親の事情子の事情 15
陽は警察手帳を見せると
「The Police. I come here because I was invited yesterday. (警察だ。昨日招待をされたので来た)」
と答えた。
「I want to ask the women who work here.(ここで働いている女性にきいてもらいたい)」
管理人の男は怪訝そうに管理人の詰所へ戻り電話を手にした。男は暫くして戻ると
「please」
と陽と坂口信一郎を中へと入れたもののそこに留め置き、5分ほどして降りてきたシェリルを見た。
シェリルは陽と坂口信一郎を見ると笑みを浮かべ
「お誘いしたつもりはなかったんですけど」
と告げた。
陽はそれにニッコリ笑い
「いや、4年前には無かったし、昨日声をかけてもらったのでせっかくならと」
と告げた。
彼女はくすくす笑って
「鷹司巡査部長」
と言い
「貴方、怖い人ね。でも甘く見ないでほしいわ……ここは我々のテレトリーなんですから」
と手で先を促すように示して
「どうぞ」
と誘った。
陽も坂口信一郎も表情を変えずに足を踏み入れた。
彼女は管理人の男に目配せをすると小さく頷いて足を進めた。
門から建物の入口まで少し空間があり陽はそれを見ると
「5mくらいか」
と心で呟き、彼女が壁に扉があるだけの無骨な入口の横手に設置されている手の平サイズのセンサーの前に手を翳すのを見て
「恐らく手の血管を認証しているんだろうな」
と判断した。
彼女は冷静な二人を横目に
「本当に……日本の警察は本気を出せば優秀のようね」
と心で呟き、扉が開くと中へと連れて入った。
「どちらかと言うと代議士とかあの男みたいな人間の方が御しやすいわ」
……金や地位に直ぐヒョイヒョイ乗ってくるんですものね……
シェリルはそう考え二人が黙って入ってくるのに笑みを浮かべた。陽は足を一歩踏み入れかけて立ち止まるとハッとして
「坂口巡査部長、申し訳ないが駐在所の方に携帯電話を忘れてしまったようだ。取りに戻って欲しい」
と告げた。
坂口信一郎は驚いて
「え?」
と聞き返しかけた。が、陽は強い口調で
「急げ!」
と告げた。
坂口信一郎は敬礼をすると慌てて駆け出した。
シェリルは笑むと
「彼を助けたつもり?」
と戸口に立つ陽を見た。
陽は笑むと
「それって俺を殺すつもりなのか? 君も村長も俺を害することはできない」
と告げた。
彼女は目を見開くと笑って
「貴方って見かけは唯の明るいお巡りさんって感じだけど……ほんっとムカつくくらい分からないタイプね」
と踵を返すと
「どうぞ」
と中へと誘った。
陽は足を進めると中へ入り後ろの扉が閉まるのに
「やっぱりだな」
と冷静に判断した。
シェリルは足を進めながら
「どうせ携帯で危機を知らせようとしても無駄よ。ここは携帯が圏外なんですもの」
と告げた。
陽はポケットから携帯を出すとマークを見て
「そうだな」
と答えた。
彼女は息を吸い込んで吐き出すと
「何を知りたいの?」
と足を進めながら聞いた。
少し長い白い壁だけの廊下があり、その前の扉の前に立ち
「まあ、愚問ね」
と言うと扉を開いて
「貴方が知りたいのはこれでしょ?」
と笑みを見せた。
陽はガラス張りの向こうの様子に目を見開いた。
「なるほど、海外犯罪組織の日本拠点にするつもりだったんだな」
そこには麻薬を作る作業員が作業をしており花瓶などの底に入れ貨物便としてコンテナに詰め込む場所まであった。




