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陽と月  作者: 如月いさみ
陽と月

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終局 2

 等々力は彼らを一瞥して勇介を見ると

「そうか、何かあったと思うが……鷹司が言わない限り手を出すわけにはいかないか」

 と言い

「我々は調べたことを纏めて行こう」

 と告げた。

「ジャパンルート土地開発株式会社の島を経由した密輸ルートに関しては二課が後を継いで決着をつけてくれるだろう。逃げている高溝が捕まれば全容が分かる。問題は13年前の浅倉夫妻の放火殺人だな」

 

 それに集まっていた五課の面々も頷いた。

 

 勇介も頷いて資料室の調書や当時のモノが入った箱を机から持ってくると

「火事については初動が全く動いていなかったので殆ど燃えて無くなっていました。ただ放火の証拠は残っていました」

 と告げた。

 

 全員が目を見開いた。

 等々力は彼を見て

「それはどういうことだ?」

 と問いかけた。

 

 勇介はビニールに入った板片を置くと

「この板片おそらく床の一部だと思ったのですが燃え方が異常に激しかったので科捜研で調べてもらいました。石油でした。つまり床に石油が巻かれたという事です」

 と告げた。

 

 等々力は笑むと

「なるほど、放火の明らかな証拠だな」

 と告げた。

 

 勇介は頷きもう一つ歪な形をした焦げたコンクリート片を置いた。

「当時の県警の最期の良心だったようです」

 そう告げた。

 

 等々力は「ん?」と首を傾げた。

 戸田もそれを見て

「これは唯の家の礎部分のように見えるが?」

 と呟いた。

 

 勇介は頷くと

「ええ、俺もそう思ったんですが……これ以外に礎部分は無かったんです。この形から無理やり削り取ったと思われて」

 と言い

「なぜ礎を削り取って瓦礫に紛れ込ませて大切に袋に入っていたのか気になったのでX線で調べてもらいました」

 と告げてX線写真を置いた。

 

 瓦礫の一部が空洞になっておりその先に金属が入っているが写っていたのである。

 

 勇介はそれを指差し

「十中八九、弾丸です。当時調べ始める時から圧力が掛かっていた。そのまま出せば消される可能性もあったと思います。けれどこの状態ならただの焦げた礎のコンクリート片です。しかも調べさせていなかった。だから最期の良心だったのだと」

 

 等々力は目を見開いて勇介を見た。

「この弾丸にもし血痕が付着していれば」

 

 それに勇介は大きく頷いた。

 

 等々力は大きく息を吸い込み吐き出すと

「……問題は……銃弾の出所か、恐らく当時の駐在員だったなるみ警察庁長官官房審議官のだと思われるが、かなり濃い灰色だが」

 と呟き

「だが、流石だな。このコンクリート片に目を付けるとはな」

 と告げた。

 

 勇介はペンを走らせた。

『気になるのは持明院月に13年前のモノをもって来させようとしていることです。持明院は何か決定的なものを持っているのではないかと』

 

 それに等々力は勇介を見た。

 

 そしてペンを手に走らせた。


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