第5話 金の卵を孵す
-side フィル-
「とりあえず、貰った卵は孵さないとな」
謎の精霊王エレメンタルに金の卵を貰った俺は、二つの卵を見比べる。両方とも神々しく、凄そうな卵ではある。
「金の方はダンジョン工房だっけ?鍛治レベルに応じて成長するってことは、まずは家に帰って働くことからスタートかな。銀の方は……まだ未知数だけどやっぱり特別な魔物っぽい」
まあ、無駄なものを押し付けられただけで、何も変わらないか。
「というか、勝手に試されて、こいつなら大丈夫そうとか、押し付けなかったか?あの人。君なら任せられるとかいう感じで」
なんつー自分勝手なやつだ。まあ今はいいや。
エレメンタルの言葉を信じるなら、ダンジョン工房とやらは、悪いものではないだろう。
「ほんじゃー!あれやるか」
俺は持っていたマジックバックから、魔力ポーションをたくさん取り出す。卵を孵すためには、魔力を沢山注入しないといけない。
普通に旅している人などは持ち歩きながら地道に魔力を注ぎ孵すが、俺は効率厨なので、グビグビポーションを沢山飲んで一気に孵すのが、一番性に合ってる。
まあ、一定の割合でドン引きする輩が出てくるから人前ではやらないが、今は周りに人もいないしやりたい方だろう。
「ぐへへへへ!待ってろよ!卵たち!」
--ガクガクブルブル
卵たちも早く出たいのか、ブルブルと震えている。
よーーっし!気合い入ってきた!
まずは、金の卵からいくか!
--ピカーー!
--ゴクゴクゴクゴク!
--ピカーー!
--ゴクゴクゴクゴク!
繰り返すこと数時間……。
--ピッカアアアアアア!
「きた!」
金の卵の方が光り出した。
--ガラガラガラガラ!
「ギャアアア!ギャアアア!」
--え?
見ると、青色に輝くドラゴンのような見た目の魔物が生まれてきた。ええええ……。魔物だったの?種っていうからてっきり、なんか特殊な苗でも生まれてくるのかと思ったら、魔物だったんだ。
「ギャアアア!」
「お、落ち着いて」
俺が撫でると、泣き止む。
「ギャア?」
「俺がパパだよー」
「ギャッ!?ギャッ」
--ん?気のせいだろうか?
怯えられている気がする。
まあ、泣き止んだらいいか。
「ペッ!」
子ドラゴンは口から宝石のように光るガラスの種のようなものを吐き出した。
「--ん?もしかしてこれって……!」
「ギャアア!」
そうそう、と言っている気がする。
ということは、これがダンジョン工房の種か。
エレメンタルめ、まさか魔物だと言ったら俺が断るかもしれないと思って黙ってたな。
良いことばかり言って。
「それはそうと、お前、名前は何がいい?」
「ギャッ?」
「ドラゴンだから、ドラゴとか?」
「ギャッ!」
「嫌か、ドランは?」
「ギャッギャッギャ!嫌か、安直すぎるのかもな」
「ギャッ!」
「じゃ、ラピスとかはとうだ?お前の目の色みたいだろ?」
こいつの目の色は青い色で、宝石のラピスラズリに似ている。そこからとった。
「ギャア!」
「おっいいか!じゃあ、お前の名前はラピスに決定だ!」
--ピッカーー!
どうやら無事に契約が完了したようだ。
精霊であるエレメンタルに託されたから大丈夫だとは思っていたが無事に完了して良かった〜。
「よしっ!もう一つの方も孵そう」
「ギャ、ギャア……」
--ん?ラピスがなんかまた怯えているのは気のせいだろうか?
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