親の事情子の事情 8
陽は歩きながら
「勇気が将来どんな仕事に付いても俺は良いと思っている。勇気には好きな仕事について貰いたい」
と笑みを見せた。
赤木勇気は陽の顔を見上げて
「じゃあ、俺が旅館を継ぎたいっていったら?」
と告げた。
陽は笑って
「そりゃあ、千代は喜ぶ」
と言い
「ただな、お前の父さんの仕事を嫌いでいて欲しくはない」
と告げた。
「仕事に父さんや母さんをとられて寂しい気持ちはわかるけどな」
赤木勇気は視線を下げながら
「でも俺には千代おばさんと鷹司のおじさんがいるもん」
と小さく呟いた。
陽はふっと笑って頭を撫でると
「そうか、それはそれで嬉しいが……お前の両親は赤木たちだからな」
と笑いかけた。
陽は駐在所に赤木勇気を連れて帰ると赤木勇介と春日結斗の待っている仮眠室へと戻り
「その仕事引き受ける」
と言い
「ただ、今回だけだ。あと、今回は勇気も連れていく」
と告げた。
赤木勇介は目を見開くと
「鷹司!!」
と怒鳴った。
赤木勇気も驚いて
「鷹司の叔父さん」
と見つめた。
陽は赤木勇介を見て
「勿論、俺の命に代えても勇気は守る。ただ勇気には見てほしいと思っている。お前や俺の仕事をちゃんと」
と告げた。
赤木勇介は眼鏡を上げて指で目頭を押さえると
「……お前は……昔から……」
と言い笑みを浮かべると勇気を見て
「勇気、行くか?」
と聞いた。
勇気は父親の赤木勇介と陽を交互に見て小さく頷いた。
「……いく」
そう言って陽の横に正座した。
赤木勇介はフゥと息を吐き出して
「お前は鷹司に似てるんだな」
陽は笑って
「何を言ってる。勇気はお前に似ているぜ。学校の先生がすげー褒めてる。分からない子に教えるのに要点を掴んで凄く分かりやすく教えているってな。静香さんとお前にそっくりだ。俺がちゃりで巡回する時に視線で追いかけながら目があったら直ぐに逸らすところとかな」
と告げた。
勇気はかぁと赤くなると
「おじさん!」
とプッと顔を顰めた。
陽は頭を撫でながら
「もう、素直じゃないんだよな。勇気は」
と告げた。
赤木勇介は静かに笑むと
「じゃあ、勇気も同行するように手配する。それから」
と新しい警察手帳を出した。
「お前はいらないと言うと言っておいたが浜中警察庁長官が気持ちだと言っていた」
陽は受け取り
「俺は巡査部長で良いんだけどな」
と言い
「わかった」
と受け取り
「後、用意してもらいたいものがある」
と告げた。
それに赤木勇介は
「何だ?」
と聞いた。
陽は腕を組むと
「離島や山間の村には良くあるんだが、通常の携帯では電波が届かないってことがな」
と告げた。
「通常の携帯二つと衛星電話を二つ用意してもらいたい」
赤木勇介は頷くと
「なるほどな、確かにそこまでは考えていなかったが、今回は通信が命だからな。わかった用意する」
と告げた。
陽は頷き春日結斗を見ると
「それから、春日警部補には全国巡回駐在員として俺が島の巡回に行くことを知らせてもらいたい」
と言い
「村長は変わっていないなら村長に4年前に世話になったが今回もよろしくと言っておいてくれ」
と告げた。
春日結斗は慌てて
「あの、その……村長にも報告を?」
と聞いた。




