第10話 雑貨屋を開きたい
-side フィル-
『早速主人にはモデルルームダンジョンを育成して欲しいのだー』
「モデルルームダンジョン?」
ダンジョン工房のサポーターであるドライアドさんが早速ダンジョン工房育成について手引きをしてくれる。
『そもそも、ダンジョンとは色々なモンスターが出る迷宮なのだー』
「ふむ」
そこら辺はクランにいたからよく分かっている。冒険者が資源を求めて狩りを行う場所。
危険が伴うが、リターンも大きい。
クラン職員として、何人も大金持ちになる人も見てきたし、何人も大怪我をした人たちも見てきた。
『このダンジョン工房はそう言ったダンジョンを育てる工房なのだー。ただし、別にダンジョンと言っても自分に従うゴーレムだけが出るダンジョンや、資源がわんさか出るダンジョンがあっても良いのだー』
「そうなんだ」
確かに、なぜこれまでそう言ったダンジョンがないのかは不思議だった。でも、実際にダンジョンを持っている人など世界には殆どいない。
噂ではSランク冒険者の1人がダンジョンマスターになったという話は聞いたことある。それも信憑性は定かではない。
なので、ダンジョンとは人と魔物が戦い資源が豊富なところ。そんなものだと言う認識が先行していたのだ。
『ダンジョンマスター側としては人間が来すぎても困るのでそう言った事はしていないのだー』
「なるほど」
実際にマスター側の意見を聞いたことが無かったので分からなかったが、そう事なのか。
確かに、資源を積極的に分け与えるダンジョンなど超大人気ダンジョンになるだろう。
それだけだったら、まだマシだが悪い輩に目をつけられる可能性まである。
ダンジョンマスターも身の安全のためにダンジョンを危険なところにしていたのか。
『だけど、資源が豊富に出るダンジョンを保有する事も出来ないわけではないのだ。狙われないようにすれば可能なのだー』
「俺の土地はそれが可能だと」
『そうなのだー。そもそもこの土地は元々フィルの私有地だから他人は殆ど入ってこないのだー。それに加えて、エンシェントドラゴンの持つ隠蔽の結界魔法、フェンリルの持つ幻覚の結界魔法。そしてウチが持つ悪意を寄せ付けない結界魔法。この3つの従魔がいればダンジョン工房をどこにも知られずに守ることができるのだー』
「キャン!」「ギャア!」
「確かにな」
これだけの条件と従魔がいれば隠し通せるか。
だが、俺はそこまでのリスクを取る事は苦手なんだよなあ。もしバレた時大事になっては困る。
どうせなら堂々と行いたいところだ。逆に誰でも入れる店が実はダンジョンだったら?みたいなことできないのか?例えば、雑貨屋なんてやるのはどうだろう?
そう考えていると、ドライアドさんの顔がパァ!と明るくなる。
『雑貨屋さん!開いてみたいですう!』
「奇遇だな」
『アーティファクトが沢山出現するダンジョンも作れるのです!』
「おっ!じゃあ、それからやってみよう!」
早速ドライアドさんが種をくれる。
それを埋めて欲しいもの--アーティファクトをイメージしながら魔力を込める。
そして、ドライアドさんが恵みの雨を降らせてくれる。
『あとは待つだけなのです〜』
どんなダンジョンが生まれてくるのだろうか?
楽しみだ。
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