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陽と月  作者: 如月いさみ
全国巡回駐在員

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82/111

親の事情子の事情 7

 文面は

『結婚記念日おめでとう。毎年海外へ出ているが今年もそうか? 島民に話したら全員が一筆書いた方がいいぞと言ってくれたのでメッセージを送らせてもらった』

 であった。


 春日結斗は膝の上で拳を作りながら

「暗号を解くと『島が海外の人間が入り込んで乗っ取られている。外へ知らせると島民に危険がある。助けてほしい』と言う内容です」

 と告げた。

「直ぐに飛んでいきたいんですが、急に俺や署の人間が行くと外部に漏れたと怪しまれて坂口や島民の命が危なくなるかもしれない。でも、全国巡回駐在員で4年前に島へ行っていた貴方なら全国巡回の仕事だと島へ怪しまれずに入れると思うんです」


 ……どうか! 島民を! 坂口を! 助けてください!! ……


 赤木勇介は冷静に

「海外の人間と言ってもどのような人間か規模にもよるし、警察だけでは一気に制圧するのは難しいかもしれない。被害者が出る可能性がある。浜中警察庁長官は自衛隊を動かす算段があると思うが、とにかく、何処かの国が侵略しているのか? それとも、海外の無頼者が乗っ取っているのか? それとも小さな集団なのか? 正確な情報が必要なんだ」

 と告げた。


 陽は腕を組むと

「なるほど」

 と呟き、バンッと開いた戸に目を向けた。


「勇気」


 赤木勇介は腰を浮かせると

「ゆう」

 と言いかけた。

 が、立っていた赤木勇気は目を細めて頭を下げた。

「いらっしゃいませ、赤木警視に刑事さん」


 そう言って陽を見ると

「鷹司のおじさん、俺、千代おばさんに頼まれてこれ届けに来ただけだから」

 と紙袋を置いて背中を向けて歩き出した。


 赤木勇介は平静さを保つふりをしてメガネを軽く押し上げた。

「……ったく」


 陽は息を吐き出すと立ち上がり

「ちょっと待っててくれ」

 と言うと和室から降りて戸を開けると全力で走ると前を歩いていた赤木勇気を捕まえて

「勇気、来い」

 と告げた。


 赤木勇気は唇をへの字にしたもののこういう時の陽のことが分かっているので黙って手を繋いで踵を返した。


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