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誘拐 8
しかし、何時も夜には戻る日和の姿がなかったのである。
代わりに陽の携帯に覚えのない電話から着信が入った。
陽は録音して内容を聞いた。
『お前の姉は預かった。救いたければ持明院月が持っている13年前のモノを指定した場所に全てもってこい』
『誰にも知らせるな』
陽は自宅でそれを聞きその場に立ち尽くした。
「姉貴」
両親が死んでからずっと自分を支えてくれた姉である。
見殺しには出来なかった。
だが、それを渡せば13年前の全てが封印されてしまうかもしれないのだ。
組織犯罪対策部の面々には言えない。
だが。
だが。
陽は携帯を手にその場に座り込んだ。




