第六話 反撃の糸口 8
陽は写真を指差して
「なんか、ワザとっぽい」
と言い
「だって本当に金目当てなら財布持って逃げて他で捨てないか? それにこの人のこんな高そうな時計に見向きもしていないってのが、財布の中にはカードも残ってるんだぜ? 一万も落としたままってのも気になるし……確かに大雑把で衝動的なら分かるけどあからさま過ぎて俺は変に思う」
と告げた。
小守は写真を見つめてフムッと考え
「ああ、確かにそうだな」
と呟いた。
勇介も眼鏡を軽く押し上げると
「鷹司、お前時々鋭いな」
と告げた。
「確かにちぐはぐだな。もしかしたらカムフラージュっていうのもあるか」
陽は頷いて
「かもって何となく思っただけで衝動的に襲ったらその場から一目散に逃げたくなるからせめて財布を持って逃げて誰の目にもつかない場所で金とカードを抜くんじゃないかなぁって新宿駅のトイレってハラハラドキドキじゃん」
と告げた。
勇介は少し考えて
「正木治人に護衛を付けておいた方がいいかもしれないな。もしかしたら彼を襲う事が目的で業と物取りに見せている可能性は否定できない」
と呟いた。
小守も腕を組み
「確かに鷹司と赤木の話を聞いたらそんな気もするな」
と言い、携帯を入れて護衛をつけるように要請した。
陽と勇介は後を小守と天海に頼んでその場を離れた。
天海礼華は立ち去る陽の背中を見つめ
「……鷹司……陽……」
と呟き目を細めた。
陽と勇介もまた病院を出ると足を止めて振り返った。
陽は勇介を見ると
「月からの電話があったから見逃さなかったけど無かったらあの人のプロファイリングを信じていたかもって言うか、プロファイリングはあってたんだよな。若年層で大雑把で衝動的」
と呟いた。
勇介は陽を見返して
「それで? お前、彼女のことどう思ったんだ?」
と聞いた。
陽は「ん?」と首を傾げた。
勇介は眼鏡を上げると
「いや、お前の直感って時々怖いから聞いておこうかと思って」
と告げた。
陽は口を尖らせると
「なんだよ、それ」
といい
「あの人、なんか俺らを誘導しようとしていた気がする。プロファイリングはあってたんだけど何となく合致し過ぎて怖い」
と呟いた。
勇介は口元に笑みを作ると
「ってことは要注意人物ってことか」
と言い
「まあ、持明院の話から考えるとマサキリゾート開発の長原ともう一人高溝と言う人物が噛んでる可能性が高いってことだな」
と呟いた。
「しかし、あんな辺境の島に何があるんだ?」
2人にはそれは分からなかった。
勇介は足を踏み出し
「取り敢えず、警視庁へ寄って捕まった2人の取り調べを俺達もさせてもらおうか。背後関係も調べないとな」
と告げた。
「やるなら徹底的にだ」
陽は笑むと
「赤木」
と頷き
「そうだな」
と勇介の後について足を踏み出した。
陽は勇介の運転で警視庁へ戻ると捕まえた2人の取り調べ室の隣の部屋へと入った。
取り敢えず状態を見ることにしたのである。
本人たちには分からないが隣の部屋から取調室が見えるようになっているのだ。
陽と勇介は2人の取り調べをしている捜査一課の刑事に声をかけた。




