大阪の虎
神室町の東城会クリスマス会が 屁バトル腕相撲で阿鼻叫喚になっていた
まさにその同じ頃
大阪・道頓堀。
派手に虎柄の電飾のビルの上階で
阪神タイガース日本1番会
(※正式にそう名乗っている)
が緊急会議をしていた。
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会長席。
虎柄スーツ
背中にトラの刺繍
肩には本物のトラの毛皮マント
男の名は――
産屋敷タイガース虎吉
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虎吉は机に1通の封筒を叩きつけた。
「これや」
「東城会から“阪神は最弱”とバカにする手紙が届いた」
若中。
「ど、どこの幹部が…?誰やねんそんな事したの…」
虎吉は怒りで青筋が浮く。
「ワシの推測では――北の連中か桐生の線が濃厚や」
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虎吉は静かに立つ。
背後の部下が
ケースを持って近づく。
そこから取り出されたのは
虎柄の木製バット。
ただのバットではない。
虎吉がゆっくり説明する。
「このバットは、触れたものを――爆発させる」
“触れて”爆発する。
振ったら
触ったら
当てたら
全部即爆破。
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部下たちは目を輝かせる。
虎吉はそれを悠然と担いだ。
「神室町に行くで」
「タイガースの誇りを、見せたる」
大阪ヤクザ・阪神タイガース日本1番会。
その“虎吉”が
今、神室町へ向けて 侵攻を開始しようとしていた。
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そしてその頃の峯は
宴会場隅で、1人で燗酒を飲みながら
“屁バトルの恥”でメンタル崩壊していた




