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陽と月  作者: 如月いさみ
全国巡回駐在員

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親の事情子の事情 11

 船が到着すると村長と坂口信一郎と彼の姪である坂口ありさが船着き場まで迎えに来ていた。


 陽は船から降りると村長の姿を見て

「なるほどな」

 と心で呟き

「お久しぶりです。お父上は引退されたんですか?」

 と聞いた。


 村長は笑むと

「いえ、それが急に病気で逝ってしまいました」

 と告げた。


 陽は視線を下げて

「それは、とても穏やかで良い村長さんだったのに残念です」

 と告げ

「今は息子の貴方がお父上の志を継いで頑張っているのですね」

 と微笑んだ。


 村長は目を僅かに開いて笑みを作ると

「ええ。では村をこちらの者に案内させますよ」

 と若い男性を紹介した。


 陽は笑って

「いやいや、俺も全国巡回の仕事で来ているので……先に駐在所に行かなければ」

 と言い頭を下げると

「お気遣いありがとうございます。坂口巡査部長から報告を聞いて報告書を作ろうと思います」

 と告げた。


 村長はチラリと坂口信一郎を見ると

「では、終わられましたら」

 と告げた。


 陽は坂口信一郎を見ると

「ああ、そう言えば。春日警部補から結婚祝いのメッセージありがとうと言付かってきました」

 と告げた。

「お前は浮いた話の一つもないなって……離島は大変だなと言ってました」


 そして、立ち止まったままの村長を見て

「本当に離島だと出会いが難しいですね。そう言えば島の方は殆ど本州へ行かれたりはしないんですかね?」

 と告げた。

 

 村長は苦く笑って

「見合いにですか?」

 と聞いた。


 陽は笑って

「そうですね、良くある合コンとかで」

 と告げた。

「村長さんはまだ若いし東京とかへは来られたりとか?」


 村長はそれに

「……まあ。島のことの相談などで時々は」

 と告げた。


 陽は頷いて

「その時に出会いもあるかもですね」

 と言い、坂口信一郎を見ると

「坂口巡査部長、では、島の巡回状況の報告とその後に案内をお願いします」

 と敬礼をした。


 坂口信一郎は息を吸い込み

「はい」

 と答えた。


 村長は二人を一瞥して男を連れて立ち去った。


 陽はリュックを背負い陽の手を強く握りしめている勇気を見ると残った坂口信一郎と坂口ありさを見て

「さて」

 と呟き

「勇気、こちらが坂口巡査部長と一緒に頑張っているありさちゃんだ」

 と言い

「確か、ありさちゃんは15歳だったね」

 と告げた。


 坂口ありさは縋るように

「あの」

 と言いかけた。


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