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陽と月  作者: 如月いさみ
陽と月

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第六話 反撃の糸口 9

 陽は刑事に

「あ、俺らどっちでも良いから話ししたいんだけど」

 と告げた。

 

 それに刑事は

「あ、ああ。今は引き渡すわけには行かないが小守から聞いてる」

 と告げた。

 

 陽は「連絡してくれたんだ」と呟き

「ありがとうございます」

 と部屋を出て隣の取り調べ室へと入った。

 

 そして今取り調べを受けている1人と向かい合った。

「悪いな、本当の事を言ってくれると助かるんだけど」

 

 それに青年が

「だぁから、金目当てで」

 と告げた。

 

 勇介は眼鏡を上げなら

「財布からカードも取らず。高級腕時計にも触れず。現金だけ普通は盗まないだろ。しかも一万も落として勿体ない」

 と告げた。

 

 それに青年は視線を逸らした。

 陽は息を吐き出すと

「もう分っているんだ、それに割を食うのは君たちだけで頼んだ方は恐らくもう君たちを用無しだと思って切り捨て始めてる」

 と告げた。

「君たちは頼まれた代償も手に入らないし頼んだ人物は知らぬ存ぜぬを通すだろ」

 

 青年は視線を下げた。

 

 勇介は息を吐き出し

「それよりも誰に頼まれたかを話して身の安全を確保した方がいい」

 と告げた。

「相手は殺人を教唆した人間だ。君たちをどうするか想像した方がいい」

 

 青年はひたりと汗を浮かべた。

「実は……一週間ほど前に大学の先輩から検出されないから安心して使えるヤクを売ってる売人を紹介されて本当は3万くらいするけど頼みごとを聞いてくれたらタダにすると言われて……その売人と話している男性をチラリと見たけどエリート風の男性だった。その男に頼まれたんだ」

 そう言って話し始めた。

 

 勇介は目を細めながら

「もしかして今二課が追ってる出所不明のヤクか?」

 と心で呟きつつ

「その売人が何故正木氏を?」

 と取り敢えず正木治人を襲いそうな人物である長原の写真を見せた。

「こいつか?」

 

 青年は首を振ると「違う」と答えた。

 陽はマサキリゾート開発の社員全員が写っている写真を見せたが、そこにもいなかったのである。

 

 名前を聞くと

「売人はメタレスライダーって名乗ってるけど相手の男は知らない」

 と告げた。

 

 陽と勇介は目を細めて顔を見合わせた。

 

 青年は慌てて

「いや、本当で」

 と告げた。

 

 メタレスライダーとは夜中に放送されるメタワールドSSというヒーロードラマの主人公の名前であった。

 

 陽は腕を組み

「分かってるよ」

 と答えた。

 

 犯罪系の遣り取りでは本名など出さない。

 自分たちは逃げるのだ。

 下っ端は所謂使い捨てだ。

 下っ端だけが本名なのだ。

 

 そういうモノだ。


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