第六話 反撃の糸口 10
勇介は頷いて一課の人間に
「出会った全員の似顔絵だけは書かせておいてください」
と言い
「それと彼ともう一人の青年の保護を。あとこの件については二課にも連絡を」
と告げた。
青年は息を吐き出して項垂れた。
陽と勇介は組織犯罪対策部のフロアへと戻った。
そして、事と次第を等々力に報告したのである。
翌日、正木治人は意識を取り戻した。
月はその前夜から病院に居り、彼が目を覚ますと家族と医師と彼の許可をもらうと話をしたのである。
「俺は貴方を信用しようと思います。貴方が島の売買に関与していないと」
正木治人は目を見開くと月を見つめた。
月は笑みを浮かべると
「島は俺の生まれ故郷です。恐らく何処を調べても俺の生まれ故郷は出てこないと思います。その理由は俺の両親の死にあると思っています」
と告げた。
正木治人は笑むと娘に言って自宅にある会社設立50年の記念時計を渡すように告げた。
「そこに入っているものを貴方に渡そう。それが信用してくれた君への私の答えだ。警察に渡すなり君が使おうと何しようと自由にしなさい。あと……滝口渉というフリーライターが私が反対していた島の計画が進んでいることを知らせてくれた」
月は目を見開くと笑みを浮かべて深く頭を下げ
「ありがとうございます」
と答えた。
正木治人は頷いて再び眠りについた。
月は時計を受け取り自宅へと戻り、中に入っていたUSBメモリを手にしたのである。
そこにはマサキリゾート開発株式会社の長原がジャパンルート土地開発会社の高溝と言う人物と新しく開発しようとする島の売買計画の計画書であった。
月はそれを自宅で見ると目を見開いた。
「な、なんだ? これって島自体をリゾートにするんじゃなくて島から全島民を放り出すだけの……島買取計画じゃないか」
それと同時に会社のパーティーの写真が何枚も収められていた。
そこに月は知らなかったがなるみ礼二警察庁長官官房審議官ともう一人写っていたのである。




