親の事情子の事情 5
その上、夏休みなどに姿を見せる父親の赤木勇介と母親の静香にはやはり反抗的な態度を見せていた。
半年もしない内に東京に戻って親子三人で暮らすと思っていたが、気付くと2年が過ぎ去っていた。
つまり、勇気が島で暮らし始めて2年。
陽が全国巡回駐在員をやめて2年後に思わぬ事件が勃発したのである。
東にある離島を管轄にもつ警察署の生活安全課の春日結斗警部補が警察庁にその離島で大変なことが起きていると報告してきたのである。
それに赤木勇介は警察庁長官である浜中勝彦から呼び出された。
部屋にはその報告をした春日結斗警部補と浜中勝彦警察庁長官が待っており浜中勝彦が
「……島が他国に侵略されている可能性がある。今はまだマスコミも嗅ぎつけていないがこれが何も分からない状態でただ話しだけが出回ったら大きな騒ぎになる」
と厳しい声で告げた。
正に国家間問題に発展するような事件に発展する可能性があるのだ。
赤木勇介は息を吸い込み
「それで組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課として背後関係などを調べるということですね。早急に」
と言い
「直ぐに情報収集のために」
と話を仕掛けたがそれに浜中勝彦は首を振ると
「それが難しいという話だ」
と告げた。
そして、春日結斗を見た。
春日結斗は頷いて
「実はその島の駐在所には私の警察学校時代の同僚が働いていて坂口信一郎と言う巡査部長なんですが彼がこれを報告書と共に送ってきたんです」
と置いた。
報告書と一枚の結婚記念日に対する祝いのメッセージであった。
『結婚記念日おめでとう。毎年海外へ出ているが今年もそうか? 島民に話したら全員が一筆書いた方がいいぞと言ってくれたのでメッセージを送らせてもらった』
から始まっていた。
赤木勇介はそれを手に
「……はあ、普通の結婚記念日の祝いの言葉だと思われますが」
と彼を見た。
浜中勝彦は息を吐き出すと
「春日警部補は『独身』だ」
と言い
「これは春日警部補や坂口巡査部長が警察学校にいた頃に寮内で使っていた暗号だそうだ」
と告げた。
「『○○に話したら一筆』というのは事件に関わっている人間を知らせる言葉だということだ。つまり島民全員が関係している。人質に取られているということだ」
赤木勇介は目を見開き
「まさか」
と告げた。
春日結斗は厳しい表情をすると
「送ってくるFAXの番号も変わっていたので誰かに見張られて送っていると思います。坂口巡査部長の命も、島民も人質に取られていると思われます」
と告げた。
「海外からの組織が入り込んでいるというのは『海外へ出ている』は反対語で『海外から入る』で恐らく海外の人間が入っているということだと思われます。そう考えると海外から人が入ってきて外にそれを知らせたら島民の身が危ないということと読み取れます。あいつも見張られていてこういう方法で危機を知らせてきたと思います」
容易に人を送れないということだ。




