第六話 反撃の糸口 4
等々力は笑むと
「くれぐれも慎重に頼む」
と言い
「では業務に戻ってくれ」
と告げた。
それに全員が敬礼した。
一息ついた陽に勇介は笑むと
「取り敢えず仕事は溜まっているからそっちが優先だ。放火の件は警察内では公になっているので県警が邪魔をしてくることはない」
と言い
「俺達は最近ルート不明で出回っているブツの出所を突き止めることが本来の業務だからな。二課と合同捜査になってる」
と告げた。
陽は驚いて頷くと
「あ、ああ、分かった。ありがとう」
と答えた。
そして、この日一人の女性が日本に降り立った。
その女性もまた月の両親の死に関わる女性であった。
名前を天海礼華といい、警視庁刑事部捜査一課への配属が決まっているプロファイリングのプロであった。
彼女は国際線のエントランスに立ち行き交う人々を見ながら口の端をあげると笑みを浮かべ
「13年ぶりかしら、危機に陥っている父を助けてあげなくては……あの時の様に」
と呟いた。
美しい容貌をしているがその眼は獲物を狙う蛇のような輝きを宿しゆっくりと足を踏み出すと人々の中へと紛れて行った。
その頃、陽と勇介は問題の出所不明のブツの出所を探るために売人を見つけ出そうと聞き込みを行っていた。
売人のターゲットは学生などで安価で売買できるという事で多くの若者が手を出し、抜け出すことの出来ない沼に落ちていた。
陽は原宿の一角にある小さな公園のベンチで集まっていた3人の男子学生を見つけると手帳を見せ
「悪いな。その手にしている飴の缶を見せてもらえるかな?」
と告げた。
それに缶を手にしていた学生が
「いやー、これは本当の飴ですって」
と笑って告げた。
が、渡そうとしないところが陽と後ろで残りの2人が逃げ出さないように見ていた勇介には『アウトだな』という感触を持った。
陽はにっこり笑うと
「そうか、だったら何の飴か見せてもらいたいからちょっと貸してくれるか?」
と手を出した。
瞬間に缶を陽に投げつけてベンチからそのまま頭突きをかますように前へと突進した。
陽はそれを軽く足をずらして避けると前のめりに倒れ込んだ男子学生の腕を掴んで
「危ないだろ。普通だったらこの時点で公務執行妨害の手錠もんだぞ」
と息を吐き出して告げた。
他の2人も逃げ出そうと動きかけたところを勇介が腕を掴んで捻ると痛がり膝を折った。
勇介は彼らに
「あ、逃げるなよ。逮捕は避けたい」
とにっこり笑った。
三人は初心者だったのだろう簡単に抵抗を諦めるとパトカーへと乗り込み警視庁へと連行された。
捜査二課の担当刑事が待っており彼らから売人の情報を聞き出したのである。




