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陽と月  作者: 如月いさみ
陽と月

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65/113

誘拐 5

 瀬戸の後輩で13年前の放火を火災とした新聞社を辞めた滝口の情報は入手した。

 誰にも渡っていない。

 

 ただ、ソタイの人間が現れて島の駐在員が逃げ出したことも聞いている。

 その事についてなるみ礼二の息の掛かったジャパンルート土地開発株式会社の高溝に詳しく調べさせているのだが、返事は来ていない。

 

 いま大河内の話を聞いてかなり大胆に組織犯罪対策部組織犯罪対策第五課が動き出したことを聞いた。

「ソタイはどれだけの情報を持っているのかしら」

 天海礼華は呟き顔を顰めた。

 今はまだ自由に動ける。

 

 その時、携帯が震えた。

 待っていた高溝からの電話であった。

 

 彼女はそこで意外な話を耳にしたのである。

「え!? 島の駐在員が逃げ出した放火事件を発覚させたのが……鷹司陽? 組織犯罪対策第五課の新人? その後の捜査の後押しをしたのが等々力ですって!」

 

 礼華の悪い予感を後押しした。

 

 更に高溝は会社のトイレの中から

「それからその駐在員から聞いた話では鷹司陽だけでなく持明院月という要人にパイプを持つ調律師も島にいたようだ」

 と告げた。

 

 礼華はハッとすると

「鷹司陽と持明院月」

 と呟いた。

 

 鷹司陽は勘だけは良いソタイの新米刑事。

 ただそれだけだと思っていた。

 

 持明院月はUSBで初めてわかったが浅倉夫妻の子供で持明院静一の甥でもある。

 持明院家の遺産全てを受け継ぎそこには要人のパイプも含まれている。

 

 だが。

 持明院月がそれを行使して動いたという情報はない。

 

 彼女は腕を組み

「でも、もしも鷹司陽と持明院月に繋がりがあって組んで13年前の自身の両親の死の真相を究明し始めていたら」

 と呟き、固唾を飲み込んだ。

「つまり持明院月が鷹司陽を利用して今の動きの後押しをしているかもしれない。でも2人の後押しだけであの等々力や浜中まで動くなんて、それとも鷹司陽の方に2人を動かす何か特別な背後があるのかしら」

 

 彼女は携帯を切ると直ぐに鞄を手に家を出た。

 警視庁へ行くと鷹司陽の情報を警察データバンクで調べた。

 が、両親は大学卒業の時に事故死をしており姉が一人いるだけで特別な背後関係はなかった。

 

 礼華は資料室から出て

「鷹司陽は……特別な人間ではないわ。戸籍はしっかりしていたし唯の一般人だわ」

 と呟き

「しかも持明院月と接点が見当たらないわ」

 と早足で警視庁を後にした。

 

 この時、彼女のことを反対に調べている人間がいることを礼華はまだ知らなかったのである。


 佐々修一はデータを見て目を見張ると

「まさか、なるみ警察庁長官官房審議官の別れた妻が引き取った子供が天海礼華だったとは」

 と呟いた。

「母親の姓だから天海だったのか。名前の礼はなるみ礼二の礼か……なるみ警察庁長官官房審議官の名前からとったってことか」

 

 佐々はそのデータを手に部屋を出た。

 そして、既に再婚して名古屋で暮らしている天海礼華の母親の旧姓天海恋華の元へと向かった。

 そこで彼は驚きの話を聞くのである。


 なるみ礼二が彼女の再婚まで彼女と娘に多額の慰謝料を払い続けていたことと娘の礼華については彼女の再婚後に面倒を見なくなった娘の外国へ留学金や生活費も全て彼が払い続けていたという事であった。

 

 かなりの金額であった。

 佐々が東京へ戻ったのは既に日が暮れて夜が町を包み込む頃であった。

 

 萬田の方もまたマサキリゾート開発株式会社の社員などに聞き込みに入った。

 長原は姿を消していたが、混乱はなかった。

 長原の評判自体が余り良くはなかったからで、それと言うのも先日捕まった社員二人は長原が入社させて持ち上げていたからである。

 

 萬田は2人と長原の履歴書を手に入れジャパンルート土地開発株式会社の人間だったという事も判明した。

 元々、乗っ取るつもりでマサキリゾート開発株式会社へと入って仕組んだことが分かったのである。

 

 島の乗っ取りにリゾート開発という理由が必要だったのだ。

 島民から土地を買い取るための理由ということだ。

 

 ただ土地を売ってくれと言っても先祖代々の土地を売ることはない。

 だが島の発展のためにと付けば手放す人間も出てくるかもしれない。

 マサキリゾート開発株式会社を狙ったのは恐らくそう言う事だったのだ。


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