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6.W3(驚異の3人)

礼華たちが居る駅前にあるバス停からたまに出るバスで30分位。

団地前という投げやりな名前のバス停があった。

駅前で買い物したらしい老人が敬老パスを見せて降車し、

古びた入口に入っていく。

昭和感たっぷりの団地は控えめに言っても寂れていた。

老人が億劫そうに階段を昇り出した、その一番上の4階の部屋に

元気そうな男子中学生3人が集まってニュースを見ていた。


「何やってくれてるんだよ全く。」

「今年は推薦枠で採らないってよ。

 突然お詫びの知らせとやらが来た」

「おれんとこもだ。紙きれ一枚で何もなし、

いい加減にしろとしか。」


彼らの進学する予定だった野球の名門N高校、

その野球部の有力選手とコーチがどっかの大学関係者から

金品をもらい、飲酒接待まで受けていたのがバレたようだ。


「今時そんな事する奴いるのかよ。」

「俺たち何も関係ないじゃん。どこに文句言えば良いんだよ」

「一般入試を受けていただければ受け入れます?

優待じゃなきゃ誰がこんなレベルの低い所へ行くかよ。」

部屋には地区優勝の優勝旗を持った野球部の集合写真があった。


「野球部の組織を抜本的に見直すため、だってよ。」

「俺たちの進路の見直しをどうしてくれる。」

「入学金と授業料免除、用具は全部支給、寮費も只、

いい条件だったのに。」

「今からじゃこんな好条件もうないぞ。」

「もういいや、今年の春まで予定してた通り

 多摩近場高校タマチカを狙おうぜ。」

「こっちはレベル高すぎるんだよな、俺達でもギリだぜ。」

「そんな事言って落第したら目も当てられないぞ」

「ああ、過激な受験勉強か、嫌だな。」


彼らは通っている学校でワンダー3と呼ばれていた。

頭が良い、スポーツも出来る驚異の3人という意味だが

あんな団地に住んでるくせに、という意味も入っていた。


「もともと野球で身を立てるなんて確率の低い事考えて無かったろ」

「そうだけど、もしかしてってあるじゃん。野球選手ってモテそうだし。」

「お前の行動原理はいつもそれだよな。ブレないのは凄いと思う。」

「もういいか?現実に戻ってこい。」

「しかし、この学校奨学金とか分厚いよな。

 予備校行かなくても良い位補講してくれるらしいし。」

「前も話しただろ。多摩近場高校タマチカって出世高校って言われる位

卒業生に金持ちが多いんだ。

特に貧乏学生だった人が沢山寄付金や奨学金を出すんだって」

「なるほど。そうやって良い学校はより良く、そうでない学校は、」

「身も蓋もない事言うなよ。」


母は病院勤務の看護師、姉は看護学校で留守がちの為

この部屋が3人のたまり場になる事が多かった。

中学生3人が集まっているのに妙に静かで気づかれない事が

多かったし、オヤツなんか出てこず、家政婦さんどころか

母が居ない子までいた。


3人の紹介

渡辺昇わたなべのぼる

この部屋の住民。

母子家庭で母と姉に頭が上がらない。

家族内ではなぜかノッコと呼ばれている

野球部ではショートを守っていた。

守備センスを認めた高校からスカウトが来た。


野口歩夢のぐちあゆむ

同じ棟の別の階段を上がった部屋の住人

両親は再婚で連れ子があったため5人兄弟の

長男になってしまった。

両親は会社員とパートで働きにでるので

家事の主力、血が繋がっていない一歳下の妹には

頭が上がらない。

小さい兄弟にはボッコと呼ばれている。

野球部ではサードを守っていた。

打撃センスを認めた高校からスカウトが来た。


重田武士しげたたけし

別の棟の1階の部屋に住んでいる

一人っ子、

母とは死別、顔も覚えていない。

父はトラックドライバーで家にあまりいないが

祖母が同居している。

当然祖母には頭が上がらない。

愛称は何故かブッコ。

野球部ではセカンドを守っていた。

粘り強く、選球眼が良いと認めた高校からスカウトが来た。

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