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陽と月  作者: 如月いさみ
陽と月

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7/112

第一話 英雄の曲が流れる時 7

 それに男は笑むと

「なるほど。浅倉ではないが……彼は養子だ」

 と言い、目を細めると

「その違いを知っているということは、もしかしたら本当の知り合いかも知れないか」

 と心で呟いた。

「彼と話しはできないか? 今は袖にされたようだが、もう一度説得してほしい」

 

 陽は戸惑いながらも

「はい」

 と答え

「先の様子だと持明院さんは覚えていないかもしれませんが」

 と言い、言外に「失敗したらすみません!」と言いつつトランシーバーを手に車で待機している赤木勇介に連絡を入れた。

「シェール王子を警視庁警備部警護課の人たちが発見。今から滞在先に交渉し保護を要請する」

 

 勇介はそれを受け取ると

「了解、報告する」

 と答え

「それから、その件は先ほど第3小隊神津警部から伝令が回ってきた。第3小隊以外の小隊は現在撤収中。第3小隊は神津警部の指揮の元でこちらへ急行している」

 と返した。

 

 陽は頷いて

「了解」

 と答え、通話を切った。

 

 そして、息を飲み込んで洒落た一戸建ての『持明院月』の家の門前に立ってインターフォンを押した。

 

 本当に覚えていないのか。

 不安は十二分ほどある。

 

『誰? 簡単に声をかけないでもらえるかな』

 何て言われたのだ。

 

 考えればあれから13年。

 忘れても仕方ないと言えば仕方ない。

 

 でも自分はずっとずっと覚えていた。

 あの夏の一ヵ月。

 

 インターフォンの返答はなく扉が開くと持明院月が姿を見せた。

 そして、陽を一瞥して直ぐにその向こうの男性に声をかけた。


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