第一話 英雄の曲が流れる時 3
東京の中心にあるが皇居に近く緑の多い場所であった。
陽はそこに着くと寮の受付をしていた寮監に
「明日付けを持って警視庁の機動隊に配属になります鷹司陽です」
と告げた。
50代の寮監の男性はふむっと頷くと
「頑張りなさい」
と部屋の鍵を渡した。
「寮の部屋は6畳で同じく今回配属された赤木勇介君と303号室で同じ部屋だ。各機動隊に配属までの新人訓練の数週間の間だけだがもめ事は起こさないように」
陽は敬礼して
「はい」
と答えつつ
「6畳で2人か! せっま」
と心で突っ込んだ。
しかし、各機動隊に配属されるまで500人近い新入隊員がいるのだ。
ある意味仕方がないと言える。
入居できなかった者。
実家が近隣にある者。
また世帯を持っている者は寮から出ているので、新入隊員が各機動隊に配属されて人数が減れば一人部屋になるかもしれないな、と考えたのである。
陽が鍵を受け取って足を踏み出しかけた時に一人の男性が同じように訪れた。
スラリとした背の高いインテリ風の男でイケメンであった。
陽はどちらかと言うと背があまり高くなく顔もどちらかと言うと愛らしい系で好意的に表現するなら『アイドル風』であった。
陽は男性を一瞥し
「機動隊に似合わない見た目だな」
と呟きつつ足を踏み出しかけて背後でした声に目を見開いた。
「明日付けで機動隊に配属になりました赤木勇介です」
暫くお世話になります
……。
……。
陽は慌てて振り返り
「同室さんかー」
と凝視した。
それに寮監と赤木勇介は同時に振り向き
「「顔に出るタイプだな」」
と心で突っ込んだ。
寮監は苦笑しつつ鍵を赤木勇介に渡すと
「彼と同じ303号室だ。頑張りなさい。だが、もめ事は禁止だからな」
と告げた。
勇介は敬礼して受け取ると
「はい」
と答え、驚く陽の前に進んだ。
「宜しく。俺は赤木勇介……君は?」
陽は慌てて
「あ、俺は鷹司陽。宜しく」
と答えた。
2人はボストンバックをそれぞれ抱えて寮の中に入ると階段で三階まで上がり部屋へと入った。




