多摩近場タマチカは国立医学部に強いからね。

 ショータにピッタリだと思うよ。家から歩いて通えるし。」

ショータの顔がぱっと明るくなる。

仕方ないじじいばばあを説得してやろう。

無理やり合格させたらしい二人のメンツなんて知った事か。

気が晴れたらしいショータは自分の部屋に帰っていった。


多摩近場タマチカ位楽々入れるだろうに今日も勉強する気だな。

あの性格は誰に似たのやら。


尚、先程のショータの言葉には若干の嘘がある。

元の学校も多摩近場タマチカも偏差値に大差はないし

何なら医療系私大への推薦枠を持っている向こうの方が有利だろう。

本当の原因は電車で20分の通学だ。

ショータは電車通学させると痴漢に遭う星のもとに生まれている。

近所の同級生の女の子が一緒に登校してくれていたのだけど

1年位前その子が転校してしまった。

無茶苦茶しょんぼりしていたのは結構好きだったのだろう。

少年野球に行くときやっているように往復車を手配しても

良いのだが、学校が嫌がる。

格差をつけたくないそうだ。全く下らない。


机の引き出しからウィスキーボトルを取り出す。

さて今日の診療の見直しと論文チェックをやるか。

それが終わってからのお楽しみだ。

飲まなきゃやってられないし、飲まなきゃ眠れない。

体に悪いのは、、、医者の不養生っていうだろ。


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