親の事情子の事情 13
陽は彼女を少し見送り振り替えるのに笑顔で手を振り、巡回コースを歩き出した。
女性は陽に手を振り返して背中を向けると足を進め、住宅街の坂を上って高台にある村長の家へと姿を見せた。
村長は彼女を見ると
「どうだ?」
と聞いた。
女性は肩を竦めると
「本当にその全国巡回でただ来ただけのような気もするわ。分からないわ」
と呟いた。
「そうね、プロファイリングしにくいタイプだわ。もし事情を知って来ていたのなら……天性の詐欺師になれるタイプね」
村長は息を吐き出すと
「そうか、考え過ぎか」
と言い
「シェリル、とにかく、鷹司がいる間は奴らに出来るだけ外へ出ないように言っておくようにしてくれ」
と告げた。
「いらぬ波風を立てたくない」
シェリルは「わかったわ」と答えた。
陽は坂口信一郎と歩きながら周囲を見回し人の気配が消え去ると
「何とか、上手く誤魔化せたかもしれないか」
と言い
「そのまま歩きながら話を聞くように」
と告げた。
坂口信一郎は驚きながら
「はい」
と足を止めず答えた。
陽は彼に
「坂口巡査部長のSOSは本庁に届いておりこちらの状況がはっきり次第動く形になる。その場合に島民の命が最優先されることを考えておいてもらいたい」
と告げた。
坂口信一郎は笑むと
「もちろんあります。ありがとうございます」
と答えた。
陽は更に
「気になっていたんだが何故ここまで至るまで君が気付かなかったのかと言うことなのだが」
と告げた。
坂口信一郎は歩きながら
「それが船で一気に占拠されました。夜中と言うこともありこの辺りは明かりが無く、最初に駐在所が抑えられてしまったので連絡が直ぐに取れませんでした。申し訳ありません」
と答えた。
陽は「つまり島の情報をかなり把握してということだな。村長がどこかで繋ぎをとっていた可能性あるな」と心で呟き村の端の方に来ると
「この辺りなら恐らく高台の村長の家からも見えないだろうな」
と周囲を見回して立ち止まって携帯を出した。
坂口信一郎は陽を見ると
「その携帯は電波が入りませんが」
と告げた。
陽は笑むと
「大丈夫だ」
と答え
「村長は本州へ行っていたようだが、何処へ行っていたか聞いたりはしていなかったか?」
と聞いた。
坂口信一郎は少し考えて
「大学が確か東都大学で前の村長が良く東京へ直ぐに行くと言っていました。東京の政治家に感化されて島を蔑ろにしなければいいがと」
と呟いた。
陽は頷くと携帯をかけた。
「赤木か、やっぱり通じるみたいだな。写真は届いただろ? その男に関して国際指名手配とかにかかっていないか?」
赤木勇介は報告を受けながら
「いま調べさせている。もう少し待ってくれ」
と言い
「それで本当に海外に乗っ取られているのか?」
と聞いた。
陽は厳しい表情で
「ああ、間違いない。だが、今はまだ証拠も何もないからな。証拠を手に入れたら連絡する」
と言い
「あと、調べてもらいたいのが村長が東都大学に通っていた頃の知り合いだ。それと3年から2年くらいの間に東京へ行っていたらしいが政治家と交流をしている可能性がある。その政治家とその政治家の背後関係だ。もしかしたらその政治家を通じて今回の件を起こした可能性がある。もう一つはリーガルハイアット会社を調べてくれ」
くれぐれも勘付かれないようにな、と告げた。
「それから計画実行の準備は整えといてくれ」
赤木勇介は頷くと
「ああ、了解した。くれぐれも気を付けろ」
と告げた。
陽は笑むと
「了解」
と答え携帯を切ると内ポケットに入れた。




