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陽と月  作者: 如月いさみ
陽と月

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73/116

終局 5

 社屋にも社屋の隣の倉庫にも日和の姿はなかった。

 萬田は佐々に

「あとは湾岸の倉庫だな。鷹司たちが向かっているとは思うが俺達も向かうか」

 と車に乗って走らせた。

 

 陽と月と勇介は時計の針が日付けを変えようとしていた頃に倉庫に辿り着いた。

 

 そして、周囲を警戒しながら倉庫の中に入り一人の女性を見つけた。

 勇介は女性に

「なるみ警察庁長官官房審議官の娘……天海礼華」

 と告げた。

 

 礼華は振り返ると

「何故?」

 と三人を睨んだ。

 

 日和がムガムガと動いた。

 

 陽は「姉貴!」と叫んだ。

 月も「日和さん」と叫んだ。

 

 礼華は日和の頭に銃を押さえつけると

「13年前のモノを持ってきた?」

 と聞いた。

 

 月はハンカチを入れたビニールを出した。

「これに父の血が付いているからか? 父が殺されたことは証明されても」

 

 それに陽がハッとすると

「まさか、なるみ警察庁長官官房審議官の血も付いているんじゃ……だからあんたはこれを狙っているんじゃないのか!?」

 と告げた。

 

 礼華は目を細めて陽を見ると

「貴方ってぼけている割に鋭いわね。一番プロファイリングがしにくいタイプ」

 と呟いた。


 陽は礼華の後ろを一瞥し直ぐに彼女を見つめ返すと

「プロファイルがどうとかこうとか俺は分からないけど人間ってそんなに単純なわけがないだろ。プロファイリングで全てが分かる訳がないだろ」

 と告げた。

「そんなのその道のプロのあんたの方がよく分かっているんじゃないのか」


 ……あんただって何のためにわざわざ戻ってきたんだよ……

「正義だ悪だと単純じゃなかったから戻ってきたんだろ。父親を助けるために戻ってきたんだろ。それが間違っていると分かっていても……あんたには父親しかいなかったから……だろ。母親に捨てられたあんたを守り続けたのが父親だけだったからだろ」


 礼華はカッと目を見開くと銃を向けた。

「あ、あんたって本当に! だまりなさい!!」


 陽は彼女を見つめると

「罪を償って二人でやり直せ! 天海礼華!! あんたもなるみ警察庁長官官房審議官も警察官だったらわかるだろ!! あんたらがしてきたことは間違ってる!! あんたが父親を守りたいように月だって両親と幸せな時を過ごしたかったんだ!! それを理不尽に奪ったあんたとなるみ警察庁長官官房審議官を必ず逮捕する!」

 と告げた。

「母親に捨てられて寂しさを知っているあんたならわかるんじゃないのか!! あんたこそ父親を止めるべきだったんだ!! この多くの人の不幸の連鎖を起こしているあんたの父親を止めることで守るべきだったんだ!!」


 ……俺はあんたもなるみ警察庁長官官房審議官も絶対に逃さない!! ……


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