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5.兇状持ち

勉強会が終わった後、礼華はいつも乙羽を送って行く。

腕を組む二人を見て変な想像をする人もいるかもしれないが

普通に友達だ。

帰る方向が同じなので汐里と私も一緒に行くのだが、

同じ中学の子や汐里たちの学校の子の中に礼華を見て

目を逸らしたり、道を変えたりする子がいる。

明るく声をかけてくる子の方が圧倒的に多いけど、

嫌な反応をする子を見るたびに本来気弱な

乙羽が睨みつけている。


噂ってなかなか消えないんだな。


『私も2学期からの転校生なの。よろしくね』

転校したばかりで、言葉を笑われたり、何故かバレた

ウミノクラゲについて揶揄われたりしてる私に声をかけて

来たのが礼華だった。

違うクラスの背の高い子、最初のイメージはそれだけだったけど

すぐに仲良くなった。

彼女はケラケラと良く笑い、友人も多かった。

その仲間に入った私は学校になじむ事ができた。


そんなある日、私は別の女子グループに声をかけられた。

『知ってる?礼華って前の学校で暴力事件起こして

居られなくなったからこの学校に来たのよ。』

『お嬢様、お坊ちゃんの学校から下賤の公立中学、

堕ちたものよね。と思ってそうだよね。』

『なにあの金持ちケンカせず、みたいな態度、腹立つよね』


こいつら暗に私に同意せぇと言うとるやないか。

残念ながら私はそんな事思った事ないよ。


『暴力事件ってなにしたん?』

『気に食わない先生を鉄パイプで滅多打ちにしたんだって。』

『先生は血の海に沈んでいて、礼華は返り血で真っ赤、

二人とも血まみれで凄かったみたいよ。』

『すごいニュースになってたじゃん。知らなかったの?』

『礼華は未成年だからって、名前が出なかったのよ』

『怖いよね、あんな人野放しにしてるなんて。』

『先生方もピリピリしてるもん。』


その時礼華グループの人が入って来なければ仲間に入るまで

離してもらえなかったかもしれない。


礼華の所に行くまで考えた。

一部の生徒が明らかに怖がってたり、

距離を置いていた理由はそれやったか。

でも、私は礼華を、短い付き合いだけど知っている。

大柄で気の強そうな顔は確かに怖い。

自分勝手だし、意地悪な事言う事あるし、何考えてるか分からん時あるし。

でも人の言う事はちゃんと聞くし、理不尽は自分も含めて許さない。

理由もなく暴力振るうようには思えない。


私は思い切って直接聞いてみた。

『あの事?まあいいわどうせロクな事言われてないし。教えてあげる』

『話してもええん?』

『別に何も問題ないわよ。結審してるし。

前の学校に変態教師がいてね。外壁改修中で人気のない校舎の陰で襲われたの

仕方ないから《《偶然》》そこにあった足場の鉄パイプでぶん殴った、それだけよ。』

『それだけなん?』

『尾ひれがついて色々言われてるのは知ってるけど、本当にそれだけ。

まだ別件の裁判残ってるけど私の件は正当防衛でケリがついてるよ。』

『それやったら皆に説明した方がええんと違う。』

『説明しても言う人は言うし、私が乱暴なのは本当だから。』

何が面白いのか礼華は笑い出した。

『馬鹿な事したとは思っているし、二度とあんな事する気はないよ。』

私が心配そうな顔をしたせいだろう。礼華は静かに私に言った。

『それやったら前の学校辞めやんでも良かったんとちゃうの。』

『気分の問題かな。変態教師は辞めさせて他の教師にも謝罪させたんだけど、

教師連中、変態教師庇ったのよ?信じられないわ。

後、学校の名誉とか世間体ばっかり、あんな学校にいる事が嫌になった』

『強いんやな・・・。』

『うーん。馬鹿なだけだと思うけどね。まあ面白かったから良いよ

悪口言われるのは自分のやった事の結果だもん仕方ないよ。』

礼華はまた笑いだした。

『何を笑ってるん?』

『自分の馬鹿さ加減かな?それとあの時の状況思い出すとおかしくて。

エラそうな講釈ばかりしていた教師が、自分の血を見てヒェーて言いながら

逃げてくのを追い回してやったの。

殺されるー、みたいな事言ってたけど、傷なんて大した事なかったのよ。

頭だから出血は多かったけど5針縫う裂傷と打撲、全治一ヶ月よ』

『どんな感じか私にはわからんけど。』

『その後、いくら言っても聞いてくれなかった学校関係者とかも

最終的には全部謝罪させて終わり、まさに物理は全てを解決する、よ。』


決めた、とりあえず礼華を敵に回すのだけはやめとこ。

あの時の決意は今も揺るがへん。

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