第一話 英雄の曲が流れる時 6
陽は勇介を見ると
「赤木」
と声をかけた。
勇介も感じていたらしく
「ああ、任務とは別だが……押し込み強盗だったら見過ごすわけにはいかないな」
と呟いた。
陽はトランシーバーを手にすると
「怪しい集団を発見。少し調べて任務に戻ります」
と答えた。
そして、男達が集まっている場所へ近付き
「ここで何を……」
と警察手帳を見せかけて背後の洒落た家から出てきた青年に男性の一人が足を踏み出しかけるのに視線を向けた。
青年の黒と言うには濃い紺に似た色の髪が風にサラリと流れた。
陽は驚きのあまり目を大きく見開いた。
「……月?」
……。
……。
陽は慌てて
「あ、俺……陽……鷹司陽だ。月だろ? 俺、何度か手紙送ったんだぜ……ほら……あの時の……」
と足を踏み出して告げた。
青年は目を見開いて息を飲み込むと周囲にいる男性たちを睨みつつ陽の前に立って
「……誰? 簡単に声をかけないでもらえるかな」
と言うと踵を返して家の中へと直ぐに戻った。
陽は驚いて目を見開き
「月だ……月だろ……」
と小さく呟いた。
それに屯っていた男の一人が
「彼と知り合いか? 持明院月と」
と問いかけた。
陽は「持明院? 誰それ?」と思ったものの間違いなく幼い頃に遊んだ大切な友人である。
別れた後に何度か手紙を送って返事はなかったが、それでも大切な友人だったのだ。
だからこそ、怪しい奴らに目を付けられていたのなら助けたい。
陽は一つ咳払いをして気持ちを切り替えると
「そうだ。お前達は彼に何の用だ」
と警察手帳を見せた。
この怪しい奴等め! と言う表情で睨んだ。
が、しかし。
男は同じように警察手帳を見せて
「なるほど、確か機動隊の新入隊員が加わったと報告があったな」
と言い
「我々は警視庁警備部警護課だ。彼の家にシェール王子がいると突き止めたので警護を要望しているが断られてな。別段誘拐したわけでも監禁している訳でもないので踏み込むことは出来ない。出来れば協力を願いたいということだ」
と告げた。
……。
……。
陽は蒼ざめ
「同業者かよ!! マジか!!」
と心で突っ込んだ。
パカーンと開けた口に彼らは
「分かりやすい奴だ」
と心で突っ込んだ。
陽は少し考えて
「その、持明院って言っておられましたけど……その……」
と呟くと
「月は浅倉だった気がしますけど」
としどろもどろと呟いた。




