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陽と月  作者: 如月いさみ
陽と月

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74/112

終局 6

 礼華は銃を握る手を震わせた。

 だが言葉は出なかった。


 月は陽を一瞥して直ぐに視線を礼華に戻し

「日和さんと引き換える用意はある。彼女は関係ない。放してほしい」

 と告げた。

 

 礼華はふぅを息を吐き出すと日和を足で踏みつけ動けないようにして

「じゃあ、目の前でそれを燃やしてちょうだい」

 と告げた。

 

 勇介は肩を竦め

「ライターは?」

 と告げた。

 

 礼華は足で日和を抑えたまま銃を陽に向け手を伸ばして倒れている高溝のポケットに手を入れた。

 

 瞬間であった。

 銃声が響いた。

 

 礼華は銃を持つ手を落すと顔を歪めながら背後を見た。

 そこに萬田が銃を構えて立っていたのである。

 

 陽とのやりとりに意識を奪われている間に2人が回り込んでいたのだ。

 

 礼華は陽を睨むと

「鷹司……それで話を……生憎ね。私は両使いなのよ」

 と銃を拾うと日和に向けて左手で引き金にかける指に力を込めた。

 

 その瞬間に陽が間に飛び込んだ。

 銃声が響いた。


 勇介は舌打ちし

「鷹司!」

 と叫びつつ、礼華の腕を掴むとそのまま地へと押し付けた。

 

 月は日和の足と腕の縄を外して猿轡も外した。

「日和さん、すみません」

 

 日和は首を振ると

「何言ってるの! 私は大丈夫よ」

 と抱きしめた。

 そして、陽を見ると

「陽、大丈夫!? 陽!!」

 と倒れた陽に手を伸ばした。

 

 それに誰もが息を飲み込み、目を見開いて立っていた。

 

 天海礼華は誘拐と傷害などの罪で逮捕され、月が持っていたハンカチを科捜研で分析するとついていた血液は2人分あり、一つは月の父親である浅倉迅のモノでもう一つがなるみ礼二のモノであったことが判明した。

 

 高溝は重体状態で病院へと搬送され意識が戻れば取り調べが始まることになっていた。

 なるみ礼二は全てを自供し密輸の件も浅倉夫妻を殺したことも認めたのである。


 当時、現場には娘の礼華も黙って付いてきておりハンカチは浅倉花音が抵抗して引っ掻いた父親の手の傷を彼女が拭いた時のモノを浅倉迅が奪い炎の中へ逃げて月に渡したものだったのである。

 

 こうして、全てのケリがついたのである。


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