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陽と月  作者: 如月いさみ
陽と月

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75/117

エンディング

13年前の持明院月の両親の死の真相も明らかになり、その島を中心にした薬物の密輸ルートも破壊した。

 

全てが終わりを告げた。

 

月は相変わらず忙しく調律師として国内外を動き回っている。

時折、彼の元にVIPが訪れるがその際にはきっちりと警察のSPを招き入れて協力をするようになった。

 

ただ彼の隣には会社を退職し個人通訳として働く日和の姿があった。日和は長谷倉真守の依頼で月と共に海外へ行くようにもなっていた。


持明院家の顧問弁護士である長谷倉真守は持明院月の伯父である持明院静一の墓に

「恐らく近い内に後継ぎもきっと誕生するでしょうね」

と報告をした。

もちろん、誰との間とは言わなかったが月の気持ちはよく理解していたし、そのための布石として日和を雇ったのだ。

 

浜中警察庁長官は等々力を始めとして組織犯罪対策部に礼を言い全てを明らかにした。

組織犯罪対策二課の大河内も全てを自供した。これまで島の駐在員になった面々についてはすでに退職した警察官もおり、また、殺人事件への関与はない。

 

つまり、どこまで解明できるかは不透明な状態であった。


 組織犯罪対策部は相変わらず忙しく萬田や佐々も赤木勇介も組織犯罪対策第五課の課長の戸田や部長の等々力の指示を受けながら動き回っていた。

 

 等々力は晴れ渡った空の写る窓を見つめ

「寂しくなった気がするな」

 と呟いた。

 

それに戸田は苦笑を浮かべて

「確かにそうですね」

と答え、萬田も「全くだ」と呟いた。

 

佐々も頷いて

「まあ、寂しい思いをしているのは」

と赤木勇介を見た。

 

勇介は遠くを見るように

「鷹司」

と呟いた。

組織犯罪対策第五課に陽の姿はなかった。

 

「駐在さん! 海岸に変なものが流れ着いているんですけど」

島の夫人の一人田中倫子が島で唯一の交番に言いに来た。

 

鷹司陽は交番を出ると自転車に乗り

「分かりました! 確認に行ってきます! 海岸は何処の?」

 と聞いた。

 

 倫子は自転車に乗って

「案内するわ、西浦よ!」

 と告げた。

 

 そこに弁当を持ってきた眉山千代が

「陽君、お弁当何時も通りに冷蔵庫入れておくわね! 温めて食べてね」

 と呼びかけた。

 

 陽は「ありがとー、千代ちゃん」と答え、倫子と共に島の西側の浜へと向かった。

 

 浜中と等々力は一応引き留めたが離島で一度そういう密輸ルートになりかけた要の場所と言う事もあり信頼できる駐在員を置きたいという気持ちもあって複雑な心境だったが陽本人の希望も汲んで事件の後に特別に辞令がくだったのである。

 同時に他の離島や山間部の駐在所への巡回も希望を組む代わりとして任務として付け加えることにした。


 言わば、それぞれの希望を折半したと言う感じだろう。

 

 島には時折、月と姉の日和もやってきて2人とも意外と片付いている交番の陽の家に驚いたものの眉山千代が毎日弁当を届けていることと夕食も眉山旅館で食べていることを知り

「「なるほど~」」

 と安心して東京へと戻っていくのである。

 

 陽は浜に立つと空を見上げ

「今日もいい天気だな」

 と笑顔で告げ、不意に震えた携帯を手にLINEを見た。

「お、赤木からか。え? 佐藤さんが検察を目指している? ってあの佐藤静香さんか? と言うか、何時の前に遣り取りしていたんだ?」

 そうぼやいた。

 

 佐藤さんと言うのは、かつて闇バイトに引っ掛かった青年を保護したのだが、彼の姉で東都大学法学部へ通っていた佐藤清香のことである。

 どうやら自分の知らないところで2人は遣り取りをしていたようである。

 

 陽は空を見上げ

「俺も浮いた話があればなぁ~」

と相変わらず鈍感さを爆発させていた。


しかし、陽にも側にいて彼を支えてくれる人がいることを、彼以外の全員が分かっていた。

島はゆったりと時間が流れ、明るく輝く太陽が温かい日差しを投げかけていた。


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