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陽と月  作者: 如月いさみ
陽と月

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第六話 反撃の糸口 6

 月は周囲を見回し窓際に寄った。

「ピアノはよく使われるのですか?」

 

 それに治人は笑むと

「まあ、娘が音楽学校に行っていて弾いてくれるんですよ」

 と告げた。

 

 月は笑顔で頷き

「窓の防音設備もきっちりなさっておられるので」

 と告げた。

 

 治人は頷いた。

「住宅街ですので」

 

 月はピアノの方に行くと蓋を上げて固定し鍵盤を押しながら調律を始めた。

 彼の娘がよく使っているのだろう。

 それがよくわかる。

 だが、音楽学校へ行っているというだけあって鍵盤などに痛みは見られない。

 

 丁寧に使っているのが見て取れた。

 

 埃もない。

 手入れもされている。

 

 月は笑みを深めた。

 

 その時、治人が立ち上がると携帯を取り出し慌ててリビングの反対側の端へと向かった。

「言っておくが会社の取締役を辞任するつもりはない。長原! お前は高溝に踊らされているだけだ! この前も小川と田中が警察に連れて行かれるし気付け!」


 月は調律をしながらその言葉に目を見開いた。

 恐らく島で放火をした二人のことだ。

 

 つまり、取締役の正木治人は知らないという事だ。

 月はハッと我に返ると

「ダメだ……仕事中だ」

 と鍵盤を叩きながら音を合わせた。

 

 気にはなる。

 だが、気にしてはならない。

 

 顧客のエリアに立ち入らない。

 これまで守ってきたスタンスだ。

 

 正木は再度

「いいか、お前と高溝が手を組んでやろうとしていることが何か分らないが法に触れることをすればしっぺ返しを食らう。その時に会社を巻き込ませるわけにはいかんからな。取締役は譲らん」

 と念を押すように言い携帯を切った。

 そして、息を吐き出すと調律を終えて見ている月に笑みを浮かべ

「申し訳ない。みっともないところを」

 と言うと

「娘が茶菓子を用意していたので」

 と台所へと向かった。

 

 月は音の調律の確認のために曲を奏でた。

 治人が用意した茶菓子と茶を口にして月は正木家を後にした。

 

 気にはなったが聞くことはできなかった。

 だが。

 だが。

 

 月は田園調布駅に向かって歩きながら不意に足を止めると

「正木社長は島に興味を持っていなかった。持っているのは長原という社員だ……恐らく島をどうしてリゾート地にしようとしているか知っているのは彼の方だよな。重役の誰かなんだろうけど」

 と呟き

「それと……高溝って誰だ?」

 と顔をしかめた。


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